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「そのレイという男はどこにいる? 見つけ次第……」
「わー!! ダメダメ!! さっきもだけど、殺すなんて軽々しく言わないの!!」
「……すまない」
しゅん、としょんぼりするローラン。
手紙である程度分かってはいたけど、昔以上に過激になってない?
私に敵対する者に対して殺意が高すぎる。
大切に思ってくれるのは嬉しいんだけどね?
「なら、リゼと……」
「うん……一緒だよ」
「……嬉しい」
再び強く抱きしめ合う。
「そういえばそのあざ……どうしたの?」
「あぁ、これは……っ!!」
「!?」
突然苦しそうな声と表情を浮かべる。
一体どうしたの?
「……黒龍の血を飲みましたのね」
「リーナ!? どうしてここに!?」
困惑する私のそばに、何故かリーナが現れた。
「後から行くと言いましたわよ? それにこんな所でイチャイチャしてたら目立ちますし」
「そっか……それで、ローランは黒龍の血を飲んだの?」
「あぁ……」
小さくうなずく。
龍、というより異種族の血を入れると人間では得られない力が宿る。
元種族が得意とする魔法や、身体能力の向上とか。
だけど……当然副作用も起きる。
体の中で異種族の血が呪いとして苦しみを与え、最悪の場合死に至る事もあるらしい。
呪いはポーションやエリクサーでも解呪が出来ず、異種族の血を飲むことは自殺と同じだと言われている。
「俺は力が欲しかった……剣士では得られない限界を超えた力さえあれば、リゼを守る事が出来ると……」
「ローラン……」
「その為に死んでしまっては元も子もありませんわよ……」
どうすればいいの。
このままじゃローランが死んでしまう。
やっと会えたのに、やっと触れ合うことが出来たのに。
また離れ離れになるだなんて嫌だ。
……そうだ。
「待ってて、少し楽になるかもしれないから」
魔力を集中させ、ローランの全身に治癒をかける。
もしかしたら聖女の力を使えば、楽になるかもしれない。
治すことは出来なくても、ローランと一緒にいられる時間を増やしたい。
その思いで、私は治癒魔法をかけ続けた。
すると、早速効果が表れ始める。
「……身体が楽になった?」
「ほんと!?」
よかった。ローランの表情が良くなった。
私がそばで治癒し続ければ、ローランも少しは生活しやすくなるだろう。
「? 何故あざが薄く……」
「え?」
だけど、治癒の効果は想像以上だったらしい。
「あざが……消えた」
「これが、聖女の力……?」
「そう、みたいですわね……」
私の治癒魔法はエリクサーでも解呪できない呪いすらも効果がある。
これが、私の力?
いや、聖女の?
おとぎ話のような伝説級の力を持つと言われる癒しの効果。
今まで大した治癒魔法を使ってこなかったから、実感がわかない。
でも、
「よかった!!」
ローランが元気になったのなら、それでいいや。
こうして、私達は再び笑顔で見つめ合う。
……だけど、酒場の人達にいっぱい迷惑をかけてしまった。
なので、リーナから貰った金貨を使って周りのお客さんに酒や料理を振る舞った。
リーナからはどう使うかはあなたの自由ですわ、と何かを期待しているような声で言われたけど。
ま、リーナには私の料理やお茶菓子を振る舞ったり、ローランとの話をすればいいかな?
特に私とローランの話は、これからもっともっと増えていくと思うし!
「わー!! ダメダメ!! さっきもだけど、殺すなんて軽々しく言わないの!!」
「……すまない」
しゅん、としょんぼりするローラン。
手紙である程度分かってはいたけど、昔以上に過激になってない?
私に敵対する者に対して殺意が高すぎる。
大切に思ってくれるのは嬉しいんだけどね?
「なら、リゼと……」
「うん……一緒だよ」
「……嬉しい」
再び強く抱きしめ合う。
「そういえばそのあざ……どうしたの?」
「あぁ、これは……っ!!」
「!?」
突然苦しそうな声と表情を浮かべる。
一体どうしたの?
「……黒龍の血を飲みましたのね」
「リーナ!? どうしてここに!?」
困惑する私のそばに、何故かリーナが現れた。
「後から行くと言いましたわよ? それにこんな所でイチャイチャしてたら目立ちますし」
「そっか……それで、ローランは黒龍の血を飲んだの?」
「あぁ……」
小さくうなずく。
龍、というより異種族の血を入れると人間では得られない力が宿る。
元種族が得意とする魔法や、身体能力の向上とか。
だけど……当然副作用も起きる。
体の中で異種族の血が呪いとして苦しみを与え、最悪の場合死に至る事もあるらしい。
呪いはポーションやエリクサーでも解呪が出来ず、異種族の血を飲むことは自殺と同じだと言われている。
「俺は力が欲しかった……剣士では得られない限界を超えた力さえあれば、リゼを守る事が出来ると……」
「ローラン……」
「その為に死んでしまっては元も子もありませんわよ……」
どうすればいいの。
このままじゃローランが死んでしまう。
やっと会えたのに、やっと触れ合うことが出来たのに。
また離れ離れになるだなんて嫌だ。
……そうだ。
「待ってて、少し楽になるかもしれないから」
魔力を集中させ、ローランの全身に治癒をかける。
もしかしたら聖女の力を使えば、楽になるかもしれない。
治すことは出来なくても、ローランと一緒にいられる時間を増やしたい。
その思いで、私は治癒魔法をかけ続けた。
すると、早速効果が表れ始める。
「……身体が楽になった?」
「ほんと!?」
よかった。ローランの表情が良くなった。
私がそばで治癒し続ければ、ローランも少しは生活しやすくなるだろう。
「? 何故あざが薄く……」
「え?」
だけど、治癒の効果は想像以上だったらしい。
「あざが……消えた」
「これが、聖女の力……?」
「そう、みたいですわね……」
私の治癒魔法はエリクサーでも解呪できない呪いすらも効果がある。
これが、私の力?
いや、聖女の?
おとぎ話のような伝説級の力を持つと言われる癒しの効果。
今まで大した治癒魔法を使ってこなかったから、実感がわかない。
でも、
「よかった!!」
ローランが元気になったのなら、それでいいや。
こうして、私達は再び笑顔で見つめ合う。
……だけど、酒場の人達にいっぱい迷惑をかけてしまった。
なので、リーナから貰った金貨を使って周りのお客さんに酒や料理を振る舞った。
リーナからはどう使うかはあなたの自由ですわ、と何かを期待しているような声で言われたけど。
ま、リーナには私の料理やお茶菓子を振る舞ったり、ローランとの話をすればいいかな?
特に私とローランの話は、これからもっともっと増えていくと思うし!
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