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とけたそのあとで
夢の話
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朝起きて、隣にある体温に笑みがもれる。
そうか、昨日先輩泊まって行ったんだっけ……。
抱きしめようとしたのに、何故か腕を擦り抜けた。
あれ、おかしいな。確かに暖かいのに。丸まって寝てるのか?
「せーんぱい!」
布団をめくると、何故かそこには小さくなった先輩がいた。
「ええええ!」
「何だよ、うるさいな……」
そう言って起き出した先輩も、自分の身体を見て動きを止めた。
「なんだっ、これは!」
「小学生……くらいの身長でしょうか」
どうせ夢だろうとは思うけど、だったらもう少し、自分に都合がよくてもいいと思う。
今先輩との身長差は、普段のおれと先輩とちょうど同じくらい。
ただいつもとは逆の差で。
おれが先輩より高いのは嬉しいけど、いつもの先輩より高いような夢の方が良かったな。
「なあ、何か服ないか? これじゃ大きすぎて」
パジャマがずりおちている。
……これはこれで、凄くいいかもしれない。
いつも先輩からはおれがこんな風に見えているのか。
可愛いって言われても無理ないかも。可愛い。
「じゃあ、少し大きいと思いますが、これ」
「ん……」
うわあ。先輩が彼シャツしてる。凄い夢みたい。夢だろうけど。
「なあ、せっかくこんな身長差になったし……。してみないか?」
「え、それって、アレを……ですよね」
「ああ」
まさか先輩がそんなこと言い出すなんて!
でもなんか犯罪っぽい、でも可愛い。
「いいんですか?」
「こんな機会滅多にないだろうしな。プレイっぽいことは苦手だが、普通に俺は俺だし」
確かに、先輩が小さい他は何かおかしなプレイをする訳でもないし……。
「するか?」
「し、しますっ!」
そして俺はいつもとは逆に15センチばかり低いその身体を、ベッドへと押し倒した。
「待て、逆だ」
「ぎ、逆?」
「今は俺の方がお前より小さい。なら、今日は俺が後輩くんを抱いていい筈」
「なっ、何でそうなるんですか!」
「いつもなら、嫌がられると小さい身体を組み敷くのが申し訳なくなってできないが、今日は……」
言葉通り強引に、先輩がおれの身体をベッドへ縫い付ける。
小さいのに力はおれより強い。
「後輩くん、好きだぜ」
「……狡い」
キスが落ちてくる。先輩はいつも通りかっこよくて優しい。
強引な行為も許してしまえるほど。
夢ならいいんじゃないかとどこかで声がする。
何よりいつも先輩が言うように、この小さな身体を無理矢理組み敷くのは、おれにもどこか罪悪感があって……。
「優しくしてくださいね」
そう、耳元で囁いた。
……という夢を見た。なんでか、俺が!
隣では後輩くんが気持ち良さそうに眠っている。
なんだ。凄い混乱する。俺……俺は、白瀬瑞貴だ。
でも夢の中で俺は確かに、後輩くんだった気がする。
いや、イコールじゃなく、その視点側から物を見ていたというか。第一、俺自身だったらとんだナルシスト過ぎる。
俺であって俺じゃない、不思議な感覚だった。
俺はああなることをどこかで望んでるんだろうか。
後輩くんになりたいとか。後輩くんより小さくなりたい、とか。
でも俺は自分より小さな後輩くんを見下ろせたり、すっぽり抱きしめられる今の体格差が気に入っている。
夢は夢だよな、やっぱ。
「先輩……どうしたんですか?」
「悪い、起こしたか?」
「気にしないでください。いい夢見てましたけど、現実の先輩の方がいいですから」
思わずどきりとする。まさか後輩くんも同じ夢を……。
「いい夢って?」
「先輩が足を開いて、ここに景のおっきいのちょうだいって」
「言うか馬鹿!」
後輩くんはそんなこと言う俺がいいのか?
ああ、でも現実の方がいいって言ってたか。
「なあ、後輩くんはもし俺の背が30センチほど低くなって、お前を抱きたいとか言ったりしたらどうする?」
「抱かせません。そんなチャンスあったら間違いなく、抱きますね。可愛らしい先輩を」
「嫌がったりしたら?」
「体格差結構出るってことですよね? 無理矢理押さえ付けていただいちゃいます」
「……そうか」
後輩くんは思うよりしたたかで鬼畜だったな。
夢の中で後輩くんが素直だったのは俺の願望か。それとも俺の意思がどこかで作用していたのか。
というか、逆に抱かれる視点で見続けなくて良かったと思うべきか? しかも上に乗ってるのが俺自身って、どんな嫌がらせだ。
……訳が判らなくなってきた。
どうせああいう夢を見るなら、小さくてもいいから俺の視点で見てみたいもんだ。
まあ、同じ行動をとっても、後輩くんは一筋縄ではいかないんだろうけどな。
「というか、夢の中の先輩と途中だったんで、現実で最後までしていいですか?」
後輩くんの手が、パジャマの隙間から胸元へ忍び込む。
きゅっと摘まれて、思わず背筋が伸びた。
「ん……ッ。また俺、される側?」
「はい」
そんないい笑顔で。
でも覆いかぶさってくるのが後輩くんの身体だというのは、どこか安心する気がしなくもない。
「じゃあ今日は騎乗位にしてみます?」
「却下だ」
「まあ、そう言わずに」
これは夢の続きかもしれないと、どこかぼんやりしているうちに流されてしまった。
残念ながらきっちり現実だった。
いっそ俺が本当に小さければここまで恥ずかしくならずに済んだろうか。
「可愛かったですよー。先輩!」
「……うるさい」
そうか、昨日先輩泊まって行ったんだっけ……。
抱きしめようとしたのに、何故か腕を擦り抜けた。
あれ、おかしいな。確かに暖かいのに。丸まって寝てるのか?
