23 / 61
二章 “憐れみ掠する地獄の王”悪鬼編
第23話 幼なじみ達
しおりを挟む
「流石に強い! 第一学園!! 一気に第四学園の次鋒を一人で下してしまったぁぁ!!」
「加藤……無理しないでね」
「ああ」
そう言ったのは、俺の幼なじみでもある金城玲奈だ。
学園長が特別席に呼び出されるため、彼女が代理指揮官となったのだ。
なぜ一年の彼女に任されたのかは定かではないが……恐らくうちの主戦力が一年生の加藤と俺だから、というのもあるだろうな。
(玲奈か……そういえばあの事件以来一度も遭遇しなかったな)
俺にとって玲奈は、なんというか、自分勝手な存在だ。
ランダムバッドイベントみたいなもんか。
「……」
「続いて第四学園中堅、一年中級探索者の加藤俊介だァァァ!」
当然と言えば当然なのだが、第一学園は先鋒ですら上級探索者だった。その先鋒によって、白城先輩と剛田先輩は30秒持たずにやられてしまった。それに、花澤先輩はいくら治療が完了したとはいえ、自爆なんてしたもんだからまだ目が覚めない。恐らく、加藤の次は俺だろう。
(五人抜きしなきゃいけねえぇかな……)
「第四学園なんぞがどうやってここまで勝ち進んできた。どう見てもお前らはレベルが低すぎる」
「……」
第一学園先鋒の高田の言葉に、加藤は静かに拳を振るわせた。
「大将が強いにしても、限度がある。うちの“神童”かって一人で勝ち抜けばかなり疲労するだろう」
高田は遠回しに、今の俺を倒すのは簡単だと言っている。
「……」
それに対し、加藤は何も言わなかった。
「試合開始──」
「【縮地】!」
「ッ!」
審判が試合開始と言うが早いか、高田は高速移動スキルで魔術士の加藤に接近する。
加藤はそれを、すんでのところで受け止めた。しかし……
「中級の割にはやるな」
「……グッ、ハッ!!」
連続で発動する【縮地】による高速攻撃に加藤は対応しきれなかった。
高田の槍が加藤の土手っ腹を貫く。
(そろそろ準備──)
「雑魚が」
「……それは、どうかな?」
「?」
しかし、そこで加藤は思いもよらぬ行動に出た。槍に貫かれたまま、両手に赤い魔力を貯め出したのだ。そして、大声で叫ぶ。
「先輩が身を捧げたっていうのに……千縁が一人で頑張ってるのに……俺がこのまま負けて、いられるかッッッ!!」
「お前、まさか──」
加藤の演説に、観客席が盛り上がる。
(……!? なんのつもりだ!?)
「あんまり俺たちをバカにするなよ!! お前らにとっちゃ、俺たちは雑魚かもしれないけどなぁ!! 俺たちかって誇りを持って、戦ってるんだよ!!」
「ちっ……黙れ!」
「「「そうだそうだ!!」」」
「第四学園踏ん張れええええ!!」
「偉そうな第一学園に勝っちまえよー!!」
会場が沸きたつ中、俺は一人鳥肌を立てていた。
急に、一体どういう風の吹き回しなんだ?
