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謝罪のもみじ饅頭
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二泊三日の旅行も終わり家に戻る車内にて運転席に座る隆二は後部座席に座る三人をミラー越しで見ると星那を真ん中にすやすやと疲れて眠る三人がいた。
「はぁ…お前らだけせなを独占しやがって…俺もせなの隣で寝たいよ」
星那の両端を占領しながら真ん中にいる星那を抱き締めて眠る二人に嫉妬しながらも眠気を振り切り目の前の運転に集中したのだった。
*
別荘から出てほどなくして車内ですっかり爆睡し家に着いた星那達は自身の荷物を車内から取り出していた。
「蓮さん、カメラの機材何処に持って行けばいいですか~?」
車内からカメラの機材の数々が入った鞄を取り出しキャリーバッグを取り出す蓮に問いかける。
「ん~…書斎の何処に適当に置いてくれ」
「は~い!」
重いカメラ機材を手に玄関に向かうとドアノブに白い紙袋があり恐る恐る中を覗くと白いメモ紙と下には桜柄の小包があった。
「誰からだろう…?」
一旦、カメラの機材が入った鞄を置き袋の中にあるメモ紙を取り出し中を開くとそこには『この前は私のせいで倒れてしまったのにも関わらず、しっかりとした謝罪も出来なくてすみません。謝罪の品として受け取っていただければ幸いです。 大河 春奈』と書かれていた。
「春奈さん?謝罪の品なんていいのに…」
桜柄の小包の用紙を剥ぎ取り中を見ると美味しそうなもみじ饅頭が入っていた。
「うわぁ…美味しそう!」
「も~らいっ!」
「あぁ!?ちょっと蓮さん、何勝手に食べてるんですか!?」
「いいじゃねーか、沢山あるんだから。それよりこれ結構美味いぞ」
あっという間にもみじ饅頭を食べ終わる蓮さんを睨みつけると隙を見て隆二さんと豹が背後から取っていった。
「あっ…二人まで何で!?」
「美味いって言われたら食べずにはいられないだろ?」
「腹減ってた」
「理由になってないよ!」
まだ食べていないのに先に食べられた怒りから憤慨するが、美味いという言葉に残りのもみじ饅頭を口にする。
「美味しい…っ!でも…」
…何か懐かしい味がする
『…お母様、このもみじ饅頭美味しいね…っ!』
『ふふっ、餡子が付いてるわよ?』
『んっ…えへへ』
頬を撫でる暖かい手に頬が緩み見上げると顔はよく見えないものの赤い唇が笑みを浮かべていた。
「お母さん…?」
「ん?せな、どうかしたのか?」
「はっ!?えっと…何でもないです!」
「そうか…顔色悪いぞ?早く中に入りなさい」
「はい」
隆二さんの声を我に返り苦笑いを浮かべつつ、不意に頭の中に流れ込んできた微かな記憶に頬に一粒の涙が伝った。
「おい、大丈夫か?」
その様子を見逃さなかった豹に背後から肩を叩かれすかさず袖で涙を拭うとなんでもないように笑みを向けた。
「ほんと、大丈夫だから!気にしないで…」
「……」
豹は無言で受け止めるとそれ以上問いかける事はなかった。
忘れよう…また皆に迷惑かけたくないし、今は目の前の事だけ考えよう
この時、私は逃げるように辛い記憶も含め暖かな記憶すらも全て拒絶し頭の隅の方に押し込めた。それが逃げられない記憶だとも知らずに…
「はぁ…お前らだけせなを独占しやがって…俺もせなの隣で寝たいよ」
星那の両端を占領しながら真ん中にいる星那を抱き締めて眠る二人に嫉妬しながらも眠気を振り切り目の前の運転に集中したのだった。
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別荘から出てほどなくして車内ですっかり爆睡し家に着いた星那達は自身の荷物を車内から取り出していた。
「蓮さん、カメラの機材何処に持って行けばいいですか~?」
車内からカメラの機材の数々が入った鞄を取り出しキャリーバッグを取り出す蓮に問いかける。
「ん~…書斎の何処に適当に置いてくれ」
「は~い!」
重いカメラ機材を手に玄関に向かうとドアノブに白い紙袋があり恐る恐る中を覗くと白いメモ紙と下には桜柄の小包があった。
「誰からだろう…?」
一旦、カメラの機材が入った鞄を置き袋の中にあるメモ紙を取り出し中を開くとそこには『この前は私のせいで倒れてしまったのにも関わらず、しっかりとした謝罪も出来なくてすみません。謝罪の品として受け取っていただければ幸いです。 大河 春奈』と書かれていた。
「春奈さん?謝罪の品なんていいのに…」
桜柄の小包の用紙を剥ぎ取り中を見ると美味しそうなもみじ饅頭が入っていた。
「うわぁ…美味しそう!」
「も~らいっ!」
「あぁ!?ちょっと蓮さん、何勝手に食べてるんですか!?」
「いいじゃねーか、沢山あるんだから。それよりこれ結構美味いぞ」
あっという間にもみじ饅頭を食べ終わる蓮さんを睨みつけると隙を見て隆二さんと豹が背後から取っていった。
「あっ…二人まで何で!?」
「美味いって言われたら食べずにはいられないだろ?」
「腹減ってた」
「理由になってないよ!」
まだ食べていないのに先に食べられた怒りから憤慨するが、美味いという言葉に残りのもみじ饅頭を口にする。
「美味しい…っ!でも…」
…何か懐かしい味がする
『…お母様、このもみじ饅頭美味しいね…っ!』
『ふふっ、餡子が付いてるわよ?』
『んっ…えへへ』
頬を撫でる暖かい手に頬が緩み見上げると顔はよく見えないものの赤い唇が笑みを浮かべていた。
「お母さん…?」
「ん?せな、どうかしたのか?」
「はっ!?えっと…何でもないです!」
「そうか…顔色悪いぞ?早く中に入りなさい」
「はい」
隆二さんの声を我に返り苦笑いを浮かべつつ、不意に頭の中に流れ込んできた微かな記憶に頬に一粒の涙が伝った。
「おい、大丈夫か?」
その様子を見逃さなかった豹に背後から肩を叩かれすかさず袖で涙を拭うとなんでもないように笑みを向けた。
「ほんと、大丈夫だから!気にしないで…」
「……」
豹は無言で受け止めるとそれ以上問いかける事はなかった。
忘れよう…また皆に迷惑かけたくないし、今は目の前の事だけ考えよう
この時、私は逃げるように辛い記憶も含め暖かな記憶すらも全て拒絶し頭の隅の方に押し込めた。それが逃げられない記憶だとも知らずに…
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