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51・大豆、力を垣間見せる
第147話 異世界の大地で納豆を喰らう
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「完成だ。熱を通したらちょっと臭みが飛んだな。これならコゲタもいけるんじゃねえか?」
「ほんとだ。おーいコゲター」
「くちゃくない?」
コゲタが恐る恐る近寄ってきた。
そしてくんくんする。
我慢できる程度に収まったようだ。
「ご主人がお酒飲んできたときの方がくちゃい」
「ガーン!」
飲み過ぎには注意しておこう。
「お前、コゲタの父親みたいになってるな」
「なんとなくそんな気がしてる。さあコゲタ、納豆パスタができたぞー」
「ナットウ……」
コゲタが難しい顔をして、お皿に盛られた納豆パスタを見つめている。
最初に臭かったインパクトで手が出ないのだな。
「よし、僕が食べるから良く見てろ。いただきます。あーん」
納豆を巻き込んで、パスタをむしゃあっ。
うおっ、口の中に広がる炒めた納豆の香り。
パスタも焦げ具合がちょうどいいな。香ばしい。
うまいうまい。
オブリーオイルのソースを絡めながら、あっという間に食べてしまった。
はっ、コゲタに食べるところを見せるのだった。
「あまりに美味しくて平らげてしまった」
「おいしい!? ご主人、おいしい!?」
尻尾をピコピコと振るコゲタ。
ちょっとよだれが出ている。
僕があまりに美味しそうに食べるので、気になってしまったな。
コボルドは群れで暮らす生き物なので、仲間が食べているものを食べたくなってしまう習性があるらしい。
危ないものはコゲタの前で食べないようにするか、コゲタが食べられるくらいの味付けにしておかないとな。
その点、今回の納豆パスタは優しいお味だし、整腸効果もあるしバッチリ。
恐る恐る、フォークをぎゅっと握って食べ始めるコゲタ。
パクっと食べたら、まんまるな目がぱちくりした。
「おぉいしー!」
「だろー?」
「ご主人うそいってなかった! ごめんねー」
「いいってことよ」
コゲタが夢中になって納豆パスタを食べている。
カウンター越しの厨房で、ギルボウも納豆パスタをガツガツ食べていた。
「こりゃあうめえなあ! 炒めてニオイを消せば、パンに乗せても美味いぜこいつは」
「いいアイデアだなあ」
「そのままでもいいが、パン生地とナットウが喧嘩しそうな気もするな。どうするかなあ」
気が早いギルボウ。
パスタを食べ終わって、パンを取り出してきている。
この世界のパンは日持ちしない。
朝焼いて、その日のうちに食べてしまうのだ。
で、食べきれないならカリッカリに焼いてラスクとかクルトンみたいにし、翌朝スープに漬けて食べたりする。
ギルボウが出してきたそれは、ちょっと固くなったパンだった。
もうそろそろおやつ時だもんなあ。
そこで僕、ひらめく。
「ちょっと貸してみろ。これをこうしてだな。切れ目を作ったパンに、納豆パスタをそのまま挟む!!」
「な、なにぃーっ!!」
衝撃のあまり震えるギルボウ。
「パ、パンにパスタを挟むだと!? どっちも同じ粉からできたもんじゃねえか! そんな非常識な……」
「僕たちは常識に縛られ過ぎだと思わないか? だからアーランにはその材料があってもパスタは生まれなかった」
「そういやそうか」
頷くギルボウ。
彼のいいところは、頭がとにかく柔らかいところだな。
固定観念をぶっ壊すと、あっという間に状況を飲み込み、僕をも超えるアイデアが出てくる。
「ちょっと貸せ。ここにな、実験的に水気を飛ばしたオブリーソースがある。こいつをパンの切れ目に塗って、ナットウパスタを乗せて…」
「おおお……! 今、食の歴史に新たな1ページ……!!」
「ごちそーさまでした!」
コゲタが元気に僕の教えた挨拶をした。
おっ、納豆パスタを食べ終わったな。
僕は布でコゲタの口の周りを拭いてやった。
「ご主人、なにつくってるの?」
「納豆パスタパンだ」
「ナットウパスタパン~?」
単語がちょっと長すぎて、コゲタの理解をこえたようだ。
首をどんどん傾げていって、今にも椅子から落ちそうだ。
僕はコゲタをキャッチした。
キャッキャッと笑うコゲタ。
そんな僕らの眼の前に、完成した納豆パスタパンが置かれた。
ほう、これはこれは……。
僕が知る、日本の柔らかいコッペパンではない。
塩味の利いたバゲットだ。
それを切って、たっぷりオブリーオイルをディップしたところに納豆パスタをたっぷり乗せている。
ナポリタンパン、みたいなものだろう。
実に美味そうだ。
「パスタを食ったばかりだからな、三人分に分けてちょっとずつ食うか」
ギルボウの提案で、切り分けて食べることにした。
ちょっと古いバゲットが、カリッとしている。
しなびてぱさついてるが、そこにオブリーオイルが染み込んでてちょうどいい。
そして、もっちりかつ、しっかり炒められた納豆パスタ!
合う!
