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78・波高き船の旅
第236話 激闘、シーサーペント!!
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船の激闘はまだ続くのだ。
アクアドラゴンを退けたが、今度はそいつと喧嘩していたシーサーペントが相手なのだ。
黒くヌネヌメとした、ヘビではなく魚類のモンスター。
僕はこいつを見ていると、なんとなくとある魚が思い浮かぶんだよなあ。
「絶対ウナギだよなあ」
「ご主人、うなぎってなあに」
「ウナギというのはな、美味しい魚だ」
「おいしいのー!」
僕の足にくっついているコゲタが、耳をピーンと立てた。
ウナギは白焼きでも美味いからな。
これならコゲタたちコボルドでも平気だろう。
「とても美味しい。だけど、あいつはでかいし僕の知ってるウナギとはちょっと違う気がするなあ。デカいウナギと言えば、大味になったり、全く別のものになってしまうデンキウナギなんかもいるが」
デンキウナギはなんと、頭からちょっとの範囲までしか可食部がなく、内臓もそっちに集合しているんだそうだ。
で、あの長い体の大半が発電するための器官でくっそ不味いとか。
大きいウナギというだけで不味いのではないか疑惑があり、身構えてしまうのだが……。
シーサーペントは美味い!
これは船員の体験談である。
船の中で料理をするとなると、煮込むくらいしか無いだろう。
煮込んでも美味い。
これは強い。
スープフィッシュで実感したことだが、油を敷いて焼くことで素晴らしい美味しさを発揮することがあるのだ。
「頑張れ右舷の人! シーサーペントを食べさせてくれ!」
「はい! そうしたいんですが、こいつが狡猾で……!! くそっ、また避けやがった!」
今回のシーサーペントはなかなか強いようだ。
ここは我ら乗客の最終兵器を呼ぶしかあるまい。
「リップルー」
「なんだーい」
上のハンモックから声が返ってきた。
こんなに揺れるのに、よくハンモックに収まっていられるなあ。
彼女の三半規管はアダマンタイトでできてたりするのか?
ありうる。
「シーサーペント狩りを手伝ってもらえないか?」
「ええー、どうしてだい?」
面倒くさそう!
日がな一日、トイレ以外はハンモックの中でまったりしてるあのハーフエルフ。
島についたらコロッコロに太っているのではないか?
「リップル、食っちゃ寝ばかりだから肉がついているぞ、顎の下がちょっとタプタプしてきたんじゃないか?」
「なにっ」
ハーフエルフが飛び起きた。
そしてそこから魔法で浮かびながらふわふわ降りてきた。
この人、こう見えてもアーラン最強の魔法使いだからな。
僕が今まで遭遇してきた魔法使いの中でも、次元が違うレベルで強い。
だが、とにかくやる気が無いんだ。
「魔法を使って少しでもカロリーを消費しよう。魔法を使うとつかれるんだろ?」
「まあねえ。体力を使ってる感じはする。私のギフトを使わないとちゃんと疲れる」
もしやリップルのギフト、魔力無限回復だったりするんじゃないか……?
ありうるな。
「どーれ、私が手伝おう。あいつを仕留めるのかい? おっとっと」
船がぐらっと揺れて、リップルが落っこちそうになった。
僕は慌てて彼女の襟をがっしり掴む。
「危ないところだったー。助かったよナザル。海水浴をしてしまうかと思った」
「リップルがこれくらいで死ぬとは思わないが、一応ね……」
「ははは、君は素直じゃないなあー。で、一撃で仕留めてもいい?」
リップルの言葉に、船員が引きつり笑いになった。
「い、いやあ……。あまり大きな魔法を使われると船がひっくり返るので……」
「じゃあ……体の一部をいただいて追っ払うくらいかなあ。よーし、では……ゲイルカッター!」
リップルの頭上に、巨大な空気の回転ノコギリが出現した。
視認できないはずなんだが、空気があまりにも凝縮されたので見えてしまう。
凄まじい音を立てる回転ノコギリ。
それは、彼女が指差すと同時に……。
猛烈な勢いで海に飛び込んでいった。
おお、海面が切り裂かれる!
慌てて回避したシーサペントだが、ノコギリはリップルの指示に従って方向を変化させる。
「本来は水の中なんか突っ込ませたら消滅するんだけどね。こうやって魔力のパスを作って、魔力を注ぎ込み続けてると持つんだよ」
「一体どれだけの魔力を使ってるんだか……」
「普通の魔法使いの1ヶ月分くらい?」
なんと無体な。
回転ノコギリはシーサーペントの逃走を許さない。
ガンガンに追い立てて、水を切り裂きながら突き進み……。
『ウグワーッ!!』
シーサーペントが悲鳴をあげて、水中に没していった。
そして切断された尾びれのあたりがプカァッと浮く。
「ウワーッ部位切断だ!」「一番ありがたいやつ!!」「丸ごと一匹だと食べきれなくて腐らせちゃうんだよなあ!」
そうだったのか……!
