姫プレイがやりたくてトップランカー辞めました!

椿原守

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番外編

25 俺の姫プレイと予言の書 11

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 ──翌日。
 仕事帰りにコンビニへ寄って、飲み物と酒を数本、あとつまみにもなりそうなお菓子を選んだ。

 トモヤのマンションに着いて、インターホンを鳴らす。
 少しすると、玄関のドアがガチャッと音を立てて開いた。

 ふわっと柔らかい笑顔を浮かべながら、トモヤは「いらっしゃい」と声をかけてくる。
 その笑顔につられて、俺もにこっと笑ってしまった。

「トモヤ。飲み物買ってきたから、ちょっと冷蔵庫貸して」
「うん。いいよ。何買ってきたの?」
「コーラとお茶と、あと酒」
「……お酒?」
「ボス連戦した後は絶対飲みたくなると思って!」
「なるほど。さては、チヒロ……それがやりたかったんだね?」

 さっきまで柔らかな笑顔を浮かべていたはずのトモヤが、ニッコリと営業スマイルに切り替わる。

「昨日はてっきり、僕の心配をしてくれてたんだと思ったのにな……お酒が目的だったのかぁ」
「いやいや、心配してたよ!? してたけど、朝起きて、よくよく考えてみたら、お前なら鼻水垂らして、ヘッドギアつけたりしないよなぁって……」
「……しないけど、いや、まぁ、うん。しないけど」
「だろ? じゃあ、もう『家に来てもいい』って言うことは、本当に回復したんだと思ったんだ。だから、こうして、ちゃーんとお前の分の酒も買ってきたんだぞ!!」

 ビニール袋の中をガサガサと漁って、じゃん! と取り出して見せる。
 すると、トモヤは眉を下げて苦笑した。

「僕の分もあるなら、それはもう文句言えないなぁ」
「だろ? だろ? あ。そうだ。トモヤの部屋着貸して~あと、ついでに先にシャワー借りてもいい?」
「じゃあ、これは僕が冷蔵庫に入れておくよ。着替えも、あとで持って行くから、お風呂先にどうぞ」
「さんきゅー!」

 ビニール袋ごとトモヤに渡す。
 そして、俺は洗面所へ行き、そのドアを開けた。

 シャワーを浴びて、浴室を出るとモコモコの服が置いてあった。
 肌触りの良いこの部屋着を着て、トモヤが待っている部屋へと戻る。

 そして、俺達はヘッドギアとリストを装着して、DFOの世界へと旅立った。

 
 ** 


「あ、レンからチャット来た」

 ログインした途端、フレンドチャットが飛んできた。相手はレン。
「どこに集まればいいんだ」という内容だった。
 
「トモヤ。レンが、どこに集まればいい? って言ってる」
「そうだなぁ。現地集合でいいんじゃない?」
「おっけー。じゃあ、そう返事するわ」

 言われた通りの内容を返して、俺はチャットを閉じる。

 俺達は、水都にいた。
 氷竜にところへ行く前に、バザーを覗いて、必要なものを買い足す。

 それから、街を出て、氷竜のいる場所を目指した。
 フィールドが、緑や茶色の地面から、白銀に染まった世界へと変わっていく。
 青白く光る氷の柱が何本もあった。それらを避けて、氷竜のいるところへと到着する。

 レンとセイヤ、レツヤは、先に待っていたようだ。
 俺達が来るのを見て、セイヤとレツヤはブンブンと手を振っている。

「「やっほー! チヒロー!」」
「あれ? ふたり? どっちか片方だけでよかったのに」
「「チヒロ! ひどい! 俺達はいつも一緒なんだよ」」
「でも、氷竜にレンが参加するなら、残りの枠は、ひとりだけだろ……?」
「「一回ずつ交代でやる。最後はジャンケンで勝った方がやるんだ」」

 それを聞いたトモヤが「ええ……」と声を出す。
 トモヤは、眉を寄せていた。

「レツヤならまだ少しは回復魔法使えるからいいけど、セイヤが参加するときは……前衛三人にならない? そうなると、僕の負担多すぎるんだけど」
「「トモヤならやれる!」」
「そうだな! トモヤなら、やれるって!」
「チヒロまで……。あのさぁ、君達、これボス戦だって分かって言ってる?」

 トモヤはそう言いながらも、頭の中で戦いをシミュレーションし始めた。
 顎先に指を当てて、ブツブツと呟きだす。そして、なにか気になる点が出てきたのか、レンのところへ移動して、トモヤはレンとふたりで話を始めた。

「「なんか、ふたりで難しい話、始めちゃったね」」
「まぁ、アイツらに任せておけば、何とかなるだろ」
「「そうだね!」」

 俺とセイヤ、レツヤはどちらかといえば、感覚勢だ。
 ボスと戦うにしても、「なんとなくそう思ったから」で行動するタイプになる。

 トモヤとレンは俺達とは正反対で、分析型のタイプだ。

 アイツらの話し合いが終わるまで、俺はエクソダスの双子と話を続ける。
 昨日のPvPでサヨが竜騎士になって、大技一発で相手を倒したことを言うと、ふたりはポカンとした顔を見せた。

「「サヨちん……が、前衛?」」
「おう。稀にだけどな。まだDFOやり出した頃は、ちょいちょいやってたけどさ」
「「なにそれ!? 超見たかったー!」」
「サヨは強いぞ~! 俺も戦いたいけど、アイツは嫌だって言うからさぁ」
「「レンとサヨちんだったら?」」
「んー……やっぱ、サヨかな」
「「おお!!」」

 そんな会話をしていたら、どうやら向こうの話は終わったらしい。
 トモヤが俺を呼ぶ。

 俺はジョブチェジをして、戦士になった。
 深紅の大剣を背中に抱えて、ボス用スキルをセットする。
 
 戦士である俺、魔法剣士のレン、召喚士のレツヤ、賢者のトモヤ。
 まずこの四人で氷竜と戦うことになった。

 一戦目──勝利。

 レツヤとセイヤを入れ替える。

 二戦目──敗北。

 
「……やっぱり、前衛三人を僕ひとりで支えるのはキツいよ」

 トモヤが、はぁはぁと肩で息をしている。
 攻撃のモーションが分かりづらい氷竜は、こちら側で敵の動きを予測して、先手を打つ必要があった。

 その択を間違えると、そこそこ大きなダメージを負う。
 そのときの負担が、トモヤに大きくのしかかる。パーティー皆を回復するのに、どうしても時間がかかった。
 その択の失敗が、立て続けに起こった場合は……全員赤文字──戦闘不能となる。

 トモヤの発言を聞いた、レンが反応をする。

「……回復が多少でも使える職が、もう一人いないと厳しい、か」
「うん。そうだね。だから、三戦目をやるなら、レツヤがいいかな」

 そう言われたレツヤは、その場でぴょんぴょんと跳ねて喜び、セイヤは隣でシュンとして、しゃがみ込んでいる。
 俺は、しょげてるセイヤの頭を、くしゃくしゃとかき回した。

「……早めに終わったら、俺が<聖女>になるから、もう一戦やるか?」
「やるっ! チヒロってば良いヤツ!」
「レベルはまだ足りないから、途中で終わっても文句言うなよ?」
「言わない言わない!」

 その返事を聞いて、「おっけー」とセイヤに笑って答える。
 氷竜と4戦となると、トモヤと約束していた0時を超えてしまいそうだが、そこは許してもらおう。

(きっと『仕方がないなぁ』って、笑って言ってくれるはずだ)

 そんなことを思いながら、俺は深紅の大剣を両手で握ると、氷竜の元へ走るのだった。
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