男装ホストは未来を見る

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クラスマッチ

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夏休みに入る前の7月初旬にて、期末テスト前に決まって学校行事として学年ごとに男女別でクラスマッチが行われ一学期のクラスマッチはバスケとなっており同じクラスの理沙とは同じチームになった。

「そこ!遅れてるわよっ!」

「ごめんっ…!」

キュキュッ…

「星那パス!」

「うん!」

敵チームのガードの中からジャンプしガード越しにいる理沙にボールを投げる。

「オラァァ!!星那のボールは私が入れるんじゃコラァァ!!」

「ひっ…」

あまりの理沙の迫力に敵チームの女の子が怯むとその隙を狙いジャンプしダンクシュートを決め込んだ。

「二点ポイント先取!」

「オォォォォ!!」

ブー!

「試合終了!五組の勝利」

同じクラスの女子達が喜ぶ中、一人二階の休憩所にて戻っていく委員長の井川 万理が見え慌てて駆け寄る。

「井川さん!待って!」

井川は星那の呼びかけに無表情のまま振り返り歩む足を止めた。

「貴方は確か…」

「美嶋 星那だよ!井川さん、さっきは皆を上手く仕切ってリードしてて凄いなって思って…」

「美嶋さんこそ平戸さんとの素晴らしい連携に華麗なシュート素晴らしかったわ!私はただ命令してただけだもの…」

俯きながら暗い顔でそう言う井川さんにある提案を切り出す。

「あの、良かったなんだけど…一緒に二階でこれから男子の試合みない?」

「私は別に構わないのだけど…私でいいの?」

ふと周りを見渡す井川に笑顔で頷く。

「井川さんがいいの!理沙も一緒に三人で応援しよ?」

「嬉しいわ…誘ってくれてありがとう」

嬉しそうな井川と共に後から来た理沙と三人で休憩所の二階に上がり見渡しのいい位置にて腰を下ろす。

「えっと…あ!いたいた!まひる~!宮端く~ん!」

理沙の言葉に下にてそれぞれのポジションに並んでいたまひると豹が振り返りまひるのみが手を振っていた。

「ちょっと!星那も応援しなきゃ駄目でしょ!?」

「うわっ!?」

理沙に無理やり右手をあげられされるがままに手を振るとそれに勘違いしたらしいその他の同じクラスの男子が緩んだ顔で大勢手を振り返していた。

「ひっ…」

こんな大勢返されても困るだけだよ…

居た堪れない程の気持ちですぐ様手を引っこめると隣で見ていた井川さんに問いかけられた。

「美嶋さんや平戸さんは宮端くんとも仲がよろしいの?」

「仲がいいって言うか隣の席だし…友達の友達って感じかな?」

「えー?星那はそんな安い関係じゃないでしょ?」

「へ?」

理沙のニヤニヤ顔でいう言葉に唖然としていると挟まれて聞いていた井川さんに耳打ちする。

「宮端くんって星那にだけ何か妙に優しいって感じでね…この前なんか皆で山登り行って星那がいなくなった事あったんだけど、それに気づいた宮端くんがすかさず探しに行って最後には星那をお姫様抱っこして帰って来たんだよ!絶対星那と宮端くんって何かあると睨んでいるのだよ…ふふっ」

「それはそれは…何かあるとしか思えない話ですわね」

二人してニヤニヤ顔で笑い合っている様子にすかさず間に入る。

「ちょっ…理沙!根も葉もない噂流すのやめてよ!井川さん、全然そんなんじゃないから!豹には単に助けられただけで…」

「ハハ~ン…あまり否定すると事実と認めてるのと同じですよ?星那」

「うぐっ…」

理沙の的確な突っ込みに言葉を飲み込み慌てて話を逸らそうと下を見ると既に始まっていた男子の試合が見えすかさず二人に話を振る。

「あ!ほら!もう男子の試合始まってるよ!」

下にいる男子の試合を指差し若干引き攣り気味の笑顔で言うと二人とも男子の試合に視線がいき何とか話をそらすことが出来た。

ふぅ…何とか話がそれたみたいでよかった。

「うわぁ…宮端くん凄い!」

ん?豹?

理沙の言葉に下で試合をしている豹を見ると次々に敵チームからボールを取り軽々とパスやシュートを決めていた。

豹ってバスケこんなに上手かったんだ…

唖然とその様子を見ていると横で豹ではなく他の男子を見ている井川さんの姿が目に入った。

誰をこんなに見ているんだろ…?

視線の先を見るとそこには同じチームであり同じクラスの太田おおた龍也たつやがいた。

「井川さん、太田くんと何かあ…」

「星那!ボール!」

理沙の言葉に目の前を見るといつの間に浮き上がったボールが目の前に迫り反射的にそれをキャッチする。

「…びっくりした」

「星那~!下!下!」

まひるの声が聞こえ下を見ると大きく手を振るまひると両手を広げこちらを見上げる豹の姿があった。

これ投げればいいのかな…?

戸惑いつつも下にいる豹に向かってボールを投げるとそれを軽々と受け取った豹が口パクで”…サンキュ”と言っているのが見えた。

「っ…」

「星那?どうしたの?真っ赤になって…」

「ううん、何でもないっ…」

両手で顔を覆いつつも理沙に振り何でもないように横に振る。

びっくりした…いつもならお礼なんて言わないのに…

いつもと違う豹の言葉に動揺しながらも再開された試合中ずっと豹に視線がはなせなかった。
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