「回収は任せてくれ! 銛を……ホイッと!!」
射出された銛が突き刺さり、ヌルヌルとした尾びれを回収してきた。
本体から離れてなお、巨大な尾びれはピチピチしている。
全長3mほど。
断面はコゲタよりも大きい。
「きゃあー」
コゲタが怖がってしがみついてくる。
大きいものは怖いよなあ。
「ぬるぬるしてるの、けがわがぺたっとするからいやなの」
「そうだったかー」
だがこれで新たな食材ゲット。
海、凄いじゃないか。
どんどん新しい食べるものが出てくる。
これは、島につくまでの間、飽きることはなさそうだ。
アクアドラゴンを退けたが、今度はそいつと喧嘩していたシーサーペントが相手なのだ。
黒くヌネヌメとした、ヘビではなく魚類のモンスター。
僕はこいつを見ていると、なんとなくとある魚が思い浮かぶんだよなあ。
「絶対ウナギだよなあ」
「ご主人、うなぎってなあに」
「ウナギというのはな、美味しい魚だ」
「おいしいのー!」
僕の足にくっついているコゲタが、耳をピーンと立てた。
ウナギは白焼きでも美味いからな。
これならコゲタたちコボルドでも平気だろう。
「とても美味しい。だけど、あいつはでかいし僕の知ってるウナギとはちょっと違う気がするなあ。デカいウナギと言えば、大味になったり、全く別のものになってしまうデンキウナギなんかもいるが」
デンキウナギはなんと、頭からちょっとの範囲までしか可食部がなく、内臓もそっちに集合しているんだそうだ。
で、あの長い体の大半が発電するための器官でくっそ不味いとか。
大きいウナギというだけで不味いのではないか疑惑があり、身構えてしまうのだが……。
シーサーペントは美味い!
これは船員の体験談である。
船の中で料理をするとなると、煮込むくらいしか無いだろう。
煮込んでも美味い。
これは強い。
スープフィッシュで実感したことだが、油を敷いて焼くことで素晴らしい美味しさを発揮することがあるのだ。
「頑張れ右舷の人! シーサーペントを食べさせてくれ!」
「はい! そうしたいんですが、こいつが狡猾で……!! くそっ、また避けやがった!」
今回のシーサーペントはなかなか強いようだ。
ここは我ら乗客の最終兵器を呼ぶしかあるまい。
「リップルー」
「なんだーい」
上のハンモックから声が返ってきた。
こんなに揺れるのに、よくハンモックに収まっていられるなあ。
彼女の三半規管はアダマンタイトでできてたりするのか?
ありうる。
「シーサーペント狩りを手伝ってもらえないか?」
「ええー、どうしてだい?」
面倒くさそう!
日がな一日、トイレ以外はハンモックの中でまったりしてるあのハーフエルフ。
島についたらコロッコロに太っているのではないか?
「リップル、食っちゃ寝ばかりだから肉がついているぞ、顎の下がちょっとタプタプしてきたんじゃないか?」
「なにっ」
ハーフエルフが飛び起きた。
そしてそこから魔法で浮かびながらふわふわ降りてきた。
この人、こう見えてもアーラン最強の魔法使いだからな。
僕が今まで遭遇してきた魔法使いの中でも、次元が違うレベルで強い。
だが、とにかくやる気が無いんだ。
「魔法を使って少しでもカロリーを消費しよう。魔法を使うとつかれるんだろ?」
「まあねえ。体力を使ってる感じはする。私のギフトを使わないとちゃんと疲れる」
もしやリップルのギフト、魔力無限回復だったりするんじゃないか……?
ありうるな。
「どーれ、私が手伝おう。あいつを仕留めるのかい? おっとっと」
船がぐらっと揺れて、リップルが落っこちそうになった。
僕は慌てて彼女の襟をがっしり掴む。
「危ないところだったー。助かったよナザル。海水浴をしてしまうかと思った」
「リップルがこれくらいで死ぬとは思わないが、一応ね……」
「ははは、君は素直じゃないなあー。で、一撃で仕留めてもいい?」
リップルの言葉に、船員が引きつり笑いになった。
「い、いやあ……。あまり大きな魔法を使われると船がひっくり返るので……」
「じゃあ……体の一部をいただいて追っ払うくらいかなあ。よーし、では……ゲイルカッター!」
リップルの頭上に、巨大な空気の回転ノコギリが出現した。
視認できないはずなんだが、空気があまりにも凝縮されたので見えてしまう。
凄まじい音を立てる回転ノコギリ。
それは、彼女が指差すと同時に……。
猛烈な勢いで海に飛び込んでいった。
おお、海面が切り裂かれる!
慌てて回避したシーサペントだが、ノコギリはリップルの指示に従って方向を変化させる。
「本来は水の中なんか突っ込ませたら消滅するんだけどね。こうやって魔力のパスを作って、魔力を注ぎ込み続けてると持つんだよ」
「一体どれだけの魔力を使ってるんだか……」
「普通の魔法使いの1ヶ月分くらい?」
なんと無体な。
回転ノコギリはシーサーペントの逃走を許さない。
ガンガンに追い立てて、水を切り裂きながら突き進み……。
『ウグワーッ!!』
シーサーペントが悲鳴をあげて、水中に没していった。
そして切断された尾びれのあたりがプカァッと浮く。
「ウワーッ部位切断だ!」「一番ありがたいやつ!!」「丸ごと一匹だと食べきれなくて腐らせちゃうんだよなあ!」
そうだったのか……!
「回収は任せてくれ! 銛を……ホイッと!!」
射出された銛が突き刺さり、ヌルヌルとした尾びれを回収してきた。
本体から離れてなお、巨大な尾びれはピチピチしている。
全長3mほど。
断面はコゲタよりも大きい。
「きゃあー」
コゲタが怖がってしがみついてくる。
大きいものは怖いよなあ。
「ぬるぬるしてるの、けがわがぺたっとするからいやなの」
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