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90・米、アーランへ出荷される
第275話 市場よ、米を受け入れよ
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ワーッと大量の荷馬車が来た。
御者の数が全然足りなかったらしく、アイアン級まで駆り出されてきた。
ということは……。
「ごしゅじーん!」
「うおー! コゲター!」
馴染み深い黒豆柴なコボルドがパタパタ走ってくる。
僕も迎えるべくダッシュし、がしっと熱いハグなのだ。
「おお、コゲタちょっとたくましくなった?」
「がんばったー! ご主人ももりもりになった?」
「ずっと農作業してたからなったかもなあ」
久々のやり取りなどをする。
コゲタの仲間たちも遠くから会釈してくる。
みんな協力して、バッチリとコゲタと仲良くやってくれたんだなあ。
しばらくコゲタをもふもふしていたが、犬吸いはほどほどにしておかねばな。
コゲタは仕事中なのだ。
「よし、それじゃあ僕の育てた米を運んでくれるかな?」
「いいともー!」
ぴょーんと飛び跳ねてコゲタが快諾してくれた。
米俵をガンガンと荷車に積み込む。
出荷よー!
ガラガラと音を立てて荷馬車の群れが第四階層を走っていく。
そしてエレベーターの順番待ちだ。
なんと二台くらいずつしかエレベーターは載せられないのだ。
遺跡は拡張もできないし、この辺りは悩ましいポイントだよなあ。
空の荷馬車が降りてきて、俵満載の荷馬車が入れ替わる。
こんな感じで1日中行き来したら、ようやく米を運び終わったようだ。
さて、僕らはと言うと先に遺跡の外に出ていた。
荷馬車が走り、遺跡を出てからターン。
アーランの入口へと向かっていく。
この荷物をどこへ運ぶかと言うと、商業地帯の倉庫である。
米俵が積み上がっていく。
僕は腕組みをしながら、この様を見守っていた。
「コゲター! もう一回運ぶぞー!」
「はーい! ご主人、いってくるねー!」
「おう、ファイト~!」
コゲタが元気に旅立っていった。
頑張って稼ぐんだぞ。
今回駆り出されたアイアン級、どうやら往復すればするだけ報酬が増えるらしい。
いい仕事だなあ。
僕はまたここで、積み上がっていく米俵をニコニコしながら眺めた。
すると、後ろからポコンと頭を叩かれた。
「うおっ、なんだなんだ」
そこには、憮然とした顔のリップルがいるではないか。
「ナーザルゥー」
「どうしたどうした、そんな複雑そうな顔をして」
「それは君の胸に手を当てて考えてみてくれないかな? 君は遺跡の中で、何を言いふらしたんだ?」
「何を……ハッ!!」
思い……出した……!!
夜這いしてくる女子たちを退けるために、僕は妻帯者ということにしたのだった!
しかも、妻はリップルだと言ってしまったのだ。
「遺跡の中でしか言ってなかったように思うが」
「そんなゴシップを、娯楽に飢える人々が放っておいてくれると思うかい!? とんでもない勢いで広がってしまったよ……!」
「あー」
「もう収集がつかないぞ。いいかい? これは殿下の耳にも届いてしまったんだ!」
「な、な、なんだってー!!」
「さらに陛下の耳にも届いてしまった!!」
「な、な、なんだってー!!」
国王陛下、若い頃にリップルに惚れてて恋敗れた御仁なのに、まだまだリップルに未練たらたらなのだ。
他はまあまあちゃんとした政治をする普通にいい王様な分、しわ寄せがここに来てるな。
「陛下がナザルに刺客を送ると言って聞かなかったのを、デュオス殿下が刺客をなぎ倒して止めたそうだ」
「うわー、殿下強くなったなあ」
鍛えすぎてしまったんだな。
この世界の人間、鍛えまくるとめちゃくちゃ強くなるからな。
「それでだ。王国は私たちに然るべき落とし所を求めているぞ」
「落とし所? うーん?」
僕は!
今!
急に頭が働かなくなったぞ!!
「ははは、分かっているだろう? 然るべき人間関係を構築し、王国に報告せよと言っているんだ!」
「うおおお、知力を低下させても分かってしまう! あれか! あれなんだな!?」
「ナザルさーん! 米の買付に来ました! どんなもんですか?」
「あっ、これは全部玄米って言って手を加える必要があるんだけど、その分お求めやすくしておくからね。そっちでちょっと米をついて白米にしといて……」
「ナザル殿ー!! 知識神様からのお告げがあり、あなたを第一使徒として任ずることに」
「うおーっ!! 一度に来るなー! キャパ不足だー!!」
僕の頭は!
爆発寸前だ!
情報量が多すぎてキャパオーバーを起こしてしまった。
「よし分かったリップル! ここは結婚しよう!! 金はこれからやたらと入ってくる!! 国王陛下も殿下たちもお呼びして大規模にやるぞ!!」
「ああ、そうだ。やるしかない……。くっ、私をここまで追い詰めたのは君と魔王と大魔将たちくらいのものだよ……」
「そこと並ぶの!?」
なお、僕のプロポーズをその場に来ていた商人や冒険者たちが聞いていたので、ウワーッと集まってきた。
「おめでとうございます!!」「おめでとうナザルさん!!」「ついに結婚ですか!!」「絶対その方がいいですって!」「知識神は寛大ですから妻帯でも一向に構わんそうです」「おお、美食の伝道師ナザル、稀代の英雄を娶りアーランの地にて栄華を極めん~」
「やばい、聞いてる中に吟遊詩人いたぞ!! 広まる! いや、もう結構広まっちまったんだけどさらに広まるーっ!!」
「ナザルさーん! またぞくぞくと米俵届きますよー!!」
「う、う、うおあああーっ!!」
僕の頭は爆発寸前だ!
