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106・うなぎ料理と美少年
第324話 うなぎ漁始まる
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さて、うなぎだ。
今ここに、ビータとツインがいる。
僕を含めた三人でうなぎの漁を行っていくのだ。
この世界は、海以外は漁業権的な考えが無いため、河川では釣り放題となる。
もっとも、河川で行う釣りはモンスターと接触する危険を常にはらんでいるため、好んで行うものは少ないのだ。
僕らみたいな冒険者くらいだな。
「あの、ぼくは騎士見習いなんですが」
「僕も今は神官としての立場が」
「言われてみればこちらも貴族だ」
全然冒険者ではなかった。
さて、この面子でやって来たのは、入江にほど近い河である。
あと数百メートル行くと海。
だが、こんなところでも漁業権はない!
獲り放題だ。
アーランの街が見える辺りなので、たまに釣り人もいる。
問題は、水中から人を食うモンスターが出てきて引きずり込まれたりするくらいであろう。
なお、人食い水棲モンスターは、うなぎの血に流れている毒を嫌うために、うなぎは食べない。
「餌にはジャコとかを使ってだな」
「わしゃわしゃしてますね」
「ぼ、ぼくそういうのあまり触ったことなくて」
「よーしビータ、触って慣れておくんだ。これも修行だぞ修行」
「は、はいぃ」
こわごわ触り、わしゃわしゃーっと動くジャコに「ひゃあああー」と悲鳴をあげ。
だが頑張って釣り針に取り付けるビータなのだった。
偉いぞ!
ツインは顔色一つ変えないでジャコを扱う。
流石冒険者であろう。
僕もこういうのは全く問題ない。
サクッとかえしのついた釣り針に刺すと……。
「よーし、行くぞツイン、ビータ!」
「よーっし!! 釣るぞー!!」
「が、がんばります!!」
この世界における漁は主に海で行われるのだが、網を使ったものである。
網目がまあまあ粗いので、でかい魚しか獲れない。
小魚や細い魚は逃げるわけだ。
うなぎなんかは特に、ヌルリと。
さて、腰を据えて待つ。
こういう海と河の流れが合流する辺りは、いろいろな魚がいるものだ。
ジャコは特にうなぎが好む餌だが、必ず釣れるとも限らない。
二尾くらい釣れれば、シャザクとエリィには十分であろう。
どーれ……。
僕は腰を据えた。
これは長期戦になるかなあ……。
と思いながら、本日の弁当はどうするかを考え始めた頃。
横で釣ってた釣り人が、「ウグワーッ」と叫んで水の中に引きずり込まれた。
水棲の人食いモンスターだ!
やっぱり出たなあ。
釣りは本来、命がけなのだ。
「今助けます! たあーっ!」
躊躇なく水に飛び込むビータ!
普通ならば自殺行為である。
だが……彼の能力は、モンスターにも通じる魅了後からだ。
『ウボアー』
ぽわーんとなって浮上してくる人食いモンスター。
巨大なワニに似たやつだなあ。
僕はその足元に油を撒いた。
水の上に乗って、ピチピチ跳ねる巨大ワニ。
「ウグワーッ!」
スポーンとはね飛ぶ釣り人!
僕は走っていって、釣り人をキャッチした。
よーしよし。
そんな背後で、両手を合わせて超巨大光ソードを作ったツインが、モンスターを一刀両断していた。
凄い破壊力だな!?
モンスターがバタバタしたので、水が濁ってしまったぞ。
こりゃあダメかあ……?
と思ったら。
「あっ、師匠! なんか掛かってます!」
戻って来たビータの言葉にびっくり。
僕は慌てて釣り竿を握った。
「うおーっ! 行くぞ! 来いーっ!!」
満身の力を込めて、スポーンと釣り上げる!
細長くて黒くてニョロニョロしているその姿は……。
「うなぎだーっ! フィーッシュ!!」
ツインがすぐに魚籠を用意し、その中にうなぎをインした。
逃げるなよ、うなぎ……!