「せーんぱい!」
布団をめくると、何故かそこには小さくなった先輩がいた。
「ええええ!」
「何だよ、うるさいな……」
そう言って起き出した先輩も、自分の身体を見て動きを止めた。
「なんだっ、これは!」
「小学生……くらいの身長でしょうか」
どうせ夢だろうとは思うけど、だったらもう少し、自分に都合がよくてもいいと思う。
今先輩との身長差は、普段のおれと先輩とちょうど同じくらい。
ただいつもとは逆の差で。
おれが先輩より高いのは嬉しいけど、いつもの先輩より高いような夢の方が良かったな。
「なあ、何か服ないか? これじゃ大きすぎて」
パジャマがずりおちている。
……これはこれで、凄くいいかもしれない。
いつも先輩からはおれがこんな風に見えているのか。
可愛いって言われても無理ないかも。可愛い。
「じゃあ、少し大きいと思いますが、これ」
「ん……」
うわあ。先輩が彼シャツしてる。凄い夢みたい。夢だろうけど。
「なあ、せっかくこんな身長差になったし……。してみないか?」
「え、それって、アレを……ですよね」
「ああ」
まさか先輩がそんなこと言い出すなんて!
でもなんか犯罪っぽい、でも可愛い。
「いいんですか?」
「こんな機会滅多にないだろうしな。プレイっぽいことは苦手だが、普通に俺は俺だし」
確かに、先輩が小さい他は何かおかしなプレイをする訳でもないし……。
「するか?」
「し、しますっ!」
そして俺はいつもとは逆に15センチばかり低いその身体を、ベッドへと押し倒した。
「待て、逆だ」
「ぎ、逆?」
「今は俺の方がお前より小さい。なら、今日は俺が後輩くんを抱いていい筈」
「なっ、何でそうなるんですか!」
「いつもなら、嫌がられると小さい身体を組み敷くのが申し訳なくなってできないが、今日は……」
言葉通り強引に、先輩がおれの身体をベッドへ縫い付ける。
小さいのに力はおれより強い。
「後輩くん、好きだぜ」
「……狡い」
キスが落ちてくる。先輩はいつも通りかっこよくて優しい。
強引な行為も許してしまえるほど。
夢ならいいんじゃないかとどこかで声がする。
何よりいつも先輩が言うように、この小さな身体を無理矢理組み敷くのは、おれにもどこか罪悪感があって……。
「優しくしてくださいね」
そう、耳元で囁いた。
……という夢を見た。なんでか、俺が!
隣では後輩くんが気持ち良さそうに眠っている。
なんだ。凄い混乱する。俺……俺は、白瀬瑞貴だ。
でも夢の中で俺は確かに、後輩くんだった気がする。
いや、イコールじゃなく、その視点側から物を見ていたというか。第一、俺自身だったらとんだナルシスト過ぎる。
俺であって俺じゃない、不思議な感覚だった。
俺はああなることをどこかで望んでるんだろうか。
後輩くんになりたいとか。後輩くんより小さくなりたい、とか。
でも俺は自分より小さな後輩くんを見下ろせたり、すっぽり抱きしめられる今の体格差が気に入っている。
夢は夢だよな、やっぱ。
「先輩……どうしたんですか?」
「悪い、起こしたか?」
「気にしないでください。いい夢見てましたけど、現実の先輩の方がいいですから」
思わずどきりとする。まさか後輩くんも同じ夢を……。
「いい夢って?」
「先輩が足を開いて、ここに景のおっきいのちょうだいって」
「言うか馬鹿!」
後輩くんはそんなこと言う俺がいいのか?
ああ、でも現実の方がいいって言ってたか。
「なあ、後輩くんはもし俺の背が30センチほど低くなって、お前を抱きたいとか言ったりしたらどうする?」
「抱かせません。そんなチャンスあったら間違いなく、抱きますね。可愛らしい先輩を」
「嫌がったりしたら?」
「体格差結構出るってことですよね? 無理矢理押さえ付けていただいちゃいます」
「……そうか」
後輩くんは思うよりしたたかで鬼畜だったな。
夢の中で後輩くんが素直だったのは俺の願望か。それとも俺の意思がどこかで作用していたのか。
というか、逆に抱かれる視点で見続けなくて良かったと思うべきか? しかも上に乗ってるのが俺自身って、どんな嫌がらせだ。
……訳が判らなくなってきた。
どうせああいう夢を見るなら、小さくてもいいから俺の視点で見てみたいもんだ。
まあ、同じ行動をとっても、後輩くんは一筋縄ではいかないんだろうけどな。
「というか、夢の中の先輩と途中だったんで、現実で最後までしていいですか?」
後輩くんの手が、パジャマの隙間から胸元へ忍び込む。
きゅっと摘まれて、思わず背筋が伸びた。
「ん……ッ。また俺、される側?」
「はい」
そんないい笑顔で。
でも覆いかぶさってくるのが後輩くんの身体だというのは、どこか安心する気がしなくもない。
「じゃあ今日は騎乗位にしてみます?」
「却下だ」
「まあ、そう言わずに」
これは夢の続きかもしれないと、どこかぼんやりしているうちに流されてしまった。
残念ながらきっちり現実だった。
いっそ俺が本当に小さければここまで恥ずかしくならずに済んだろうか。
「可愛かったですよー。先輩!」
「……うるさい」
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