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93・なにっ、式場建設!?
第283話 なにっ、ドレス完成!?
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「ははは、そんなドレスだなんて気取ったものは私は身につけないぞ」
「そうはいきませんリップル様。ささこちらへ」
「あーれー」
両腕をガッチリと王宮の屈強な侍女にホールドされて、リップルが連れて行かれてしまった。
強固な馬車が彼らを飲み込んで走り出す。
なんたることであろうか。
「リップルいっちゃった!」
「ぶるるるー」
厩からフリーダムに出てくるポーターも一緒で、走り去っていく馬車を見送るのだった。
「どうしたの?」
「俺とリップルが結婚式をするだろ? そのドレスを仕立てるんだ。もう最高の生地は用意してあるから、それを使ってドレスとして縫製する段階なんだろう。今まで逃げ回っていたリップルがここで捕まった」
「ほえー」
「ぶるー」
「二人とも興味あるかい?」
「あるー!」
「ひひん!」
「よし、じゃあ見に行ってみよう!」
そういうことにした。
ポーターは馬なので、トコトコ歩きながらプリッと馬糞を出したりする。
アーランは馬が足になっている文化圏なので、馬糞には大変寛容だ。
それに、アイアン級冒険者たちが馬糞を回収する仕事に従事している。
この馬糞が明日の作物を育てるための肥料となるのだ。
アーラン国民たちはこれをよく知っている。
貴族なればこそ、自宅で馬を育てているのでこの辺りには大変詳しくなる。
貴族の子女はみんな、幼い頃に馬糞回収をやり、遺跡まで行ってこれが肥料になる肥溜めなどを見学するのだという。
英才教育~!
お陰でこの国には、馬糞に文句を言うアホはいないわけですね。
ポーターを安心して連れ回せる。
三人で王宮までトコトコ歩いていく。
ゆっくり歩いて一時間ほどだろうか。
見慣れた王宮の門が見えた。
「入れてくれー」
「あっ、ナザル殿じゃないですか! 奥方のドレス姿見るんですか? 式までの楽しみにしておけばいいのに」
「僕は好物は先に食べる主義なんだよ。さあ通してくれ通してくれ」
「コボルドと馬も連れてきたぞ。大所帯になってきましたねえ」
「毎日が賑やかになってきたぞ。一人の頃も静かで良かったが、今はその時には想像もできない充実度を感じる……」
「いいですねえ……。俺も嫁さん来ないかなあ」
「犬を飼うか、コボルドの身請けをするといいぞ! 生活のクオリティが上がる!!」
「ほんとですか!? それならいけるなあ! やってみますよ!」
門番が目を輝かせた。
犬はいいぞ!!
コゲタは通過する時、門番に「こんにちはー!!」と元気に挨拶をしていった。
なるほどなあと頷く門番なのだ。
そうそう、こうやって元気がもらえるんだよね。
さて、リップルが連れて行かれたのはどっちだ。
「リップル来ませんでした?」
「あっ、ナザル様!! リップル様はですね、あちらです」
「第一王子の邸宅か! あそこの奥方がドレスのデザインが趣味だったんだっけ」
なんと、第一王子の夫人はデザイナーだったのだ。
もともとやんごとなき地位のご令嬢なのだが、「女も技術を持っていて然るべきです。なぜならその方が暇つぶしもできますし、研鑽は一生続けられるからです」とか仰って、デザイナーとしての腕を磨き続けているんだそうで。
異世界にウーマンリブの風を吹かせるか!?
まあ、大多数の奥様方はのんびり暮らしてたい人たちだから、そういう飛び抜けて優秀な女性は自己研鑽を楽しんでいただくのが一番平和的であろう。
僕が尋ねていくと、いきなりソロス第一王子のところに通されたのだった。
前にお会いしたときよりも、腹が引っ込んでシュッとしてるなあ!
