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【苦悩】
18.
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衝撃に目を見開き、喉をそらせたトヨホギの唇を逃すまいと、ホスセリは彼女の頭を掴む手に力を込めて、唇を覆うように顔を重ねた。ホスセリの喉にトヨホギの嬌声が注がれる。それを飲み込み、ホスセリは弟を想ういとしい人を抱きしめた。
(トヨホギ……、シキタカ)
自分が生きていることで、ふたりを苦しめている。トヨホギへの想いをあきらめ、潔く死を選べばいい。そう思うのに、あさましくしがみついている自分を嫌悪しながら、ホスセリは救いを求めてトヨホギの唇をふさぎ、しなやかで可憐な体を腕に包んだ。
「んっ、ふぁ、む、んぅうっ」
トヨホギは息苦しさに涙を流して、ホスセリに身をゆだねながらシキタカを感じた。胎内をシキタカの熱が支配していると思うと、言い知れぬ興奮に包まれた。いけないことだと自分に言い聞かせながら、ホスセリに救いを求める。それなのにシキタカに律動を刻まれると、魂はシキタカを欲しがった。
胸がキリキリと痛むのに、体は喜びに勇んでいる。
その対比に、トヨホギは身もだえた。
シキタカは締めつけてくるトヨホギの蜜道を行き来しながら、彼女の動揺を感じていた。自分の存在を知りつつも受け入れているのは、ホスセリを愛しているからだとシキタカは思う。
(だから、兄者に強くすがりついているんだ)
トヨホギはホスセリが欲しいのだろう。しかしそれはかなわない。シキタカを拒めばどうなるか、トヨホギはわかっている。だからこそ必死にホスセリにしがみついて、胎内にあるのは彼なのだと思い込もうとしているに違いない。
シキタカは届かぬ思いに歯を食いしばり、トヨホギを突き上げた。
「ふっ、んっ、んぅうっ、む、ふぅ」
(ああ、だめ)
頭の先まで貫かれたような圧迫と快楽に、トヨホギはとろけた。このままではシキタカの名を呼んでしまいそうで怖い。
「んっ、んぅ」
もっと強く口を吸ってほしいと、ホスセリの唇に噛みついた。
「んっ」
ホスセリはトヨホギを通じてシキタカの律動を感じながら、必死なトヨホギとシキタカの苦悶と性感に彩られた表情に、薄暗く淫らな興奮を覚えた。
(我は……)
動揺するホスセリの心に、粘着質の悦楽がまとわりつく。ふたりの苦悩と快楽を支配しているのは自分なのだと唐突に悟ったホスセリは、快楽が脳天に突き抜けるのを感じた。
「……っ!」
得るはずのない絶頂にホスセリが身を震わせたのと呼応して、シキタカが低く短いうめきを上げた。
「ぅ……っ」
ふたりの男の震えを感じ、胎内に熱い奔流を受け止めたトヨホギは、ホスセリの唇から逃れて天高く淫奔な声を放った。
「あっ、あぁあああ――っ!」
注がれたものはシキタカの欠片ではなく、ふたりの欠片なのだと魂で理解しながら、トヨホギは白い闇へと意識を溶かした。
(トヨホギ……、シキタカ)
自分が生きていることで、ふたりを苦しめている。トヨホギへの想いをあきらめ、潔く死を選べばいい。そう思うのに、あさましくしがみついている自分を嫌悪しながら、ホスセリは救いを求めてトヨホギの唇をふさぎ、しなやかで可憐な体を腕に包んだ。
「んっ、ふぁ、む、んぅうっ」
トヨホギは息苦しさに涙を流して、ホスセリに身をゆだねながらシキタカを感じた。胎内をシキタカの熱が支配していると思うと、言い知れぬ興奮に包まれた。いけないことだと自分に言い聞かせながら、ホスセリに救いを求める。それなのにシキタカに律動を刻まれると、魂はシキタカを欲しがった。
胸がキリキリと痛むのに、体は喜びに勇んでいる。
その対比に、トヨホギは身もだえた。
シキタカは締めつけてくるトヨホギの蜜道を行き来しながら、彼女の動揺を感じていた。自分の存在を知りつつも受け入れているのは、ホスセリを愛しているからだとシキタカは思う。
(だから、兄者に強くすがりついているんだ)
トヨホギはホスセリが欲しいのだろう。しかしそれはかなわない。シキタカを拒めばどうなるか、トヨホギはわかっている。だからこそ必死にホスセリにしがみついて、胎内にあるのは彼なのだと思い込もうとしているに違いない。
シキタカは届かぬ思いに歯を食いしばり、トヨホギを突き上げた。
「ふっ、んっ、んぅうっ、む、ふぅ」
(ああ、だめ)
頭の先まで貫かれたような圧迫と快楽に、トヨホギはとろけた。このままではシキタカの名を呼んでしまいそうで怖い。
「んっ、んぅ」
もっと強く口を吸ってほしいと、ホスセリの唇に噛みついた。
「んっ」
ホスセリはトヨホギを通じてシキタカの律動を感じながら、必死なトヨホギとシキタカの苦悶と性感に彩られた表情に、薄暗く淫らな興奮を覚えた。
(我は……)
動揺するホスセリの心に、粘着質の悦楽がまとわりつく。ふたりの苦悩と快楽を支配しているのは自分なのだと唐突に悟ったホスセリは、快楽が脳天に突き抜けるのを感じた。
「……っ!」
得るはずのない絶頂にホスセリが身を震わせたのと呼応して、シキタカが低く短いうめきを上げた。
「ぅ……っ」
ふたりの男の震えを感じ、胎内に熱い奔流を受け止めたトヨホギは、ホスセリの唇から逃れて天高く淫奔な声を放った。
「あっ、あぁあああ――っ!」
注がれたものはシキタカの欠片ではなく、ふたりの欠片なのだと魂で理解しながら、トヨホギは白い闇へと意識を溶かした。
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