加藤がそんなことをいう人間じゃないのは知っている。最近改心してたかもしれないが、いくらなんでも急にこんなことを言い出すとは思ってなかった。
得体の知れない混乱が千縁を襲った。
そして、加藤は高らかに叫んだ。
「くらえ……【エクス──」
「クッ……!?」
「プロージョン】!!」
【エクスプロージョン】。上級探索者が好んで使う、爆発魔法だ。基本的にはその性質から多数戦で使われるが、今のように密接した状態で使えば……
当然、共倒れの必殺技と化す。
加藤が両手のひらを高田に向けると同時に、高田は加藤を貫通して抜けない槍を諦めて、クロスガードの姿勢をとる。
そして……
「グッ……!? なっ……!」
加藤の手には爆発ではなく槍が生まれる。そして、胸の前で腕を交差させている高田の右目に、【フレイムランス】をぶち込んだ。
「グアアアアアアア!?!?」
「「「「「……????」」」」」
「そ、そこまで!! 第四学園の勝ち!!」
「な……まさかフェイク!?」
「卑怯な!!」
審判が急いで回復魔術師を呼んで、宣言する。
その声に、加藤は俺達の方へ帰ってきて、呟いた。
「今は騙すしかなくても、いずれ正面から勝って、お前に追いついて見せる。だから今は……。任せた。一人倒したんだから、残りは当然勝てるよな?」
「なに、鳥肌立つんだけど」
俺は加藤の言葉に呆気に取られた。
加藤は皆の批判を買うような卑劣な行動で第一学園先鋒を下した。
これを見た人は皆、加藤はずるいやつだ、というだろう。
「……まあ、お前の意思は伝わったが」
しかし、加藤は自分の評判を気にせず、世間体を捨ててでも一人を落とした。
それは他の皆にとっては卑劣でも、チームを勝たせるという決意でもあった。
俺が五人を相手どるのは難しい、と配慮してのことだろう。
逆に言えば、一人でも減らせば俺が“神童”を倒せると信じているようだ。
鳥肌は立ったが。いやまじで。
因みに加藤のこの鳥肌行動が、対抗祭で爪痕残したいとかいう唯の厨二病故と知るのは、遥か先のこと。
「……ったく、んな勝手なことしなくても全員俺に任せりゃよかったのに」
(しかしこいつは俺も、いっちょ魅せてやんなくちゃな)
自然と口角が上がった。
俺は先輩が出場できないため、四人目で大将として立ち上がる。
「ねっねえ、ちよ」
「ん?」
そして会場に行こうとすると、玲奈が俺を引き留めた。
「なんだ?」
「その……」
玲奈は少し口ごもった後顔を上げ、いつぶりか真っ直ぐに俺の目を見て言った。
「終わったら、ちょっといい? 聞きたいこととか……あるから」
「やだ」
俺は玲奈の言葉を無視して、そのまま会場へと降り立ったのだった。
~~~~~
「これは驚きの展開だアアアアア!!! 第四学園加藤選手、巧みな嘘で高田選手を相討ったアアアア!!」
「卑怯だぞー!!!」
「誇りはどこにいったんだー!!!」
「ハハハハ!! いいぞ! もっとやってやれ!!」
観客たちはいろいろな反応を示すが、やはり加藤に対する批判が多かった。
「第四学園は後がない!! 再び第四学園の命運は、この男に託された!! 第四学園大将、宝晶千縁ィィィ!!!!」
「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」
「また奇跡を見せてくれぇぇぇぇ!!」
「一年!! 俺たちの代わりに優勝をもぎ取ってやれええ!!」
今度は、会場が大歓声に包まれた。先ほど“悪童”を下した俺が、“奇跡”を起こすことを期待しているのだろう。
「期待通り。優勝してみせるさ!!」
「「「「「「「うおおおおおお!!」」」」」」
俺が高らかに腕を上げて宣言すると、ベンチと観客が雄叫びを上げた。
「さあ! そんな革命児、宝晶選手に対するは、第一学園次鋒! 富永英吉選手だァァァ!!!!」
「……体力を減らすことに集中しろ。“悪童”にかったくらいだ、疲弊させるしか勝ち目はないぞ」
「……わかりました」
第一学園側ベンチで副コーチがこっそり作戦を伝えてるのが聞こえたが、俺の超聴覚を持ってすれば丸聞こえだった。
「へぇ……?」
「宝晶選手は再び奇跡を見せるのかッッ!! それとも第一学園、圧倒的な力を見せつけることができるのか!? それでは試合──開始!!!!!」
「「「「「わあああああ!!」」」」」
~~~~~
「……ちよ」