「どうだ? 俺もデュオスに負けてはおれんからな。常識的な範囲で鍛え直したぞ。ナザルよ、貴様が王家に献上した料理の数々、俺も堪能しておる。感謝するぞ。今回のドレスは、俺と妻からのほんの礼だ。デュオスばかりにいい顔をさせてはおけんからな」
「ははあ、それでリップルに豪華なドレスを……」
「あれが張り切っていてな。最高傑作をデザインしたと言っている。見ていくか?」
「見に来ましたからね」
「いいだろう。おい、ナザルを案内してやれ」
「はっ」
第一王子の家令みたいな人が僕を案内してくれる。
「あのー、コゲタとポーターも連れていきたいんですが」
そう言ったら、家令氏が困った顔をした。
「家の中はコボルドと馬は入れないんですよ」
「じゃあ外側を回りながら窓から中を伺うのは」
「あっ、それはいけます。そちらでよろしければ案内しますよ」
話が早い。
僕だけが見ても意味がないのだ。
みんなで見よう、着飾ったリップル。
家令氏を先頭に、わいわいと屋敷の回りを歩く僕らなのだ。
そして該当の窓!
カーテンを開けて、侍女らしき人が「どうぞ御覧ください」と指し示してくれる。
どれどれ?
小柄で大人しそうな女性は、第一王子の奥方である。
あんな大人しそうなのに内に秘める情熱は熱い!
で、彼女の横でなんか動きづらそうにしてる、真っ赤なドレスの人が……。
「あっ、ナザルとコゲタとポーターじゃないか! 何を見に来てるんだ! 恥ずかしいなあ!」
「リップルじゃん! この世界のウェディングドレスって赤いのか!! そうか、至高神は太陽神だもんなあ! 太陽の赤がドレスの色になるわけか! ……ってことは新郎は……」
「大地母神にして月の女神の象徴する金色ですね」
「派手な礼服!!」
これを聞いて、リップルがニヤッと笑った。
「金ピカのナザルは見てみたいなあ!!」
「くそー、僕も恥ずかしいのを見せることになりそうだぜ……」
ということで、式は近いのだった。
「そうはいきませんリップル様。ささこちらへ」
「あーれー」
両腕をガッチリと王宮の屈強な侍女にホールドされて、リップルが連れて行かれてしまった。
強固な馬車が彼らを飲み込んで走り出す。
なんたることであろうか。
「リップルいっちゃった!」
「ぶるるるー」
厩からフリーダムに出てくるポーターも一緒で、走り去っていく馬車を見送るのだった。
「どうしたの?」
「俺とリップルが結婚式をするだろ? そのドレスを仕立てるんだ。もう最高の生地は用意してあるから、それを使ってドレスとして縫製する段階なんだろう。今まで逃げ回っていたリップルがここで捕まった」
「ほえー」
「ぶるー」
「二人とも興味あるかい?」
「あるー!」
「ひひん!」
「よし、じゃあ見に行ってみよう!」
そういうことにした。
ポーターは馬なので、トコトコ歩きながらプリッと馬糞を出したりする。
アーランは馬が足になっている文化圏なので、馬糞には大変寛容だ。
それに、アイアン級冒険者たちが馬糞を回収する仕事に従事している。
この馬糞が明日の作物を育てるための肥料となるのだ。
アーラン国民たちはこれをよく知っている。
貴族なればこそ、自宅で馬を育てているのでこの辺りには大変詳しくなる。
貴族の子女はみんな、幼い頃に馬糞回収をやり、遺跡まで行ってこれが肥料になる肥溜めなどを見学するのだという。
英才教育~!
