うちの勇者が、どうしようもなくクズな件

猫山亭 灰色

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バーテンな勇者2

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 若い女性客に、カクテルを出している勇者。
 
「すごい。不思議な色のカクテル・・・。でも、味はどこか懐かしい。」
「勝手ながら、お客様のイメージでこのカクテルを作らせていただきました。」
「オリジナルカクテルってこと?」
「その通りです。名付けるならば『若さを非常に間違った形でアピール。特に服のブランドの力だけで自分がおしゃれになったと思っていたら、それは大きな勘違い』。」
「無駄に長くない? っていうか、皮肉?」
「まあ、字の通りです。」
「私にブランドものは似合わないと。」
「そういうわけではございません。ただいくらブランドものとはいえ、黄色のシャツにオレンジ色のパンツを合わせるのは、私的には理解できなかったもので。」
「今日のイメージはヒマワリなの。」
「左様でございましたか。それでしたら、猛烈な勢いで枯れていただけると幸いです。」
 
「女性に対してそこまで言うの? それに私は客なんだけど!」
「この店内にいる間、あなたは私の客ではありません。」
「じゃあ、何なの?」
「エサをもらえるのを、じっと待っているだけの『豚』です。」
「それってひどくない!?」
 
「このカクテルの原料は、ドライジンとそんなにドライじゃないジンを1:1でブレンド。」
「ジンだけじゃん!」
「色は、各種のかき氷シロップで調整しました。」
「何か、懐かしい感じはそこから・・・。」
「バカにできない味でしょう? かき氷シロップだからといって。」
 
「ひょっとしてバーテンダーさんは、私に子供の頃のピュアな気持ちに戻ってほしいってことで、このカクテルを?」
「全く違います。」
「いきなりの全否定?」
「かき氷シロップを使ったのは、単純に原料費が安いからです。」
「このカクテル一杯で、いくら取る気なの?」
「二千円です。」
「高すぎない? それって。」
「技術料が、かなり入っておりますので。」
「ジン2種類を混ぜただけでしょ! しかもシェイクとかもしてないし。」
「してます。」
「ずっと見てなかったけど、してなかったよ。」
「私の脳内では。」
「それで技術料を取れると思ってたの!? 詐欺よ!」
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