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最終話
しおりを挟むローランドは自身の両手を軽く打ち鳴らした。会話の主導権は、もはや悪魔の手に握られている。
「そうと決まれば、まずは夕飯だ。いや、この時間だと夜食かな? 悪いが、文句は受け付けないよ。カロリーの心配は、明日からしてくれ」
言うだけ言って、彼はさっさとキッチンへ移動してしまった。あとには、ぽかんとした彩香だけが残される。
しばしキッチンから聞こえる物音を聞いてから、彩香はテーブルに顔を伏せた。
もう、なにが現実でなにが夢なのかがわからない。もしや、仕事のし過ぎによる疲労で、長い夢を見ているのではなかろうか。
「……まぁ、ご飯つくってくれるっていうし……今はまぁいいか……」
目の前の出来事に翻弄され続けたせいで、もう考えることにさえ疲れてしまった。
彩香は両目を閉じる。キッチンから、なにかを焼く軽やかな音が響いてきた。
その音を聞きながら、こうやって誰かが料理をする音を聞くのはそもそも久しぶりだという事実に感付く。
実家で暮らしているときは馴染みのある音だったが、ひとりで暮らすようになってからというもの、誰かの料理の音を聞く機会は驚くほどに少なかった。
だからだろうか。妙な安心感を覚えてしまうのは。調理の音が、耳に心地好いのは。
けれど、そんなふうに安堵している自分が少し悔しくなって、彩香は小さく唇を尖らせた。
「……ご飯おいしくなかったら、文句言ってやろう……」
いくらかの罪悪感をいだきつつも、彩香は密かにそう決意する。
だが、残念なことに、彩香がローランドに文句を言う機会は訪れなかった。
理由は明白である。彼の料理が――悔しいことに、美味だったからだ。確実に彩香よりは料理上手であった。
そうして、彩香と悪魔の奇妙な同居生活が、始まることとなる。芽生える感情は、不安が半分と期待が半分……といったところか。
とりあえず、弁当はまともなものを作ってくれそうで、それに関しては素直に安心したいと思った。
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完結お疲れさまでした♪二人はどうなっちゃうんだろ?続きが気になります~。
読んでたら、すごくだし巻き玉子食べたい。
ローランドさんの女子力が無駄に高いですね。おじさんなのに(笑)
「女の子と仲良くなるには、やっぱり共通の話題が必要だよな〜」ってことで家事を覚えていった結果、うっかり自分の女子力まで上がってしまった…みたいな感じだと思いますʕ•ᴥ•ʔ
無駄に可愛いお弁当を作ってくれるタイプのオッサンです✌︎('ω'✌︎ )
番外編、続編はないのでしょうか??読みたいです^ - ^
わーい、ありがとうございます!╰(*´︶`*)╯♡
前向きに検討したいと思いますᕦ(ò_óˇ)ᕤ
色々妄想が捗りました!そして、1週間たったあとの2人を妄想するのがとっても楽しかったです(❁´ω`❁)
主人公の生活が一気に改善して、急に超健康になりそうです(笑)
そして、こういった同居作品によくあるパターン…同居人が少しずつ増えていく感じに…ʕʘ‿ʘʔ