お陰でこの国には、馬糞に文句を言うアホはいないわけですね。
ポーターを安心して連れ回せる。
三人で王宮までトコトコ歩いていく。
ゆっくり歩いて一時間ほどだろうか。
見慣れた王宮の門が見えた。
「入れてくれー」
「あっ、ナザル殿じゃないですか! 奥方のドレス姿見るんですか? 式までの楽しみにしておけばいいのに」
「僕は好物は先に食べる主義なんだよ。さあ通してくれ通してくれ」
「コボルドと馬も連れてきたぞ。大所帯になってきましたねえ」
「毎日が賑やかになってきたぞ。一人の頃も静かで良かったが、今はその時には想像もできない充実度を感じる……」
「いいですねえ……。俺も嫁さん来ないかなあ」
「犬を飼うか、コボルドの身請けをするといいぞ! 生活のクオリティが上がる!!」
「ほんとですか!? それならいけるなあ! やってみますよ!」
門番が目を輝かせた。
犬はいいぞ!!
コゲタは通過する時、門番に「こんにちはー!!」と元気に挨拶をしていった。
なるほどなあと頷く門番なのだ。
そうそう、こうやって元気がもらえるんだよね。
さて、リップルが連れて行かれたのはどっちだ。
「リップル来ませんでした?」
「あっ、ナザル様!! リップル様はですね、あちらです」
「第一王子の邸宅か! あそこの奥方がドレスのデザインが趣味だったんだっけ」
なんと、第一王子の夫人はデザイナーだったのだ。
もともとやんごとなき地位のご令嬢なのだが、「女も技術を持っていて然るべきです。なぜならその方が暇つぶしもできますし、研鑽は一生続けられるからです」とか仰って、デザイナーとしての腕を磨き続けているんだそうで。
異世界にウーマンリブの風を吹かせるか!?
まあ、大多数の奥様方はのんびり暮らしてたい人たちだから、そういう飛び抜けて優秀な女性は自己研鑽を楽しんでいただくのが一番平和的であろう。
僕が尋ねていくと、いきなりソロス第一王子のところに通されたのだった。
前にお会いしたときよりも、腹が引っ込んでシュッとしてるなあ!
「どうだ? 俺もデュオスに負けてはおれんからな。常識的な範囲で鍛え直したぞ。ナザルよ、貴様が王家に献上した料理の数々、俺も堪能しておる。感謝するぞ。今回のドレスは、俺と妻からのほんの礼だ。デュオスばかりにいい顔をさせてはおけんからな」
「ははあ、それでリップルに豪華なドレスを……」
「あれが張り切っていてな。最高傑作をデザインしたと言っている。見ていくか?」
「見に来ましたからね」
「いいだろう。おい、ナザルを案内してやれ」
「はっ」
第一王子の家令みたいな人が僕を案内してくれる。
「あのー、コゲタとポーターも連れていきたいんですが」
そう言ったら、家令氏が困った顔をした。
「家の中はコボルドと馬は入れないんですよ」
「じゃあ外側を回りながら窓から中を伺うのは」
「あっ、それはいけます。そちらでよろしければ案内しますよ」
話が早い。
僕だけが見ても意味がないのだ。
みんなで見よう、着飾ったリップル。
家令氏を先頭に、わいわいと屋敷の回りを歩く僕らなのだ。
そして該当の窓!
カーテンを開けて、侍女らしき人が「どうぞ御覧ください」と指し示してくれる。
どれどれ?
小柄で大人しそうな女性は、第一王子の奥方である。
あんな大人しそうなのに内に秘める情熱は熱い!
で、彼女の横でなんか動きづらそうにしてる、真っ赤なドレスの人が……。
「あっ、ナザルとコゲタとポーターじゃないか! 何を見に来てるんだ! 恥ずかしいなあ!」
「リップルじゃん! この世界のウェディングドレスって赤いのか!! そうか、至高神は太陽神だもんなあ! 太陽の赤がドレスの色になるわけか! ……ってことは新郎は……」
「大地母神にして月の女神の象徴する金色ですね」
「派手な礼服!!」
これを聞いて、リップルがニヤッと笑った。
「金ピカのナザルは見てみたいなあ!!」
「くそー、僕も恥ずかしいのを見せることになりそうだぜ……」
ということで、式は近いのだった。
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