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彼の謎
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……ゴフッ!
「…よかった」
目が覚めると目の前にびしょ濡れ姿の豹の姿があった。
助かったの…?
「…瑞穂さんは?」
「生きてるよ…今は眠ってるけど」
ゆっくりと首を右に動かすと同じくびしょ濡れ姿で眠っている瑞穂の姿があった。
「よかった…」
ホッと安堵の言葉を漏らすと急に真剣な顔になった豹がいた。
「それより、もう一度聞く…美嶋 星那で合ってるよな?」
もうここまで来たら誤魔化せない。
濡れた影響でカツラも取れサラシが浮き彫りになってしまった自分の姿に女である事を隠す事は諦め豹の言葉にゆっくりと頷く。
「皆にバラすつもりなの?」
「はぁ…なんの事情があるかは知らねぇがわざわざバラすようなめんどくさい真似するつもりはねぇよ」
「えっ…」
「ただ単に確認したかっただけだ」
そう言う豹の目は本当の事を言っているように見えた。
「言わないでくれると助かる…」
「分かった、言わない」
豹を信用した様な台詞を言ったせなだが、本当は豹に対して疑問を抱いていた。
疑問は三つある。
一、何故自分まで川に落ちるという最悪な未来のビジョンが回避出来なかったのか?
二、何故未来のビジョンにすら映らなかった豹がこの場にいるのか?
三、豹は一体何者なのか?
それらの疑問にあえて口には出さず自分の中で問いただしていた。
ま、とにかく今は…
「助けてくれてありがとう…」
豹が助けてくれた事は真実に変わりないので素直にお礼を述べると無表情のまま返答が返ってきた。
「別に…」
三つの疑問が交差する中、一番気になる事を口にする。
それは…
「何で橋の近くにいたの?」
そう、豹は明と一緒に休憩所にいたはずだ。
この騒ぎを知る由もなくましては追いかける事すら出来ないはずだ。
「…明さんに睡眠薬を飲ませてあんたの様子を見てたから追いかけてきた」
「は?睡眠薬?」
危なっかしい単語に唖然としていると豹は懐から薬の入った小瓶を取り出した。
「あんたの事が気になって休憩所から出るためにこれで眠らせた」
「もっと他にやり方があったはずじゃ…」
強硬手段にしても薬で眠らせるなんてやり過ぎにも程がある。
「…いや、あれしか手段がなかった」
嘘つけ!単にめんどくさかっただけだろ!
一瞬間を開けて言う豹にあからさまに嘘だとすぐ分かった。
「それよりそれそのままでいいの?」
豹の視線の先には濡れたサラシによって浮き彫りになった胸があった。
「えっ…うわっ!?きゃあぁぁぁぁ!!」
慌てて両手で胸を隠しゆっくりと顔を上げ豹の表情を伺う。
「安心して、俺あんたに興味なんて微塵もないから」
何かそれはそれで腹立つんですけど。
ジト目のまま豹を見ていると溜息を一つつきあらかじめ脱いでいたらしい紺のジャケットを突き出した。
「これやるから着てなよ」
「あ、ありがとう…」
渡されたジャケットを羽織り浮き彫りになっている胸を隠す。
「ねぇ、この人どうすんの?」
豹の言葉に隣で眠る瑞穂に向き直り悩むように少し思案した後、今度は豹に向き直る。
「豹、瑞穂さんをお店まで運んでくれないかな?」
「何で俺が」
「今の私じゃ女だってすぐばれるしこんなびしょ濡れじゃすぐに男の格好なんて出来ないから今瑞穂さんを運べるのは豹しかいないから」
それにカツラもどっかいっちゃったしね…
川に流されてしまったのであろうカツラを思い、買い直さなければいけない事に溜息が出るが金のためなら仕方なし。
「はぁ…分かった」
溜息混じり承諾してくれた豹に更につけ加えとして付け足す。
「ついでにオーナーの蓮さんに伝えて欲しいんだけど、瑞穂さんうちの店で雇うからよろしくって伝えといて」
「はぁ!?そんな勝手に決めていいのかよ?」
「俺がいるって言っちゃったからさ、少しでも瑞穂さんの夢の手助けしたいと思ったらこれしか思い浮かばなくて…あはは」
乾いた笑いを浮かべつつ隣で眠る瑞穂に笑顔を向ける。
「どうなっても知らねぇからな?この偽善者」
「なっ!?また偽善者って!私は偽善者じゃなくて本心で助けたいって…」
反論しようと叫ぶが豹は聞く耳を持たず眠っている瑞穂を担ぐ。
「またな…せな」
そう言うと豹は瑞穂を担いだまま店に戻っていった。
「せなって…やっぱりあの時聞こえた声って豹だったんだ」
「…よかった」
目が覚めると目の前にびしょ濡れ姿の豹の姿があった。
助かったの…?