私、金城玲奈は舞台に上がるちよを見て、呟いた。
昔は仲が良くて、よく遊んだりもしたのに。
いつからか、二人の距離はかなり空いてしまった。
(中学の時は……よく二人で遊んだりもしたのに)
それも、“彼女”が現れるまでだったが。
あの頃の玲奈は、少なからず千縁に好意を寄せていた。
「どこから、間違ったんだろう……」
“彼女”のせいで、千縁は急に探索者を目指すことになった。中学から専門学校に行っている人も多いし、何より今年の世代は『黄金世代』で競合率が高いのに。
でも千縁は聞く耳を持たず、そこそこ偏差値の高い学校に行ける学力もあったはずなのに、大阪探索者学校の最弱校、第四学園になんとかといった成績で入学した。
そして、千縁が中二の時に急に探索者になるなんていうものだから、「一緒に行こう」と、私も第四学園に入学した。
でも、ちよの成績は思ったより悪く、態度のせいで他三学園に落とされた中級探索者の加藤に入学早々いじめられてしまった。
この学園で中級探索者となれば、絶対的な権力者だ。
「ねえ、玲奈はなんで宝晶に優しいの? 幼なじみだから? それとも……」
「なんでだろねぇ? あんなやつと仲良くしてもなにもないよ?」
「……」
新しく出来た友達も、皆ちよを馬鹿にし、それを庇う私も馬鹿にすることもあった。
そのうち私はちよを庇うことも無くなって、私とちよの交流は無くなってしまった。
「……ちよ」
「?」
「ぁ……邪魔」
今でも廊下でちよに会うたび、つい声をかけてしまう。でも、なんて言ったらいいかわからない。
結局いつも誤魔化して、会話を避けてしまった。
(私が……もっとちゃんと……話せてたら)
私がもっと、千縁の味方になってあげていたら、今頃どんな関係になっていたのだろうか。
“彼女”がここを離れたというのに、私はなにもできなかった。
結局、私はいつも言い訳してただけだったんだ。
ちよは今、なにがあったのか夏休み中に信じられないほど成長して、全国が注目する大舞台に立っている。
「……さよなら」
私が逃げてばっかりだったから。
私が守ってあげれなかったから。
もう彼は届かない場所に行ってしまったんだ。
「加藤……無理しないでね」
「ああ」
そう言ったのは、俺の幼なじみでもある金城玲奈だ。
学園長が特別席に呼び出されるため、彼女が代理指揮官となったのだ。
なぜ一年の彼女に任されたのかは定かではないが……恐らくうちの主戦力が一年生の加藤と俺だから、というのもあるだろうな。
(玲奈か……そういえばあの事件以来一度も遭遇しなかったな)
俺にとって玲奈は、なんというか、自分勝手な存在だ。
ランダムバッドイベントみたいなもんか。
「……」
「続いて第四学園中堅、一年中級探索者の加藤俊介だァァァ!」
当然と言えば当然なのだが、第一学園は先鋒ですら上級探索者だった。その先鋒によって、白城先輩と剛田先輩は30秒持たずにやられてしまった。それに、花澤先輩はいくら治療が完了したとはいえ、自爆なんてしたもんだからまだ目が覚めない。恐らく、加藤の次は俺だろう。
(五人抜きしなきゃいけねえぇかな……)
「第四学園なんぞがどうやってここまで勝ち進んできた。どう見てもお前らはレベルが低すぎる」
「……」
第一学園先鋒の高田の言葉に、加藤は静かに拳を振るわせた。
「大将が強いにしても、限度がある。うちの“神童”かって一人で勝ち抜けばかなり疲労するだろう」
高田は遠回しに、今の俺を倒すのは簡単だと言っている。
「……」
それに対し、加藤は何も言わなかった。
「試合開始──」
「【縮地】!」
「ッ!」
審判が試合開始と言うが早いか、高田は高速移動スキルで魔術士の加藤に接近する。
加藤はそれを、すんでのところで受け止めた。しかし……
「中級の割にはやるな」
「……グッ、ハッ!!」
連続で発動する【縮地】による高速攻撃に加藤は対応しきれなかった。
高田の槍が加藤の土手っ腹を貫く。
(そろそろ準備──)
「雑魚が」
「……それは、どうかな?」
「?」
しかし、そこで加藤は思いもよらぬ行動に出た。槍に貫かれたまま、両手に赤い魔力を貯め出したのだ。そして、大声で叫ぶ。
「先輩が身を捧げたっていうのに……千縁が一人で頑張ってるのに……俺がこのまま負けて、いられるかッッッ!!」
「お前、まさか──」
加藤の演説に、観客席が盛り上がる。
(……!? なんのつもりだ!?)
