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先輩視点の番外編
甘い物より好きな物
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なこ様から頂いたリクエストです。
先輩視点で、先輩がいつ後輩くんを好きになったのかとか、どうして声をかけたのかとかその理由を語らせました。
■■■
お前によく似た奴が一年にいるぞ、なんて友達に言われて名前だけは聞いていたから少し気になってた。俺に声をかけてくる女の子も似たようなことを言っていたし。
んで、見かける機会があって見てみた感想。
全然似てねぇ……!
つまり見た目ってことじゃないのか? といろんな奴に聞いてみた結果、なんでもそつなくこなすところが似てるんだそうだ。
成績は俺が一年だった頃より少し上。運動神経は俺のが上。
俺は自分で言うのもなんだが器用で、努力する訳でもなくなんでもできたし、見目もいい。ただ、そのかわり人より執着心がかなり薄くて、本気になれるものがなかった。逆に言えばなんでもできてしまうから、熱くなれないのかもしれない。
唯一執着してるっていうか飽きずに好きなのは甘い物と青い色。
そんなだから、噂の後輩くんはどーなのか、結構気になってたんだ。
そしたらある日、青い空が気持ち良くてグラウンドから見上げた瞬間、校舎の四階、奴と目があった。ニッコリ笑いかけてやった。後輩くんは一瞬驚いた顔をして授業に戻った。
その日からずっとその後輩の視線を感じるもんだから、俺の好奇心が疼いて仕方なくなった。
俺は流行物とか新鮮な物が大好きだからな。少し摘んでは飽きて捨てる感じ。
それがわかってるから、本気の女の子には絶対手を出さないし。
でもまあ、興味持った後輩に近づいて声をかけるくらいたいしたことないって思ってたんだな。この時は。
実際会って話してみても、そんな似てるって印象はない。自分ではよくわからないものなのかもしれない。
後輩くんと話すのは俺にとって有意義で面白いものだったが、ただひとつだけ後悔したことがある。
それは、後輩くんがどうやら俺に惚れているらしいということ。
恋愛感情を抱いているのには、割りとすぐに気がついた。
でもこのタイプは告げてこないだろうとか、男同士だってこと気にしていずれ諦めるだろうと思っていた……ので、まさか突然キスされるなんて思ってもみなかった訳だ。
しかもこれが……意外と手が早い。優等生面してるくせに。
でも見た目も可愛いし、俺の興味も失せなかったし、好きは好きだったし、押しに負けてまあ付き合ってもいいかって気になった。
正直言や、初めのうちはもし捨てることになっても、押しまくったそっちが悪いし男同士だし適当にしときゃいいかなんて小狡いことを考えていた。
今思えば浅はかだった。幸い俺も後輩くんのことを執着するくらい好きになれたからいいが、別れ話なんてしようもんなら間違いなく刺されそうだもんな……。
自分にはない執着心を持っててソレをかつ俺に向けてるってとこがよかったんだろう。
俺のことを好きだと言って懐いてハグしてくる後輩くんに少しずつ惹かれてった。現在進行形。
後輩くんはガッときたが、俺は少しずつ情が積もっていった感じ。気づけばその愛情にどっぷり浸かってた。
本当にこんな好きになっちまうなんて思わなかったな。
一番の誤算は俺が抱かれる側で定着してるってことなんだが。
ま、それはおいおいどうにかするとして、俺は新しく見つけた夢中になれる存在に、すっかりメロメロのデレデレなのだ。
「先輩は言い方が軽いんです! 愛が感じられないんです!」
「あれ?」
しかしながら、ずっと軽いスタイルでいたもんだから俺の愛は上手く伝わらないらしい。
でもさ、まあ、本当に……好きだからさ、これからもよろしくな、後輩くん!
先輩視点で、先輩がいつ後輩くんを好きになったのかとか、どうして声をかけたのかとかその理由を語らせました。
■■■
お前によく似た奴が一年にいるぞ、なんて友達に言われて名前だけは聞いていたから少し気になってた。俺に声をかけてくる女の子も似たようなことを言っていたし。
んで、見かける機会があって見てみた感想。
全然似てねぇ……!
つまり見た目ってことじゃないのか? といろんな奴に聞いてみた結果、なんでもそつなくこなすところが似てるんだそうだ。
成績は俺が一年だった頃より少し上。運動神経は俺のが上。
俺は自分で言うのもなんだが器用で、努力する訳でもなくなんでもできたし、見目もいい。ただ、そのかわり人より執着心がかなり薄くて、本気になれるものがなかった。逆に言えばなんでもできてしまうから、熱くなれないのかもしれない。
唯一執着してるっていうか飽きずに好きなのは甘い物と青い色。
そんなだから、噂の後輩くんはどーなのか、結構気になってたんだ。
そしたらある日、青い空が気持ち良くてグラウンドから見上げた瞬間、校舎の四階、奴と目があった。ニッコリ笑いかけてやった。後輩くんは一瞬驚いた顔をして授業に戻った。
その日からずっとその後輩の視線を感じるもんだから、俺の好奇心が疼いて仕方なくなった。
俺は流行物とか新鮮な物が大好きだからな。少し摘んでは飽きて捨てる感じ。
それがわかってるから、本気の女の子には絶対手を出さないし。
でもまあ、興味持った後輩に近づいて声をかけるくらいたいしたことないって思ってたんだな。この時は。
実際会って話してみても、そんな似てるって印象はない。自分ではよくわからないものなのかもしれない。
後輩くんと話すのは俺にとって有意義で面白いものだったが、ただひとつだけ後悔したことがある。
それは、後輩くんがどうやら俺に惚れているらしいということ。
恋愛感情を抱いているのには、割りとすぐに気がついた。
でもこのタイプは告げてこないだろうとか、男同士だってこと気にしていずれ諦めるだろうと思っていた……ので、まさか突然キスされるなんて思ってもみなかった訳だ。
しかもこれが……意外と手が早い。優等生面してるくせに。
でも見た目も可愛いし、俺の興味も失せなかったし、好きは好きだったし、押しに負けてまあ付き合ってもいいかって気になった。
正直言や、初めのうちはもし捨てることになっても、押しまくったそっちが悪いし男同士だし適当にしときゃいいかなんて小狡いことを考えていた。
今思えば浅はかだった。幸い俺も後輩くんのことを執着するくらい好きになれたからいいが、別れ話なんてしようもんなら間違いなく刺されそうだもんな……。
自分にはない執着心を持っててソレをかつ俺に向けてるってとこがよかったんだろう。
俺のことを好きだと言って懐いてハグしてくる後輩くんに少しずつ惹かれてった。現在進行形。
後輩くんはガッときたが、俺は少しずつ情が積もっていった感じ。気づけばその愛情にどっぷり浸かってた。
本当にこんな好きになっちまうなんて思わなかったな。
一番の誤算は俺が抱かれる側で定着してるってことなんだが。
ま、それはおいおいどうにかするとして、俺は新しく見つけた夢中になれる存在に、すっかりメロメロのデレデレなのだ。
「先輩は言い方が軽いんです! 愛が感じられないんです!」
「あれ?」
しかしながら、ずっと軽いスタイルでいたもんだから俺の愛は上手く伝わらないらしい。
でもさ、まあ、本当に……好きだからさ、これからもよろしくな、後輩くん!
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