「こりゃあ、美味いもんだなあ!」
「ああ、美味しいなあ。全然メニューで出せるぞギルボウ」
「おう。酒のアテにもならあな。古くなったパンを使って、こんな美味いものができるとはなあ……」
コゲタはまたニコニコしながら、僕の膝の上で納豆パスタパンを食べている。
いっぱい食べられて、とても楽しい一日になったようだ。
上は納豆パスタパンの香り、下はコゲタのお日様の匂い。
至福である。
「これ、いろいろなパスタでもやれるよな。トーフは合わねえな。トマドとパスタを絡めて乗せてもいいな。驚いたぜ、パスタとパンが合うとはなあ……」
ぶつぶつ言うギルボウ。
料理人の創作魂に火が付いたようなのだった。
「ほんとだ。おーいコゲター」
「くちゃくない?」
コゲタが恐る恐る近寄ってきた。
そしてくんくんする。
我慢できる程度に収まったようだ。
「ご主人がお酒飲んできたときの方がくちゃい」
「ガーン!」
飲み過ぎには注意しておこう。
「お前、コゲタの父親みたいになってるな」
「なんとなくそんな気がしてる。さあコゲタ、納豆パスタができたぞー」
「ナットウ……」
コゲタが難しい顔をして、お皿に盛られた納豆パスタを見つめている。
最初に臭かったインパクトで手が出ないのだな。
「よし、僕が食べるから良く見てろ。いただきます。あーん」
納豆を巻き込んで、パスタをむしゃあっ。
うおっ、口の中に広がる炒めた納豆の香り。
パスタも焦げ具合がちょうどいいな。香ばしい。
うまいうまい。
オブリーオイルのソースを絡めながら、あっという間に食べてしまった。
はっ、コゲタに食べるところを見せるのだった。
「あまりに美味しくて平らげてしまった」
「おいしい!? ご主人、おいしい!?」
尻尾をピコピコと振るコゲタ。
ちょっとよだれが出ている。
僕があまりに美味しそうに食べるので、気になってしまったな。
コボルドは群れで暮らす生き物なので、仲間が食べているものを食べたくなってしまう習性があるらしい。
危ないものはコゲタの前で食べないようにするか、コゲタが食べられるくらいの味付けにしておかないとな。
その点、今回の納豆パスタは優しいお味だし、整腸効果もあるしバッチリ。
恐る恐る、フォークをぎゅっと握って食べ始めるコゲタ。
パクっと食べたら、まんまるな目がぱちくりした。
「おぉいしー!」
「だろー?」
「ご主人うそいってなかった! ごめんねー」
「いいってことよ」
コゲタが夢中になって納豆パスタを食べている。
カウンター越しの厨房で、ギルボウも納豆パスタをガツガツ食べていた。
「こりゃあうめえなあ! 炒めてニオイを消せば、パンに乗せても美味いぜこいつは」
「いいアイデアだなあ」
「そのままでもいいが、パン生地とナットウが喧嘩しそうな気もするな。どうするかなあ」
気が早いギルボウ。
パスタを食べ終わって、パンを取り出してきている。
この世界のパンは日持ちしない。
朝焼いて、その日のうちに食べてしまうのだ。
で、食べきれないならカリッカリに焼いてラスクとかクルトンみたいにし、翌朝スープに漬けて食べたりする。
ギルボウが出してきたそれは、ちょっと固くなったパンだった。
もうそろそろおやつ時だもんなあ。
そこで僕、ひらめく。
「ちょっと貸してみろ。これをこうしてだな。切れ目を作ったパンに、納豆パスタをそのまま挟む!!」
「な、なにぃーっ!!」
衝撃のあまり震えるギルボウ。
「パ、パンにパスタを挟むだと!? どっちも同じ粉からできたもんじゃねえか! そんな非常識な……」
「僕たちは常識に縛られ過ぎだと思わないか? だからアーランにはその材料があってもパスタは生まれなかった」
「そういやそうか」
頷くギルボウ。
彼のいいところは、頭がとにかく柔らかいところだな。
固定観念をぶっ壊すと、あっという間に状況を飲み込み、僕をも超えるアイデアが出てくる。
「ちょっと貸せ。ここにな、実験的に水気を飛ばしたオブリーソースがある。こいつをパンの切れ目に塗って、ナットウパスタを乗せて…」
「おおお……! 今、食の歴史に新たな1ページ……!!」
「ごちそーさまでした!」
コゲタが元気に僕の教えた挨拶をした。
おっ、納豆パスタを食べ終わったな。
僕は布でコゲタの口の周りを拭いてやった。
「ご主人、なにつくってるの?」
「納豆パスタパンだ」
「ナットウパスタパン~?」
単語がちょっと長すぎて、コゲタの理解をこえたようだ。
首をどんどん傾げていって、今にも椅子から落ちそうだ。
僕はコゲタをキャッチした。
キャッキャッと笑うコゲタ。
そんな僕らの眼の前に、完成した納豆パスタパンが置かれた。
ほう、これはこれは……。
僕が知る、日本の柔らかいコッペパンではない。
塩味の利いたバゲットだ。
それを切って、たっぷりオブリーオイルをディップしたところに納豆パスタをたっぷり乗せている。
ナポリタンパン、みたいなものだろう。
実に美味そうだ。
「パスタを食ったばかりだからな、三人分に分けてちょっとずつ食うか」
ギルボウの提案で、切り分けて食べることにした。
ちょっと古いバゲットが、カリッとしている。
しなびてぱさついてるが、そこにオブリーオイルが染み込んでてちょうどいい。
そして、もっちりかつ、しっかり炒められた納豆パスタ!
合う!
「こりゃあ、美味いもんだなあ!」
「ああ、美味しいなあ。全然メニューで出せるぞギルボウ」
「おう。酒のアテにもならあな。古くなったパンを使って、こんな美味いものができるとはなあ……」
コゲタはまたニコニコしながら、僕の膝の上で納豆パスタパンを食べている。
いっぱい食べられて、とても楽しい一日になったようだ。
上は納豆パスタパンの香り、下はコゲタのお日様の匂い。
至福である。
「これ、いろいろなパスタでもやれるよな。トーフは合わねえな。トマドとパスタを絡めて乗せてもいいな。驚いたぜ、パスタとパンが合うとはなあ……」
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