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97・密着! 油使い一家!
第295話 我が家までついてきた
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「いやあー! みどもはお腹いっぱい! あんなに美味しいものが食べられるとは……。ドロテアさんとお近づきになれなかったのは残念だけど大満足! おや、その手にされているものはおみやげだね!」
「いかにも。ハンバーグだ。温め直して家で食べるんだぞ。しっかり中まで火を通しているから安全だ」
帰途についた僕だが、ブレッドが当たり前みたいな顔をしてついてくる。
別にいいのだが……。
どこまで取材するつもりだ?
夜は本当に馬小屋に寝かせるぞ?
屋根と壁があるだけ幸いみたいな場所だぞ?
帰宅したら、コゲタが庭でポーターと遊んでいるではないか。
「あーっ! ごしゅじーん! おかえりなさーい!!」
ぱたぱた走ってくると、ポーターもパカポコやってきた。
「おうおう、お留守番ありがとうなー。ポーターもなあ」
コゲタをわしゃわしゃ、ポーターをさすさすする。
うんうん、もこもこしたものがいると心が休まるなあ……。
「ほうほう、英雄ナザルはもこもこ、もふもふとしたものを愛すると……」
「それは全面的に正しい」
「ご主人、おいしそうなによいがする!」
「ふふふ、お分かりになりましたか。ハンバーグだぞ。夕飯で温めてもらって食べような」
「やったー!!」
「ぶるるー」
ポーターはいつもの草だけどな。
「ではみどももご相伴に……」
「お前は食堂で存分に食っただろうが。飯だけは出してやるからありがたく思え」
「おおお、英雄とは思えぬシビアなお言葉~!!」
「そもそも押しかけてきたのがお前なんだからな。僕は叙事詩みたいな曲なんか無くてもいいのだ」
「おお、なんたること~!! みどもはこんなに冷たくされたのは~! よくある~!」
よくあるんだ。
まあ賑やか過ぎるキャラだもんな。
室内では、夕方担当のお手伝いさんが来ており、夕食の準備をしているところだった。
僕は食堂で結構食ってきたので、軽くで構わないという話をする。
その分は全てこのサテュロスにくれてやればいい。
で、リップルはと言うと窓際で、安楽椅子に腰掛けてぐうぐう眠っていた。
本人的には子どもが生まれるまで、安静にして過ごすつもりなんだそうだ。
まあ、僕の収入で何不自由無く行けるから大人しくしてて欲しい。
で、食事が出来上がる頃合いに起きてきた。
「あ、ナザル帰ってきてたのかい? いやあ、最近私は凄く眠くてねえ。食べては寝て、寝ては食べてを繰り返していて太りそうな日々だよ……」
「お腹の中の子が栄養を持っていってるんじゃない? ちょっとくらい太ったほうがいいって聞くから大いに食っちゃ寝するがいい。たまには動いたほうがいいとは思うけど」
「そうかもなあ。つわりは魔法で相殺しているから全く無いけど、この眠気だけはたまらないよ。ふおわあああ」
おや?
妙にブレッドが静かだなと思ったのだが……。
真面目な顔をしてメモを取っているではないか。
こいつ、何を企んでいる……!?
「こういうチルい要素を記録し、曲を作るための助けにいていくんだよね! 貴重な記録~!!」
「僕らのプライベートが丸裸にされてしまうぞ」
「英雄なんかそんなものだろう? いいじゃないか」
経験者は語る!!
こうして夕食が供され、お手伝いさんもハンバーグを食べていった。
大いに感激されたので、何よりである。
ブレッドはここでもよく食った。
そして意気揚々と馬小屋に引き上げていった。
本当に馬小屋でもいいんだな。
たくましいぞ吟遊詩人。
「夜はすぐに眠り、朝になったら夜明けの光でメモを見返してインスピレーションを待つつもりだよ! じゃあね、おやすみー!!」
嵐のようだった。
その日はこうして終わり……。
朝はブレッドが朗々と歌う声で目覚めた。
こいつ、空気を読んでちょうどみんなが目覚めるような時間に歌い始めたな!
いや、まあいいだろう。
朝のお手伝いさんが来たところで、朝食を多めに作ってもらう。
このサテュロスがとにかくよく食うのだ。
もりもりもりーっとパンとシチューを平らげたブレッド。
「さあさあさあ! 今日の英雄はいかな一日を過ごすのかな!!」
「じゃあ、仕事をするか。遺跡の農場の視察に行くぞ」
「ついにーっ!! アーランの美食を一手に握る美食伯ナザルとしての顔が今、白日の下にー!!」
「隠しているつもりはないんだがな……!」
「ご主人! コゲタいってきまーす!」
「おっ、コゲタは仕事の日か! ポーター頼むぞ」
「ぶるるー」
ポーターがコゲタを背中に乗せて、ぱっかぽっこと歩いていく。
これを見る近所の人々が、みんなほっこりとした表情で笑うのだ。
もこもこした馬の上にもこもこしたコボルドが乗っているもんな。
「ではナザル、我らの移動に使う馬は?」
「ないぞ」
「は!?」
「歩いていくぞ」
「なんですとー!! コボルドを馬に乗せて、美食伯自身は歩いていくとはこれいかに!!」
「コゲタ優遇は当然だろう……。お前は何を言っているんだ」
「いやいや一般的にはあんたが何を言ってるんだだよ!?」
まさかブレッドに突っ込まれるとはな……!!