「あんまり俺たちをバカにするなよ!! お前らにとっちゃ、俺たちは雑魚かもしれないけどなぁ!! 俺たちかって誇りを持って、戦ってるんだよ!!」
「ちっ……黙れ!」
「「「そうだそうだ!!」」」
「第四学園踏ん張れええええ!!」
「偉そうな第一学園に勝っちまえよー!!」
会場が沸きたつ中、俺は一人鳥肌を立てていた。
急に、一体どういう風の吹き回しなんだ?
加藤がそんなことをいう人間じゃないのは知っている。最近改心してたかもしれないが、いくらなんでも急にこんなことを言い出すとは思ってなかった。
得体の知れない混乱が千縁を襲った。
そして、加藤は高らかに叫んだ。
「くらえ……【エクス──」
「クッ……!?」
「プロージョン】!!」
【エクスプロージョン】。上級探索者が好んで使う、爆発魔法だ。基本的にはその性質から多数戦で使われるが、今のように密接した状態で使えば……
当然、共倒れの必殺技と化す。
加藤が両手のひらを高田に向けると同時に、高田は加藤を貫通して抜けない槍を諦めて、クロスガードの姿勢をとる。
そして……
「グッ……!? なっ……!」
加藤の手には爆発ではなく槍が生まれる。そして、胸の前で腕を交差させている高田の右目に、【フレイムランス】をぶち込んだ。
「グアアアアアアア!?!?」
「「「「「……????」」」」」
「そ、そこまで!! 第四学園の勝ち!!」
「な……まさかフェイク!?」
「卑怯な!!」
審判が急いで回復魔術師を呼んで、宣言する。
その声に、加藤は俺達の方へ帰ってきて、呟いた。
「今は騙すしかなくても、いずれ正面から勝って、お前に追いついて見せる。だから今は……。任せた。一人倒したんだから、残りは当然勝てるよな?」
「なに、鳥肌立つんだけど」
俺は加藤の言葉に呆気に取られた。
加藤は皆の批判を買うような卑劣な行動で第一学園先鋒を下した。
これを見た人は皆、加藤はずるいやつだ、というだろう。
「……まあ、お前の意思は伝わったが」
しかし、加藤は自分の評判を気にせず、世間体を捨ててでも一人を落とした。
それは他の皆にとっては卑劣でも、チームを勝たせるという決意でもあった。
俺が五人を相手どるのは難しい、と配慮してのことだろう。
逆に言えば、一人でも減らせば俺が“神童”を倒せると信じているようだ。
鳥肌は立ったが。いやまじで。
因みに加藤のこの鳥肌行動が、対抗祭で爪痕残したいとかいう唯の厨二病故と知るのは、遥か先のこと。
「……ったく、んな勝手なことしなくても全員俺に任せりゃよかったのに」
(しかしこいつは俺も、いっちょ魅せてやんなくちゃな)
自然と口角が上がった。
俺は先輩が出場できないため、四人目で大将として立ち上がる。
「ねっねえ、ちよ」
「ん?」
そして会場に行こうとすると、玲奈が俺を引き留めた。
「なんだ?」
「その……」
玲奈は少し口ごもった後顔を上げ、いつぶりか真っ直ぐに俺の目を見て言った。
「終わったら、ちょっといい? 聞きたいこととか……あるから」
「やだ」
俺は玲奈の言葉を無視して、そのまま会場へと降り立ったのだった。
~~~~~
「これは驚きの展開だアアアアア!!! 第四学園加藤選手、巧みな嘘で高田選手を相討ったアアアア!!」
「卑怯だぞー!!!」
「誇りはどこにいったんだー!!!」
「ハハハハ!! いいぞ! もっとやってやれ!!」
観客たちはいろいろな反応を示すが、やはり加藤に対する批判が多かった。
「第四学園は後がない!! 再び第四学園の命運は、この男に託された!! 第四学園大将、宝晶千縁ィィィ!!!!」
