男装ホストは未来を見る

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動揺と困惑

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裾短いっ…!

必死に短いスカートを引っ張りつつ周りの視線にその場から逃げ出したい気持ちが百パーあった。

「もうほんっとに可愛いすぎるんだからっ!どう?日曜日に一日メイドで働いてみな~い?」

「え、遠慮します!」

無理無理!メイドなんてやったら完全ホストからアウトだよ!

「いいんじゃないか?女の気持ちを知るのもホストの仕事だからいっそやってみて勉強してこいよ!せな」

「蓮さんまで何を言うですか!?無理です!それに俺は男ですよ?女装なんか一日中出来ません!身が持たないです!」

「勉強だと思えば大丈夫だろ!それにお前の女装似合ってるぞ?女にしかみえねぇよ」

いや、素が女だから女に見えなきゃ逆にショックだわ。

「隆二さん…私に拒否権なんかないんでしょうか?」

前に座る隆二に助けを求めた目で訴えるが、隆二本人も何故か蓮同様乗り気らしく…

「一回やってみるぐらい、いいんじゃないか?ホストのスキルアップにもなるだろうし…」

駄目だこりゃ…私の意見に否はないのだな。
それに明は明で助けにもならないし…

「本当に女にしかみえねぇな!ん?胸だって本物みてぇ…」

ムギュッ

っ~~~~~~!!

パチンッ!

「いてっ!」

急に片手で胸を掴んできた明に口より先に体が動き気づいたら明の頬を平手打ちをしていた。

「はぁ…はぁ…何すんだよ!アホ!馬鹿!」

「べ、別にいいだろ!どうせ偽物なんだし触っても!」

「よくねぇよ!周りのお客様に引かれたらどうすんだよてめぇ!」

いくら偽物とはいえ胸を触る行為に女性のお客様が引く可能性もある事を盾に、裏では偽物ではなく素のままの胸を触られた事に対しての怒りと恥ずかしさでいっぱいだった。

もうお嫁に行けないかも…

「わ、悪かったよ!もうやらねぇ…」

余りの怒りように素直に非を認め謝る明を他所に静かに座り直すとベリーさんが慰めるかのように横から抱きついてきた。

「もうっ!せなちゃんが可愛いからってお触り禁止よ!野郎は一歩下がって見てるだけでいいのよ!」

野郎はって…ベリーさんも一応男ですよね…?

矛盾しているベリーの言葉に呆れつつも、ホスト達を遠ざけるかのように女性客の介抱され守られている状態になった。

「可愛い!せなくん可愛すぎるっ!」

「写真!写真!」

何の写真撮影ですかこれは…?

一方、追いやられたホスト達は…

「凄い人気だな、せなのやつ…」

隆二は女性客に囲まれている様子を見つめ呟くとそれに隣で酒を飲んでいた蓮が付け加える。

「これは使えるかもな…よし!来週末ぐらいにコスプレホスト一日してみるか!」

「はぁ!?コスプレってなんすか蓮さん!?俺もあんな女装するんすか?絶対嫌っすよ!」

「バーカ!明が女装したって似合わねぇのが落ちだっつーの!パイロットとか和服とか着て一日コスプレするんだよ」

その提案に真っ先に賛成したのは隆二だった。

「楽しそうだな、やってみる価値はあるか…」

「だろ?絶対もっと客が入るに決まってる!」

そして、この時三人が同時に思ったのは…

「”せなは女装だな…”」

…という言葉だった。






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