男装ホストは未来を見る

Shell

文字の大きさ
22 / 108

シェアハウス

しおりを挟む
チックタック…チックタック…

壁に飾られた赤い時計音に、大きなダイニングにはカウンター付きの広いキッチンがありすぐそばに大きな木製テーブルと木製椅子が4つ並べられていた。
その隣の中心には大きな液晶テレビが置かれそれを囲むように丸く置かれた黒く長いソファに蓮、豹、星那の三人が座っていた。

「…なるほどな、住んでいたアパートが火事にあい行くあてもなく事情により借金もあって…それに本当は高校生だと…そう言う事か?」

「はい…」

蓮さんにこれまでの経緯を話した。
だが、性別と借金の事情と家族の件は伏せてだが…

「すみません、秘密にしてて…」

「まぁ、それなりの事情があるんだろうし借金の事もあるのなら学生の身でわざわざ嘘ついてホストで稼ぐ理由も理にかなう。そうするしかなかったんだろ?」

「はい…だけど、騙していたのは事実です。本当にすみませんでした!これ以上ご迷惑がかからないようホスト辞めますので…」

「辞めて他に宛はあるのか?」

「…」

「はぁ…ならうちに居ればいいだろ?」

「え、でも俺は…」

「学生でも何でもお前が3年間ホストとしてバレもせず働いていた事は事実だろ?それならもう申し分ねぇじゃねーか。お前はうちのナンバースリーであり、これからもう少し嘘をつき続けるだけ…他に何が問題なんだ?」

「蓮さん…本当にこのまま働いててもいいんですか?」

「俺がいつお前をクビにすると言った?俺の許可なく辞めれると思うなよ」

そう言うと大きな手が髪を撫でた。

「ありがとうございます…!」

「豹、お前も何か事情があるんだろ?」

「俺も星那と同じです」

「は?」

「事情により借金があり家は先程追い出され行き場なくついでに同じ境遇である星那を連れ一緒にここに来た次第です」

コノヒトハ、ナニヲイッテイルンダ?

絶対嘘だと分かるような作り話に唖然としていると隣では蓮さんはまんまとその嘘を信じ納得していた。

「お前も大変だったな…よし、分かった!お前ら二人ともうちに住め!それに、これまで通りホストとして働いてくれて構わない」

「ふ、”二人”!?」

「仕方ないだろ、豹もお前と同じ境遇なんだ。一緒に住むのは当たり前だろ」

キッ

すかさず豹の方を向くとさも計算通りと言った風にニヤリと口元をあげていた。

こ、こいつ~~~!

「んじゃ、とりあえずせなは制服や衣類や教材に生活品全て燃えて消えたんだよな?」

「はい」

「まずはそこからか…豹!お前は生活品や教材全部はあるのか?」

「俺はただ追い出されただけなのでまとめて入れていたコインロッカーから後で持ってきます」

「そうか、よかった。じゃ、せなの分何とかしてやらないとな」

「へ?」

「今から買い出し行くぞ!制服もな!」

制服!?やばい!

「せ、制服は自分で買います!衣類も生活品も出来れば自分で…」

「まぁ、衣類や生活品は自分の好みがあるからな…分かった、金だけやるから自分で買ってこれるか?」

「大丈夫です!蓮さん本当に…ありがとうございます!」

「じゃあ、飯の用意はしておくからお前ら行ってこい!早めに帰って来るんだぞ?」

「”はい”」

こうして始まった奇妙なシェアハウスは星那にとって危険と隣り合わせに過ぎなかった…




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...