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第4章:勇者ソーンと遺跡探索
チャプター1
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ホルトゥス大陸の都市「オルド」から山岳地帯に向けて進んでいくと、古い町並みが特徴の都市「グリッシュ」に辿り着く。
かつてホルトゥス大陸の首都がロサでなかった、遥か遠い時代の大都市近くに位置する街であり、大陸の歴史研究の最前線と言っても良い。
古代王国の墳墓や遺跡、歴史的な価値がある宝物や書物などの発見や採掘などが盛んに行われている。
その反面、建造物に住み着いてしまう魔物も多く、学者たちが研究を円滑に進めるためには冒険者たちに傭兵として手を貸してもらうしかなかった。
そういった理由もあってか、グリッシュの冒険者ギルドには学者の護衛や、遺跡の採掘などに関する依頼が非常に多い。
「冒険者が実入りの良い仕事を探すならば、グリッシュを訪ねればよい」とも言われるほどだ。
故に、グリッシュはそこまで大きな都市でないにも関わらず、備え付けられた冒険者ギルドは常に賑わっている。
情報収集や稼ぎにはうってつけの街、ということになるだろう。
ミカエルとソーンは、街道から輸送隊の馬車に乗りあいをして、この街へと辿り着くことになった。
冒険者ギルド内に備え付けられた酒場で、ソーンは独り同行者を待つ。
彼の前にはグラスに注がれた炭酸水と、軽食として注文したドライフルーツの器がある。
ギルドの様子が良く見える端の席で、勇者は器からレーズンを摘まみ、頬張りながら室内を観察していた。
オルドのそこより賑やかな店内は広く、老若男女問わず姿を見られる。
人の数はオルドよりも多い印象で、このグリッシュに仕事を求めて訪れる人が、どれだけ多いかを物語っているだろう。
当然、彼好みの壮年男性も、かなり多くの人数がいる。
軽装を好むのか、筋肉の鎧に覆われた身体を、露出の高い服装で曝け出している豪快で屈強な男。
神経質そうな視線でギルドの掲示板を覗き、時折周囲の喧噪に顔を顰める、弓を背負った細身の男。
冒険者ギルドの受付で紙を広げ、何かを説明している、白衣を纏った穏やかそうな老齢の男性学者。
行き交う壮年男性たちの姿はどれもソーンにとっては魅力的と言わざるを得ない。
「フフフ、この場所を陣取って正解だな。
ミカエル君を待っている間も全く退屈しない。
一日中でもここで過ごすことができるぞ。」
満足げにフスと鼻息を吹いて、ソーンは炭酸水を煽る。
爽やかな刺激と共に、口にしていたレーズンの酸味と甘味が広がっていく。
その余韻を楽しみながら、彼は丈夫なギルドの備品の椅子に背を預けた。
勇者と呼ばれるその人が、邪な目線を送って舐めまわすように壮年男子たちの姿を見ていることは、誰も知らないだろう。
時折、彼の視線に気づいて、ぎょっとしたような、変態を見るような視線を返す者もいるが。
「なんて顔してるんスか、ソーンさん。」
彼の視界を遮るように、鎧を着た青年が立ち塞がる。
ため息交じりの声色でソーンに話しかけたのは、彼の同行者である青年騎士ミカエルだった。
ミカエルは鼻の下を伸ばしていた勇者の対面を陣取ると、駆け付け一杯と言わんばかりにドライフルーツへと手を伸ばす。
オレンジを輪切りにして乾燥させたそれを手に取って、爽やかな香りを放つそれを一口齧る。
「おかえり、ミカエル君。
もう少しゆっくりしていても良かったんだぞ。」
「それを聞いたら、ハイソウデスカって素直には言えないっスよ。
まあ、予想通りの言なんスけどね。」
鼻の下を伸ばしていたソーンは、彼と対面する形となった際に、その顔をいつもの冷静そうなそれに整える。
冷静沈着で精悍で、整ったいつもの顔を真正面で見ながら、ミカエルはオレンジを齧る。