「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」
「また奇跡を見せてくれぇぇぇぇ!!」
「一年!! 俺たちの代わりに優勝をもぎ取ってやれええ!!」
今度は、会場が大歓声に包まれた。先ほど“悪童”を下した俺が、“奇跡”を起こすことを期待しているのだろう。
「期待通り。優勝してみせるさ!!」
「「「「「「「うおおおおおお!!」」」」」」
俺が高らかに腕を上げて宣言すると、ベンチと観客が雄叫びを上げた。
「さあ! そんな革命児、宝晶選手に対するは、第一学園次鋒! 富永英吉選手だァァァ!!!!」
「……体力を減らすことに集中しろ。“悪童”にかったくらいだ、疲弊させるしか勝ち目はないぞ」
「……わかりました」
第一学園側ベンチで副コーチがこっそり作戦を伝えてるのが聞こえたが、俺の超聴覚を持ってすれば丸聞こえだった。
「へぇ……?」
「宝晶選手は再び奇跡を見せるのかッッ!! それとも第一学園、圧倒的な力を見せつけることができるのか!? それでは試合──開始!!!!!」
「「「「「わあああああ!!」」」」」
~~~~~
「……ちよ」
私、金城玲奈は舞台に上がるちよを見て、呟いた。
昔は仲が良くて、よく遊んだりもしたのに。
いつからか、二人の距離はかなり空いてしまった。
(中学の時は……よく二人で遊んだりもしたのに)
それも、“彼女”が現れるまでだったが。
あの頃の玲奈は、少なからず千縁に好意を寄せていた。
「どこから、間違ったんだろう……」
“彼女”のせいで、千縁は急に探索者を目指すことになった。中学から専門学校に行っている人も多いし、何より今年の世代は『黄金世代』で競合率が高いのに。
でも千縁は聞く耳を持たず、そこそこ偏差値の高い学校に行ける学力もあったはずなのに、大阪探索者学校の最弱校、第四学園になんとかといった成績で入学した。
そして、千縁が中二の時に急に探索者になるなんていうものだから、「一緒に行こう」と、私も第四学園に入学した。
でも、ちよの成績は思ったより悪く、態度のせいで他三学園に落とされた中級探索者の加藤に入学早々いじめられてしまった。
この学園で中級探索者となれば、絶対的な権力者だ。
「ねえ、玲奈はなんで宝晶に優しいの? 幼なじみだから? それとも……」
「なんでだろねぇ? あんなやつと仲良くしてもなにもないよ?」
「……」
新しく出来た友達も、皆ちよを馬鹿にし、それを庇う私も馬鹿にすることもあった。
そのうち私はちよを庇うことも無くなって、私とちよの交流は無くなってしまった。
「……ちよ」
「?」
「ぁ……邪魔」
今でも廊下でちよに会うたび、つい声をかけてしまう。でも、なんて言ったらいいかわからない。
結局いつも誤魔化して、会話を避けてしまった。
(私が……もっとちゃんと……話せてたら)
私がもっと、千縁の味方になってあげていたら、今頃どんな関係になっていたのだろうか。
“彼女”がここを離れたというのに、私はなにもできなかった。
結局、私はいつも言い訳してただけだったんだ。
ちよは今、なにがあったのか夏休み中に信じられないほど成長して、全国が注目する大舞台に立っている。
「……さよなら」
私が逃げてばっかりだったから。
私が守ってあげれなかったから。
もう彼は届かない場所に行ってしまったんだ。
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる