追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する

Miiya

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第8話 病気を治すようです

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「ピッピピー♪」

「ふんふんふふーん」

助けてもらった少女ソフィアはルルの鳴き声につられるように鼻歌を歌っていた。先ほどの恐怖顔とは打って変わった表情だ。

「ルルちゃん本当に羽が柔らくていいよねー」

ソフィアはもうすでにルルの可愛さに魅了されたようだ。ルルもまた羽を撫でられたりと幸せそうな顔をしている。

「レイちゃんもなんか楽しそうだね」

「プーニプーニ♪」

レイちゃんはトーマの腕の中で小刻みに震えている。跳ねる姿もかわいらしいとトーマに評判ではあるが彼の気分によって抱いてたりするのだ。

 「でもお家とか街に薬はなかったの?」

 「それがお医者さんが今この街にはいなくてそれで薬もないの。だから森に出てよさそうな薬草を採って治そうと思ったの。」

 「そっか、お父さん思いのいい子だね」

 「ピーピー♪」

ルルもいい子いい子と羽でソフィアの頭をなでる。

 「ソフィアの街はどれぐらいかかりそう?」

 「あと30分ぐらい歩けばつくと思うよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「ソフィアはまだ帰ってきてないのか?」

 「落ち着いて。家にいてやらないとあんたの夫も大変だろう」

 「寝てればすぐに治るさ。それよりもソフィアだよ。もし一生帰ってこなかったらどうするの?」

 「俺たちが見かけたらすぐ保護するから待ってろ」

 「お母さん!!」

 「ソフィア!!」

トーマたちがソフィアの住む街につくとソフィアは門の前に立ってる女性のほうに駆け寄った。

 「ここって俺たちもいた街じゃないか」

偶然にもトーマたちが冒険者登録をしてクエストを受けた街だった。

 「もうなにしてたんだい!!一人で勝手に出ていくのはよしてくれ!」

 「でもお父さんの病気を治したくて」

 「それであんたの命までなくなったら本末転倒じゃないか」

ソフィアとその母らしき女性は泣きながらもそんな会話をしていた。

 「ところであの人たちは誰だい?見かけない顔だけど」

 「私をゴブリンから助けてくれたんだ」

 「そうかいすまないねえ、うちの娘が世話になったよ」

 「いえいえ、俺はトーマといいます。こっちはレイちゃんでこっちはルル」

 「ピー♪」

 「プーニプニ♪」

 「堅苦しい話は家でしようじゃないか。案内するよ」

トーマたちはソフィアとその母の後ろをついていく。ちなみにすでに門番には身分証としてギルドカードを見せている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「すまなかったね、見ず知らずの子供を助けるなんて」

 「いいんですよ。それよりもソフィアから聞いたんですけどお父さんが病を患ってるらしいですね」

 「ああ、そうなんだ。決して重い病気ではないんだが寝ているだけでは治らないんだ。専用の薬があれば簡単に治せるがあいにくここには医者がいなくてね」

 「でも私ちゃんと薬草採ってきたよ」

 「どうせ1本や2本程度だろう。治すには最低でも10はいるのに」

 「あのーそれでしたら」

レイちゃんの体から先ほど採取していた薬草がぽんぽんと20は超えて出てきた。その様子にはソフィアの母も固まるしかなかった。

 「...これだけあれば治せるね。あんた、あと3日で治るよ」

 「そうか、すまな...ゴホッ」

近くでベッドに寝ていたソフィアの父が返答するも咳き込む。その様子を見たルルはトコトコとソフィアの父に近づく。

 「嬢ちゃん悪いなこんな状態で」

必死な顔で訴えるソフィアの父だがルルは構わずソフィアの父の胸部をさすり始める。しばらくした後胸部を中心に淡い光が出てきた。

 「いったい何が起こってるんだい!?」

ソフィアの母は目の前の光景に驚くもトーマ、レイちゃん、ソフィアはこの光景をすでに見ているため驚きはなかった。

 「ピー♪」

 「う、ん?体が楽になってるぞ!!おお!!」

ソフィアの父は元気をアピールするようにベッドから飛び上がり何回かその場でジャンプしていた。

 「なんて偉い子なんだい。本当にありがとう」

 「さすがルルちゃん!!」

 「ピーピー♪」

ルルはみんなに褒められてうれしそうに鳴き声をあげて羽をバサバサと動かす。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「私はアリー、こっちの夫はべラスだ。本当にあんたたちには世話になったよこれからどうするんだい?」

 「えっと、クエストの報告をした後は従魔OKの宿を探しに行くつもりです」

 「だったらこの家に泊まってくれよ。部屋はまだあるしなによりソフィアとべラスの命の恩人なんだ、どうか恩返しさせてはもらえないか?」

 「いいんですか?こっちとしてはありがたいですが」

 「いいさいいさ、二人ともいいよね」

 「うん!私もいいよ」「おう、遠慮せず止まってけ」

アリーの言葉に賛同するような二人の声にトーマは受け取るしかないなと思い泊めてもらうことにした。

 「俺たちは一旦クエスト報告のためにギルドのほうに向かいますね」

 「ああ、なるべく早く帰ってきなよ。今日の晩御飯は豪勢するから楽しみにしときなよ」

アリーはぐるぐると腕を回したのち金とカバンを持って家を出て行った。材料を買いに行くためだろう。

 「俺たちもギルドに行くか」

レイちゃんはシュバっと触手を上げルルも「ピー♪」と鳴いてトーマの後をついていった。
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