あの言動さえなければ、欠点など見つからないのに、と考えながら。
「それで、報告は首尾よくできたのか。」
「はいっス、それに関しては心配ないっスよ。
ロサの王国騎士団と王様に向けて、三つの宝に関する報告と、お願いのお手紙を送りました。
絶対力になってくれるっスから、安心してください。」
ソーンはまた一粒、ベリーを摘まんで口の中へ。
そうしながら投げかけられた彼の問いに、ミカエルは頷く。
明るい声の報告を受けて、ソーンも「それは何より」と頷きを返した。
「それなら、俺たちも動き出さねばな。
情報収集をして、それらの宝物の在処を探す必要がある。」
「そのことなんスけど…聖剣って、そういうものは探知できないんスか?」
ミカエルにそう問われて、ソーンは首を左右に。
そして、腰部に提げている豪奢な赤い鞘に収まったそれに手を触れる。
「アフロ―ディア様が聖剣を通じて探知してくれるのは、主に邪なるモノに関してだ。
進むべき道ややるべきことへの導きは可能だが、邪悪なモノ以外を詳しく探知することはできないようでな。
ある程度近い場所まではわかるが、それ以上は自分で探す必要がある。」
「そうっスか、なら自分たちで頑張る必要があるんスね。」
ソーンの答えに、ミカエルはため息交じりながらに納得するしかない。
確かに、頼りにしたいところはあったのだが、守護神ができないというならば、できないのだろう。
理由があるにしても、なんにしても、それ以上を追及したり、無理強いすることは不可能だ。
「えーっと、『太陽の羅針盤』と『月光水晶』、それと『星屑の砂』でしたもんね。」
「そうだな、それで間違いはない。
どんなものか、どこにあるのかも見当がつかないからな、まずは手当たり次第に情報を聞き込みするしかないか。
…早々に情報が集まってくれればいいんだが。」
ミカエルは手紙にも記載した宝物の名前を、指を折りつつ確認のために口に出す。
確認のために名を出した品物を受け、ソーンも肯定の意を示して見せた。
流石のソーンでもこれは面倒な案件なのか、少々目を伏せてぽつりと零し、そんなソーンの様子にミカエルは苦笑いしつつ「そうっスね」と返す。
「よう、お二人さん。
何かお困りの様子じゃあねえか。」
そんな二人に、突然言葉をかけられる。
ミカエルとソーンは、同時に声がした方へ顔を上げた。
彼らは、先ほどこの席の近くを陣取っていた、冒険者らしき人物たちである。
鍔の広い革製の中折れハットを目深に被る、適当に括った長いハニーブロンドの髪を持つ男が、まずは目に入った。
ずる賢そうな笑みを口元で浮かべた、無精ひげが目立つその顔は、大きなゴーグルで大半を隠されており、全貌を窺い知ることは不可能。
革製のジャケットにゆったりとしたパンツ、そしてジャケットやハットと同じ材質の丈夫そうなブーツといった様相である。
だが、そのデザインはホルトゥス大陸ではあまり見られない分類のものだった。
そしてその両腰には、これまたホルトゥス大陸では珍しい、銃と呼ばれる武器が二丁携えられている。
そんな男の後ろには、もう一人立っている。
もう一人は、獣の特徴を持つ亜人であった。
柔らかいココアブラウンの頭髪はふんわりと空気を含んだ癖毛で、黄緑色の瞳を持った目は穏やかに細められている。
大きな丸眼鏡をかけているが、そのつるがかかっている先は、人の耳ではなく、頭髪と同じ色の毛で覆われた動物の耳。
その形状は、犬のそれに近いように見えた。
簡素なシャツとパンツの上に、ポーチをいくつも縫い付けた特徴的なジャケットを纏っており、その下にもレッグポーチやウェストポーチを身につけている。
そして、皮手袋で覆われた右手で、旅をするには大きすぎるだろうトランクを携えていた。
奇妙とも言える三十代程度の二人組に声をかけられたソーンとミカエル。
彼らが何かを返す前に、銃士らしき男は更に言を重ねた。
「おおっと、誤魔化しても無駄だぜ?
