弟を好きになりました

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それからの2人

構ってほしいの

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※弟視点



 友達から漫画を借りてきた。僕はあまり漫画を買ったりすることがなく、本を読むならもっぱら図書館だけど、友達がもの凄く勧めてくるので持ち帰った。
 家のリビングで読んでみる。確かに面白い。

 ……そういえば兄さんが漫画を読んでる姿って、あまり見たことないな。
 雑誌くらいで、本もほとんどない。家にある本といったら、自分ではあまり見る気になれない僕の成長記録アルバムくらいだ。
 
 漫画の続きが気になって夕飯の支度をしていなかったので、久々にピザを取ってみた。そのピザが届いたところで、兄さんがちょうど家に帰ってくる。
 
「あれ、今日ピザ?」
「うん。どうしてもこれの続きが気になっちゃって」
「漫画……」
「そういえば、兄さんってあまり漫画読まないよね。外で買って網棚に置いてきたりしてるの?」
「いや、俺は……小学生くらいまでは読んでたけど、律が産まれてからはほとんど読んでないな。ファッション雑誌くらいだ。律にとってカッコイイ兄でいられるように……」
 
 兄さんの世界は僕を中心に回ってるからな……。だいたいそういう答えが返ってくると思ったけど。
 ピザを食べながら黙々と漫画を読んでいると、兄さんが同じようにピザを食べながら、そわそわとこちらを見てくる。
 
「読む?」
「いや……律の顔、見てるほうがいい」
 
 兄さんは常に僕を見ているので、じろじろ見られて気になるということはない。やっぱりちょっと気恥ずかしいけど。

 ピザを食べ終えてソファへ移動してからも読み続けると、兄さんはそのうち、僕の膝に頭を乗せて眠ってしまった。
 恋人の頭を撫でながら漫画鑑賞とか、何この贅沢……。
 
 けど、かなりいいところまで進んだあたりで、僕が漫画を読み続けているのを面白くないと思っていたのか、いつの間にか起きた兄さんが邪魔を始めた。
 邪魔といっても、僕の膝を撫でるくらいの行動だけど。
 いつもは犬っぽいのに、今日はちょっと猫っぽい。こんな兄さんも可愛い。
 
「何? 構ってほしいの?」
「……うん」
 
 可愛い。
 
「漫画より、何より、律がいい」
 
 そう言って、僕の唇にちゅっちゅっとキスをしてくる。
 普段兄さんだって、雑誌くらいは読むんだから、僕が読む横で読んでいればいいのに……。僕が兄さん以外に夢中になっているのが、そんなにヤだったの?
 構ってオーラを出す兄さんにたまらなくなって、僕はそのままソファへ押し倒した。
 
「あ、律……ッ」
「僕も、漫画を読むより兄さんとイチャイチャしてるほうが、面白いよ」
「面白いって……」
「幸せだよって言ったらいい?」
「……俺も」
 
 僕の背に、兄さんの腕が回る。借り物だったから早く返したかったのに……もう、漫画に集中なんてできそうにない。
 僕を飽きさせないように、明るい電気の下いっぱい喘いで跳ねて見せてね。
 
 漫画は明日、休み時間中にでも読むとしよう。友達には飼ってる猫が邪魔してきて読めなかったとでも言えばいい。
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