さらに、ツインとビータの釣り竿にもヒット!
残念ながら二人はうなぎでは無かったが、なかなかの大物である。
「汽水域はやっぱり大物が釣れるな……」
「ぼ、ぼく、釣りは初めてで……! こんなに釣れるものなんですね!」
「普通はこんなに釣れない……!! だがビータは釣り向きなのかも知れない」
なお、ツインはやっぱりモンスターみたいな魚を釣り上げて、襲いかかられたところを光の刃で両断していたのだった。
いきなり開きかあ!
せっかくなので、ツインが開きにしたやつで飯にする。
油を敷いて揚げ焼きだ。
釣りたて、揚げたての魚をザクザク切って、パンに乗せて食う。
美味い!!
「パン生地が油を吸い込んでて……塩だけなのに美味しい!」
「美食伯の料理は常に美味しいですよね……。なるほど、油と塩とパン……」
「どう組み合わせても絶対に旨くなるからな。特にこのモンスター、美味しいやつで本当に良かった」
見た目的にはホウライエソとかその辺りのグロいやつ。
深海魚みたいなのがよくこんな河にいたな。
汽水域のマジックかも知れない。
「師匠」
「なんだ」
「なんかぼく、ちょっと自信が湧いてきた気がします」
「そうか。さっき大活躍だったもんな」
「お陰で助かりました」
さっき助けた釣り人も、一緒になってモンスターサンドを食べているのだ。
「いえいえ! ぼく、魅了の力で毎日がとても大変で……。今もこうして抑え込んでいるんですけど、普通の暮らしをするにはそんなに努力しないといけないんだって思ったら憂鬱だったんです。でも……。ぼくの力で誰かを救うことができることに気づきました!」
「偉い!! 本当に、あの強力な魅了のギフトが、ビータみたいな高潔な心を持った少年のものであって良かった」
僕はしみじみと思うのだった。
それはそうと、その後であと二尾のうなぎが連れたので、今回の釣りは大成功である。
今ここに、ビータとツインがいる。
僕を含めた三人でうなぎの漁を行っていくのだ。
この世界は、海以外は漁業権的な考えが無いため、河川では釣り放題となる。
もっとも、河川で行う釣りはモンスターと接触する危険を常にはらんでいるため、好んで行うものは少ないのだ。
僕らみたいな冒険者くらいだな。
「あの、ぼくは騎士見習いなんですが」
「僕も今は神官としての立場が」
「言われてみればこちらも貴族だ」
全然冒険者ではなかった。
さて、この面子でやって来たのは、入江にほど近い河である。
あと数百メートル行くと海。
だが、こんなところでも漁業権はない!
獲り放題だ。
アーランの街が見える辺りなので、たまに釣り人もいる。
問題は、水中から人を食うモンスターが出てきて引きずり込まれたりするくらいであろう。
なお、人食い水棲モンスターは、うなぎの血に流れている毒を嫌うために、うなぎは食べない。
「餌にはジャコとかを使ってだな」
「わしゃわしゃしてますね」
「ぼ、ぼくそういうのあまり触ったことなくて」
「よーしビータ、触って慣れておくんだ。これも修行だぞ修行」
「は、はいぃ」
こわごわ触り、わしゃわしゃーっと動くジャコに「ひゃあああー」と悲鳴をあげ。
だが頑張って釣り針に取り付けるビータなのだった。
偉いぞ!