僕はしきりに首を傾げるブレッドを伴い、遺跡に向かってトコトコ歩いていくのだった。
途中から油で加速すれば問題なかろう。
「いかにも。ハンバーグだ。温め直して家で食べるんだぞ。しっかり中まで火を通しているから安全だ」
帰途についた僕だが、ブレッドが当たり前みたいな顔をしてついてくる。
別にいいのだが……。
どこまで取材するつもりだ?
夜は本当に馬小屋に寝かせるぞ?
屋根と壁があるだけ幸いみたいな場所だぞ?
帰宅したら、コゲタが庭でポーターと遊んでいるではないか。
「あーっ! ごしゅじーん! おかえりなさーい!!」
ぱたぱた走ってくると、ポーターもパカポコやってきた。
「おうおう、お留守番ありがとうなー。ポーターもなあ」
コゲタをわしゃわしゃ、ポーターをさすさすする。
うんうん、もこもこしたものがいると心が休まるなあ……。
「ほうほう、英雄ナザルはもこもこ、もふもふとしたものを愛すると……」
「それは全面的に正しい」
「ご主人、おいしそうなによいがする!」
「ふふふ、お分かりになりましたか。ハンバーグだぞ。夕飯で温めてもらって食べような」
「やったー!!」
「ぶるるー」
ポーターはいつもの草だけどな。
「ではみどももご相伴に……」
「お前は食堂で存分に食っただろうが。飯だけは出してやるからありがたく思え」
「おおお、英雄とは思えぬシビアなお言葉~!!」
「そもそも押しかけてきたのがお前なんだからな。僕は叙事詩みたいな曲なんか無くてもいいのだ」
「おお、なんたること~!! みどもはこんなに冷たくされたのは~! よくある~!」
よくあるんだ。
まあ賑やか過ぎるキャラだもんな。
室内では、夕方担当のお手伝いさんが来ており、夕食の準備をしているところだった。
僕は食堂で結構食ってきたので、軽くで構わないという話をする。
その分は全てこのサテュロスにくれてやればいい。
で、リップルはと言うと窓際で、安楽椅子に腰掛けてぐうぐう眠っていた。
本人的には子どもが生まれるまで、安静にして過ごすつもりなんだそうだ。
まあ、僕の収入で何不自由無く行けるから大人しくしてて欲しい。
で、食事が出来上がる頃合いに起きてきた。
「あ、ナザル帰ってきてたのかい? いやあ、最近私は凄く眠くてねえ。食べては寝て、寝ては食べてを繰り返していて太りそうな日々だよ……」
「お腹の中の子が栄養を持っていってるんじゃない? ちょっとくらい太ったほうがいいって聞くから大いに食っちゃ寝するがいい。たまには動いたほうがいいとは思うけど」
「そうかもなあ。つわりは魔法で相殺しているから全く無いけど、この眠気だけはたまらないよ。ふおわあああ」
おや?
妙にブレッドが静かだなと思ったのだが……。
真面目な顔をしてメモを取っているではないか。
こいつ、何を企んでいる……!?
「こういうチルい要素を記録し、曲を作るための助けにいていくんだよね! 貴重な記録~!!」
「僕らのプライベートが丸裸にされてしまうぞ」
「英雄なんかそんなものだろう? いいじゃないか」
経験者は語る!!
こうして夕食が供され、お手伝いさんもハンバーグを食べていった。
大いに感激されたので、何よりである。
ブレッドはここでもよく食った。
そして意気揚々と馬小屋に引き上げていった。
本当に馬小屋でもいいんだな。
たくましいぞ吟遊詩人。
「夜はすぐに眠り、朝になったら夜明けの光でメモを見返してインスピレーションを待つつもりだよ! じゃあね、おやすみー!!」
嵐のようだった。
その日はこうして終わり……。
朝はブレッドが朗々と歌う声で目覚めた。
こいつ、空気を読んでちょうどみんなが目覚めるような時間に歌い始めたな!
いや、まあいいだろう。
朝のお手伝いさんが来たところで、朝食を多めに作ってもらう。
このサテュロスがとにかくよく食うのだ。
もりもりもりーっとパンとシチューを平らげたブレッド。
「さあさあさあ! 今日の英雄はいかな一日を過ごすのかな!!」
「じゃあ、仕事をするか。遺跡の農場の視察に行くぞ」
「ついにーっ!! アーランの美食を一手に握る美食伯ナザルとしての顔が今、白日の下にー!!」
「隠しているつもりはないんだがな……!」
「ご主人! コゲタいってきまーす!」
「おっ、コゲタは仕事の日か! ポーター頼むぞ」
「ぶるるー」
ポーターがコゲタを背中に乗せて、ぱっかぽっこと歩いていく。
これを見る近所の人々が、みんなほっこりとした表情で笑うのだ。
もこもこした馬の上にもこもこしたコボルドが乗っているもんな。
「ではナザル、我らの移動に使う馬は?」
「ないぞ」
「は!?」
「歩いていくぞ」
「なんですとー!! コボルドを馬に乗せて、美食伯自身は歩いていくとはこれいかに!!」
「コゲタ優遇は当然だろう……。お前は何を言っているんだ」
「いやいや一般的にはあんたが何を言ってるんだだよ!?」
まさかブレッドに突っ込まれるとはな……!!
僕はしきりに首を傾げるブレッドを伴い、遺跡に向かってトコトコ歩いていくのだった。
途中から油で加速すれば問題なかろう。
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