転生吸血記

はじまり

平凡な毎日。私はそれに飽きていた。
いつも通りの道を、街並みを歩き、コンビニに向かう。それだけのはずなのに、今日は何故か「面白いことが起こる予感」がしていた。
歩道を歩いていると、トラックがすごい速度で走ってきた。そしてその先には…
私は無意識のうちに飛び出していた。
自分でも何故なのかはわからない。ただわかることは、私は彼女を助けたいと思ってしまったようだということだけ。
直後、ものすごい痛みを感じる。
声も出ず、意識が朦朧としてくる。人生で最初で最後の善行だったかもしれない。

少しずつ意識がはっきりしていく。
ここは病室だろうか？そう思い体を起こす。
ベッドもなければ窓もない。
「ここはどこだ？」そう私が言うと、

「死後の世界ですよ。ここはあなた方人間が天国や冥界と言う場所です。」と言われた。声の主は美しい女性だった。
(この人は誰なのだろう。そして、私は死んだのか。)そんな事を考えていると、
「私はアルフィネ。女神と呼ばれるようなものです。そして、貴方はトラックにはねられて死んだのです。」と彼女は言う。
(心を読まれた？！いや、彼女の言うことが本当ならばそんなことは当然か。)
「貴方は善行にて亡くなられました。そのため、貴方には2つの選択肢を用意いたしました。1つ目は、転生。記憶を持って生まれ変わることができます。2つ目は、輪廻の輪に帰ること。今生の記憶などは消えますが、人格はそのままに生まれ変わることができます。貴方には選ぶ権利がある。それを踏まえて考えてみてください。」と女神は言う。
その直後、私はこう答えた。「転生する事を選ぶとしたら、転生先の世界や種族なども決めることができるのですか?」
女神は言う。「可能です。貴方は貴方の悔いることのない選択をすれば良いのです。」
「それなら、魔法や魔物、冒険者のいる世界に吸血鬼として転生させてください。見た目は…そうですね、10歳ほどの女の子にしてください。」
「わかりました。ですが、このままではまだ生前に積んだ徳を消化しきれないので、もう少し何か願って頂かなくては…」
(そんなにたくさんの徳を積んだ覚えはないのだが...)
「そうですね、それでは…。」

「いいでしょう。それでは、転生させますよ？」

そして、私の意識は途絶えていく。