御者の数が全然足りなかったらしく、アイアン級まで駆り出されてきた。
ということは……。
「ごしゅじーん!」
「うおー! コゲター!」
馴染み深い黒豆柴なコボルドがパタパタ走ってくる。
僕も迎えるべくダッシュし、がしっと熱いハグなのだ。
「おお、コゲタちょっとたくましくなった?」
「がんばったー! ご主人ももりもりになった?」
「ずっと農作業してたからなったかもなあ」
久々のやり取りなどをする。
コゲタの仲間たちも遠くから会釈してくる。
みんな協力して、バッチリとコゲタと仲良くやってくれたんだなあ。
しばらくコゲタをもふもふしていたが、犬吸いはほどほどにしておかねばな。
コゲタは仕事中なのだ。
「よし、それじゃあ僕の育てた米を運んでくれるかな?」
「いいともー!」
ぴょーんと飛び跳ねてコゲタが快諾してくれた。
米俵をガンガンと荷車に積み込む。
出荷よー!
ガラガラと音を立てて荷馬車の群れが第四階層を走っていく。
そしてエレベーターの順番待ちだ。
なんと二台くらいずつしかエレベーターは載せられないのだ。
遺跡は拡張もできないし、この辺りは悩ましいポイントだよなあ。
空の荷馬車が降りてきて、俵満載の荷馬車が入れ替わる。
こんな感じで1日中行き来したら、ようやく米を運び終わったようだ。
さて、僕らはと言うと先に遺跡の外に出ていた。
荷馬車が走り、遺跡を出てからターン。
アーランの入口へと向かっていく。
この荷物をどこへ運ぶかと言うと、商業地帯の倉庫である。
米俵が積み上がっていく。
僕は腕組みをしながら、この様を見守っていた。
「コゲター! もう一回運ぶぞー!」
「はーい! ご主人、いってくるねー!」
「おう、ファイト~!」
コゲタが元気に旅立っていった。
頑張って稼ぐんだぞ。
今回駆り出されたアイアン級、どうやら往復すればするだけ報酬が増えるらしい。
いい仕事だなあ。
僕はまたここで、積み上がっていく米俵をニコニコしながら眺めた。
すると、後ろからポコンと頭を叩かれた。
「うおっ、なんだなんだ」
そこには、憮然とした顔のリップルがいるではないか。
「ナーザルゥー」
「どうしたどうした、そんな複雑そうな顔をして」
「それは君の胸に手を当てて考えてみてくれないかな? 君は遺跡の中で、何を言いふらしたんだ?」
「何を……ハッ!!」
思い……出した……!!
夜這いしてくる女子たちを退けるために、僕は妻帯者ということにしたのだった!
しかも、妻はリップルだと言ってしまったのだ。
「遺跡の中でしか言ってなかったように思うが」
「そんなゴシップを、娯楽に飢える人々が放っておいてくれると思うかい!? とんでもない勢いで広がってしまったよ……!」
「あー」
「もう収集がつかないぞ。いいかい? これは殿下の耳にも届いてしまったんだ!」
「な、な、なんだってー!!」
「さらに陛下の耳にも届いてしまった!!」
「な、な、なんだってー!!」
国王陛下、若い頃にリップルに惚れてて恋敗れた御仁なのに、まだまだリップルに未練たらたらなのだ。
他はまあまあちゃんとした政治をする普通にいい王様な分、しわ寄せがここに来てるな。
「陛下がナザルに刺客を送ると言って聞かなかったのを、デュオス殿下が刺客をなぎ倒して止めたそうだ」
「うわー、殿下強くなったなあ」
鍛えすぎてしまったんだな。
この世界の人間、鍛えまくるとめちゃくちゃ強くなるからな。
「それでだ。王国は私たちに然るべき落とし所を求めているぞ」
「落とし所? うーん?」
僕は!
今!
急に頭が働かなくなったぞ!!
「ははは、分かっているだろう? 然るべき人間関係を構築し、王国に報告せよと言っているんだ!」
「うおおお、知力を低下させても分かってしまう! あれか! あれなんだな!?」
「ナザルさーん! 米の買付に来ました! どんなもんですか?」
「あっ、これは全部玄米って言って手を加える必要があるんだけど、その分お求めやすくしておくからね。そっちでちょっと米をついて白米にしといて……」
「ナザル殿ー!! 知識神様からのお告げがあり、あなたを第一使徒として任ずることに」
「うおーっ!! 一度に来るなー! キャパ不足だー!!」
僕の頭は!
爆発寸前だ!
情報量が多すぎてキャパオーバーを起こしてしまった。
「よし分かったリップル! ここは結婚しよう!! 金はこれからやたらと入ってくる!! 国王陛下も殿下たちもお呼びして大規模にやるぞ!!」
「ああ、そうだ。やるしかない……。くっ、私をここまで追い詰めたのは君と魔王と大魔将たちくらいのものだよ……」
「そこと並ぶの!?」
なお、僕のプロポーズをその場に来ていた商人や冒険者たちが聞いていたので、ウワーッと集まってきた。
「おめでとうございます!!」「おめでとうナザルさん!!」「ついに結婚ですか!!」「絶対その方がいいですって!」「知識神は寛大ですから妻帯でも一向に構わんそうです」「おお、美食の伝道師ナザル、稀代の英雄を娶りアーランの地にて栄華を極めん~」
「やばい、聞いてる中に吟遊詩人いたぞ!! 広まる! いや、もう結構広まっちまったんだけどさらに広まるーっ!!」
「ナザルさーん! またぞくぞくと米俵届きますよー!!」
「う、う、うおあああーっ!!」
僕の頭は爆発寸前だ!
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