「…瑞穂さんは?」
「生きてるよ…今は眠ってるけど」
ゆっくりと首を右に動かすと同じくびしょ濡れ姿で眠っている瑞穂の姿があった。
「よかった…」
ホッと安堵の言葉を漏らすと急に真剣な顔になった豹がいた。
「それより、もう一度聞く…美嶋 星那で合ってるよな?」
もうここまで来たら誤魔化せない。
濡れた影響でカツラも取れサラシが浮き彫りになってしまった自分の姿に女である事を隠す事は諦め豹の言葉にゆっくりと頷く。
「皆にバラすつもりなの?」
「はぁ…なんの事情があるかは知らねぇがわざわざバラすようなめんどくさい真似するつもりはねぇよ」
「えっ…」
「ただ単に確認したかっただけだ」
そう言う豹の目は本当の事を言っているように見えた。
「言わないでくれると助かる…」
「分かった、言わない」
豹を信用した様な台詞を言ったせなだが、本当は豹に対して疑問を抱いていた。
疑問は三つある。
一、何故自分まで川に落ちるという最悪な未来のビジョンが回避出来なかったのか?
二、何故未来のビジョンにすら映らなかった豹がこの場にいるのか?
三、豹は一体何者なのか?
それらの疑問にあえて口には出さず自分の中で問いただしていた。
ま、とにかく今は…
「助けてくれてありがとう…」
豹が助けてくれた事は真実に変わりないので素直にお礼を述べると無表情のまま返答が返ってきた。
「別に…」
三つの疑問が交差する中、一番気になる事を口にする。
それは…
「何で橋の近くにいたの?」
そう、豹は明と一緒に休憩所にいたはずだ。
この騒ぎを知る由もなくましては追いかける事すら出来ないはずだ。
「…明さんに睡眠薬を飲ませてあんたの様子を見てたから追いかけてきた」
「は?睡眠薬?」
危なっかしい単語に唖然としていると豹は懐から薬の入った小瓶を取り出した。
「あんたの事が気になって休憩所から出るためにこれで眠らせた」
「もっと他にやり方があったはずじゃ…」
強硬手段にしても薬で眠らせるなんてやり過ぎにも程がある。
「…いや、あれしか手段がなかった」
嘘つけ!単にめんどくさかっただけだろ!
一瞬間を開けて言う豹にあからさまに嘘だとすぐ分かった。
「それよりそれそのままでいいの?」
豹の視線の先には濡れたサラシによって浮き彫りになった胸があった。
「えっ…うわっ!?きゃあぁぁぁぁ!!」
慌てて両手で胸を隠しゆっくりと顔を上げ豹の表情を伺う。
「安心して、俺あんたに興味なんて微塵もないから」
何かそれはそれで腹立つんですけど。
ジト目のまま豹を見ていると溜息を一つつきあらかじめ脱いでいたらしい紺のジャケットを突き出した。
「これやるから着てなよ」
「あ、ありがとう…」
渡されたジャケットを羽織り浮き彫りになっている胸を隠す。
「ねぇ、この人どうすんの?」
豹の言葉に隣で眠る瑞穂に向き直り悩むように少し思案した後、今度は豹に向き直る。
「豹、瑞穂さんをお店まで運んでくれないかな?」
「何で俺が」
「今の私じゃ女だってすぐばれるしこんなびしょ濡れじゃすぐに男の格好なんて出来ないから今瑞穂さんを運べるのは豹しかいないから」
それにカツラもどっかいっちゃったしね…
川に流されてしまったのであろうカツラを思い、買い直さなければいけない事に溜息が出るが金のためなら仕方なし。
「はぁ…分かった」
溜息混じり承諾してくれた豹に更につけ加えとして付け足す。
「ついでにオーナーの蓮さんに伝えて欲しいんだけど、瑞穂さんうちの店で雇うからよろしくって伝えといて」
「はぁ!?そんな勝手に決めていいのかよ?」
「俺がいるって言っちゃったからさ、少しでも瑞穂さんの夢の手助けしたいと思ったらこれしか思い浮かばなくて…あはは」
乾いた笑いを浮かべつつ隣で眠る瑞穂に笑顔を向ける。
「どうなっても知らねぇからな?この偽善者」
「なっ!?また偽善者って!私は偽善者じゃなくて本心で助けたいって…」
反論しようと叫ぶが豹は聞く耳を持たず眠っている瑞穂を担ぐ。
「またな…せな」
そう言うと豹は瑞穂を担いだまま店に戻っていった。
「せなって…やっぱりあの時聞こえた声って豹だったんだ」
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