お宝を探してるんだろ、太陽の羅針盤ってヤツをな。
その情報、この俺様たちが持ってるって言ったらどうする?」
腰を追って身を屈め、ドライフルーツと炭酸水が乗ったテーブルへ、腕を乗せる銃士の男。
口元でしかその感情を伺うことはできないが、あからさまに誰かの弱みを握ったかのような、意地の悪い笑みを浮かべているのがわかる。
ニタニタと歯を見せて笑うその様は、あまり頼りにしたくはない雰囲気に満ちていた。
そんな彼を止めるでもなく、亜人の男は穏やかに笑っている。
妙な人に目をつけられたか、と考えるミカエルは、ちらりとソーンへ目をやった。
瞬間、ソーンが動く。
かつてホルトゥス大陸の首都がロサでなかった、遥か遠い時代の大都市近くに位置する街であり、大陸の歴史研究の最前線と言っても良い。
古代王国の墳墓や遺跡、歴史的な価値がある宝物や書物などの発見や採掘などが盛んに行われている。
その反面、建造物に住み着いてしまう魔物も多く、学者たちが研究を円滑に進めるためには冒険者たちに傭兵として手を貸してもらうしかなかった。
そういった理由もあってか、グリッシュの冒険者ギルドには学者の護衛や、遺跡の採掘などに関する依頼が非常に多い。
「冒険者が実入りの良い仕事を探すならば、グリッシュを訪ねればよい」とも言われるほどだ。
故に、グリッシュはそこまで大きな都市でないにも関わらず、備え付けられた冒険者ギルドは常に賑わっている。
情報収集や稼ぎにはうってつけの街、ということになるだろう。
ミカエルとソーンは、街道から輸送隊の馬車に乗りあいをして、この街へと辿り着くことになった。
冒険者ギルド内に備え付けられた酒場で、ソーンは独り同行者を待つ。
彼の前にはグラスに注がれた炭酸水と、軽食として注文したドライフルーツの器がある。
ギルドの様子が良く見える端の席で、勇者は器からレーズンを摘まみ、頬張りながら室内を観察していた。
オルドのそこより賑やかな店内は広く、老若男女問わず姿を見られる。
人の数はオルドよりも多い印象で、このグリッシュに仕事を求めて訪れる人が、どれだけ多いかを物語っているだろう。
当然、彼好みの壮年男性も、かなり多くの人数がいる。
軽装を好むのか、筋肉の鎧に覆われた身体を、露出の高い服装で曝け出している豪快で屈強な男。
神経質そうな視線でギルドの掲示板を覗き、時折周囲の喧噪に顔を顰める、弓を背負った細身の男。
冒険者ギルドの受付で紙を広げ、何かを説明している、白衣を纏った穏やかそうな老齢の男性学者。
行き交う壮年男性たちの姿はどれもソーンにとっては魅力的と言わざるを得ない。
「フフフ、この場所を陣取って正解だな。
ミカエル君を待っている間も全く退屈しない。
一日中でもここで過ごすことができるぞ。」
満足げにフスと鼻息を吹いて、ソーンは炭酸水を煽る。
爽やかな刺激と共に、口にしていたレーズンの酸味と甘味が広がっていく。
その余韻を楽しみながら、彼は丈夫なギルドの備品の椅子に背を預けた。
勇者と呼ばれるその人が、邪な目線を送って舐めまわすように壮年男子たちの姿を見ていることは、誰も知らないだろう。
時折、彼の視線に気づいて、ぎょっとしたような、変態を見るような視線を返す者もいるが。
「なんて顔してるんスか、ソーンさん。」
彼の視界を遮るように、鎧を着た青年が立ち塞がる。
ため息交じりの声色でソーンに話しかけたのは、彼の同行者である青年騎士ミカエルだった。
ミカエルは鼻の下を伸ばしていた勇者の対面を陣取ると、駆け付け一杯と言わんばかりにドライフルーツへと手を伸ばす。
オレンジを輪切りにして乾燥させたそれを手に取って、爽やかな香りを放つそれを一口齧る。
「おかえり、ミカエル君。
もう少しゆっくりしていても良かったんだぞ。」
「それを聞いたら、ハイソウデスカって素直には言えないっスよ。
まあ、予想通りの言なんスけどね。」
鼻の下を伸ばしていたソーンは、彼と対面する形となった際に、その顔をいつもの冷静そうなそれに整える。
冷静沈着で精悍で、整ったいつもの顔を真正面で見ながら、ミカエルはオレンジを齧る。
あの言動さえなければ、欠点など見つからないのに、と考えながら。
「それで、報告は首尾よくできたのか。」
「はいっス、それに関しては心配ないっスよ。
ロサの王国騎士団と王様に向けて、三つの宝に関する報告と、お願いのお手紙を送りました。
