あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら

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皇太子妃宮にて・・・

なんだろう。何かが崩れ落ちるのがわかる。
今までのことも全ては嘘だったかのようにどうでもよくなっていく。
きっと疲れているせいね。今日は早めに休ましょう。


レオ様とルチア様の庭園でのことを見てから1ヶ月が過ぎ、あの崩れ落ちるようなものは崩れ落ちてしまったのか、2人のことを考えても何も思わないようになっていった。 

「皇太子妃殿下、ラスティアーノ公爵ならびに公爵夫人がおいでです。」

お父様とお母様がどうしたのかしら。

「どうぞ」

「帝国の若き月、皇太子妃殿下にご挨拶申し上げます。」

「お父様、お母様、そんなとこしなくていいのに。それで今日はどうしたの。何かあった。」

お父様とお母様は複雑そうな顔をして

「皇太子殿下とはどうだ。うまくいっているか。リリィが元気がないと両陛下が心配していたぞ。」

「皇太子殿下はルチア様のところにいるよ。わたくしといてもルチア様の話ばかりするよ。」

その話を聞いて、お父様とお母様は驚きを隠せないようだった。

「でも、いいの。人の心は移りゆくもの。仕方ないよ。わたくしにはレオナルド様のお子を身ごもることもできない役立たずなのだから」

お父様とお母様は今にも泣きそうな顔をして

「そんなことはない!リリィは何も悪くないだろう。」

「そうよ。リリィ、気を病んではダメよ。」

「お父様、お母様、大丈夫ですよ」

それから3人で他愛もない話をして2人は帰っていった。



夜になり

「皇太子妃殿下、皇太子殿下がお見えです。」

何かしら、こんな夜に

「どうぞ」

レオナルド様が部屋へ入ってきた。

「リリィ、久しぶりだな。元気にしてたか」

「帝国の若き太陽、皇太子殿下にご挨拶申し上げます。」

挨拶をすると、レオナルド様は目が出るのではないというくらい見開いて

「リ、リリィ。どうしたの。何かあったのか」

「何もございません。レオナルド様」

「レオナルド、なんでいつも通りレオと呼んでくれないんだ。俺は何か、気に障ることでもしたか。」

「いえ、レオナルド様は何もしておりません。お気になさらないでください。」

レオナルド様は何か言いたげな顔をしてこちらを見ている

「レオナルド様、何も用事がないのでしたら、お引き取りください。わたくしはそろそろ休みたいので」

「そうか。お、おやすみ。リリィ」

「はい。おやすみなさいませ。レオナルド様」

レオナルド様はこちらを見ながら帰っていった。
きっとルチア様のところに行くのだろう。 

わたくしには関係ない
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