ツインは顔色一つ変えないでジャコを扱う。
流石冒険者であろう。
僕もこういうのは全く問題ない。
サクッとかえしのついた釣り針に刺すと……。
「よーし、行くぞツイン、ビータ!」
「よーっし!! 釣るぞー!!」
「が、がんばります!!」
この世界における漁は主に海で行われるのだが、網を使ったものである。
網目がまあまあ粗いので、でかい魚しか獲れない。
小魚や細い魚は逃げるわけだ。
うなぎなんかは特に、ヌルリと。
さて、腰を据えて待つ。
こういう海と河の流れが合流する辺りは、いろいろな魚がいるものだ。
ジャコは特にうなぎが好む餌だが、必ず釣れるとも限らない。
二尾くらい釣れれば、シャザクとエリィには十分であろう。
どーれ……。
僕は腰を据えた。
これは長期戦になるかなあ……。
と思いながら、本日の弁当はどうするかを考え始めた頃。
横で釣ってた釣り人が、「ウグワーッ」と叫んで水の中に引きずり込まれた。
水棲の人食いモンスターだ!
やっぱり出たなあ。
釣りは本来、命がけなのだ。
「今助けます! たあーっ!」
躊躇なく水に飛び込むビータ!
普通ならば自殺行為である。
だが……彼の能力は、モンスターにも通じる魅了後からだ。
『ウボアー』
ぽわーんとなって浮上してくる人食いモンスター。
巨大なワニに似たやつだなあ。
僕はその足元に油を撒いた。
水の上に乗って、ピチピチ跳ねる巨大ワニ。
「ウグワーッ!」
スポーンとはね飛ぶ釣り人!
僕は走っていって、釣り人をキャッチした。
よーしよし。
そんな背後で、両手を合わせて超巨大光ソードを作ったツインが、モンスターを一刀両断していた。
凄い破壊力だな!?
モンスターがバタバタしたので、水が濁ってしまったぞ。
こりゃあダメかあ……?
と思ったら。
「あっ、師匠! なんか掛かってます!」
戻って来たビータの言葉にびっくり。
僕は慌てて釣り竿を握った。
「うおーっ! 行くぞ! 来いーっ!!」
満身の力を込めて、スポーンと釣り上げる!
細長くて黒くてニョロニョロしているその姿は……。
「うなぎだーっ! フィーッシュ!!」
ツインがすぐに魚籠を用意し、その中にうなぎをインした。
逃げるなよ、うなぎ……!
さらに、ツインとビータの釣り竿にもヒット!
残念ながら二人はうなぎでは無かったが、なかなかの大物である。
「汽水域はやっぱり大物が釣れるな……」
「ぼ、ぼく、釣りは初めてで……! こんなに釣れるものなんですね!」
「普通はこんなに釣れない……!! だがビータは釣り向きなのかも知れない」
なお、ツインはやっぱりモンスターみたいな魚を釣り上げて、襲いかかられたところを光の刃で両断していたのだった。
いきなり開きかあ!
せっかくなので、ツインが開きにしたやつで飯にする。
油を敷いて揚げ焼きだ。
釣りたて、揚げたての魚をザクザク切って、パンに乗せて食う。
美味い!!
「パン生地が油を吸い込んでて……塩だけなのに美味しい!」
「美食伯の料理は常に美味しいですよね……。なるほど、油と塩とパン……」
「どう組み合わせても絶対に旨くなるからな。特にこのモンスター、美味しいやつで本当に良かった」
見た目的にはホウライエソとかその辺りのグロいやつ。
深海魚みたいなのがよくこんな河にいたな。
汽水域のマジックかも知れない。
「師匠」
「なんだ」
「なんかぼく、ちょっと自信が湧いてきた気がします」
「そうか。さっき大活躍だったもんな」
「お陰で助かりました」
さっき助けた釣り人も、一緒になってモンスターサンドを食べているのだ。
「いえいえ! ぼく、魅了の力で毎日がとても大変で……。今もこうして抑え込んでいるんですけど、普通の暮らしをするにはそんなに努力しないといけないんだって思ったら憂鬱だったんです。でも……。ぼくの力で誰かを救うことができることに気づきました!」
「偉い!! 本当に、あの強力な魅了のギフトが、ビータみたいな高潔な心を持った少年のものであって良かった」
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