絶対力になってくれるっスから、安心してください。」
ソーンはまた一粒、ベリーを摘まんで口の中へ。
そうしながら投げかけられた彼の問いに、ミカエルは頷く。
明るい声の報告を受けて、ソーンも「それは何より」と頷きを返した。
「それなら、俺たちも動き出さねばな。
情報収集をして、それらの宝物の在処を探す必要がある。」
「そのことなんスけど…聖剣って、そういうものは探知できないんスか?」
ミカエルにそう問われて、ソーンは首を左右に。
そして、腰部に提げている豪奢な赤い鞘に収まったそれに手を触れる。
「アフロ―ディア様が聖剣を通じて探知してくれるのは、主に邪なるモノに関してだ。
進むべき道ややるべきことへの導きは可能だが、邪悪なモノ以外を詳しく探知することはできないようでな。
ある程度近い場所まではわかるが、それ以上は自分で探す必要がある。」
「そうっスか、なら自分たちで頑張る必要があるんスね。」
ソーンの答えに、ミカエルはため息交じりながらに納得するしかない。
確かに、頼りにしたいところはあったのだが、守護神ができないというならば、できないのだろう。
理由があるにしても、なんにしても、それ以上を追及したり、無理強いすることは不可能だ。
「えーっと、『太陽の羅針盤』と『月光水晶』、それと『星屑の砂』でしたもんね。」
「そうだな、それで間違いはない。
どんなものか、どこにあるのかも見当がつかないからな、まずは手当たり次第に情報を聞き込みするしかないか。
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流石のソーンでもこれは面倒な案件なのか、少々目を伏せてぽつりと零し、そんなソーンの様子にミカエルは苦笑いしつつ「そうっスね」と返す。
「よう、お二人さん。
何かお困りの様子じゃあねえか。」
そんな二人に、突然言葉をかけられる。
ミカエルとソーンは、同時に声がした方へ顔を上げた。
彼らは、先ほどこの席の近くを陣取っていた、冒険者らしき人物たちである。
鍔の広い革製の中折れハットを目深に被る、適当に括った長いハニーブロンドの髪を持つ男が、まずは目に入った。
ずる賢そうな笑みを口元で浮かべた、無精ひげが目立つその顔は、大きなゴーグルで大半を隠されており、全貌を窺い知ることは不可能。
革製のジャケットにゆったりとしたパンツ、そしてジャケットやハットと同じ材質の丈夫そうなブーツといった様相である。
だが、そのデザインはホルトゥス大陸ではあまり見られない分類のものだった。
そしてその両腰には、これまたホルトゥス大陸では珍しい、銃と呼ばれる武器が二丁携えられている。
そんな男の後ろには、もう一人立っている。
もう一人は、獣の特徴を持つ亜人であった。
柔らかいココアブラウンの頭髪はふんわりと空気を含んだ癖毛で、黄緑色の瞳を持った目は穏やかに細められている。
大きな丸眼鏡をかけているが、そのつるがかかっている先は、人の耳ではなく、頭髪と同じ色の毛で覆われた動物の耳。
その形状は、犬のそれに近いように見えた。
簡素なシャツとパンツの上に、ポーチをいくつも縫い付けた特徴的なジャケットを纏っており、その下にもレッグポーチやウェストポーチを身につけている。
そして、皮手袋で覆われた右手で、旅をするには大きすぎるだろうトランクを携えていた。
奇妙とも言える三十代程度の二人組に声をかけられたソーンとミカエル。
彼らが何かを返す前に、銃士らしき男は更に言を重ねた。
「おおっと、誤魔化しても無駄だぜ?
お宝を探してるんだろ、太陽の羅針盤ってヤツをな。
その情報、この俺様たちが持ってるって言ったらどうする?」
腰を追って身を屈め、ドライフルーツと炭酸水が乗ったテーブルへ、腕を乗せる銃士の男。
口元でしかその感情を伺うことはできないが、あからさまに誰かの弱みを握ったかのような、意地の悪い笑みを浮かべているのがわかる。
ニタニタと歯を見せて笑うその様は、あまり頼りにしたくはない雰囲気に満ちていた。
そんな彼を止めるでもなく、亜人の男は穏やかに笑っている。
妙な人に目をつけられたか、と考えるミカエルは、ちらりとソーンへ目をやった。
瞬間、ソーンが動く。
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