和紙の里の物語

水戸藩の北、丁度獅子の背にチョコンと乗っている小鳥のような小さな方山藩。殿様は無類の剣術好き。毎年国許の手練を江戸へ呼び試合をさせている。この藩の、西野村で暮らす郷士の三木惣介は作事方の仕事をしながら紙漉きをして暮らしている。
 三木惣介は細々と続いている西野和紙の普及と剣術の試合を託されて江戸へ行くことになった。そんな中、父親から家に代々伝わる秘剣の話しを聞かされ、その技を伝授される。
 江戸では中々和紙は売れず苦労したが、ひょんな事から表具師と知り合い、段々売れるようになってきた。ある日、酔っぱらいに絡まれている女を助けてみれば紙問屋の娘、しかも方山藩主に仕える侍女で名は香乃という。数日後、藩のお偉方に、その香乃を嫁にせよと言われ仰天する。
 惣介は試合には負けたが香乃を伴い国許へ帰り、紙漉きをしながら幸せに暮らす。ひとり娘のかえでもすくすくと育ち、剣術を習い始め腕を上げる。
 そんな中、次席家老が暗躍し始めた。城代家老を失脚させ西野和紙を搾取しようと蠢く。秘剣を求めて奥村左門という剣士も現れた。惣介は秘剣をかえでに伝授する。かえでは国許の実情を訴えるため、密書を江戸へ届けることになった。その後を追手が迫る。
 追手を振り切り、江戸へ辿り着いたかえでだが、すでに国許は次席家老一派の手に落ちていた。しかも、方山藩総目付の松本清十郎から、奥村左門に父母を殺された事を聞かされかえでは愕然とする。その奥村左門は秘剣を我がものとするため、かえでを追って江戸へ来たという。
 かえでは決意する。父母の仇を討つと。
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