第二王子に転生したら、当て馬キャラだった。

秋元智也

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23話 救出

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ルイスが消えた頃、セシリアとジェイムスは必死
にルイスの行方を探していた。

「見つけたか?」

「こっちにもいないわ。どこ行ったのかしら?薬
 草学の授業に出た後から行方が分からないらし
 いの」

「薬草学か……確か温室の方だったな」

「うん、そういえばケントくんもいないわね……」

「ケント?」

「そうよ、ケント・イスラット。ルイスくんの友
 人でしょ?」

セシリアの言葉に、何か引っ掛かる。
ケントといえば、隣国のお家騒動から逃げて来た
王族だったはずだ。それがルイスと仲良くする理
由などないはずだ。

それがルイスとつるむ意味といえば……同じ境遇
だという事以外に傷の舐め合うか、もしくは……。

あそこは兄が王位を継いで、次々と王位継承権を
持つ兄弟にあらぬ罪を被せられて処刑されたと聞
きおよんでいた。

彼は、その唯一の生存者なのだ。

「そのケントの足取りを追えるか?」

「それがね……街に行ったらしいのよ」

「まさか庶民の街へと降りたのか?」

セシリアの聞いて来た話によると、二人連れ立っ
て門を越えて行ったという。

街に降りては、探すにしても時間がかかり過ぎる。

「一体どうしたら………」

そう思うと、ハッと前に渡したネックレスの事を
思い出した。
あれは、確か、大切な人に贈るもので、居なくな
ったとしても王族には居場所が分かるというもの
だった。

ただし、肌身離さずつけていたらに限る。

ジェイムスは対となる指輪をかざして魔法を行使
したのだった。

すると、いきなり七色に輝く蝶が舞い降り、ゆっ
くりと方向を決めて飛び立ったのだった。

後を追うように走ると、貧民街へと向かっていた。


そして、細い路地を何度か曲がり、一軒のボロ屋
へと辿り着いたのだった。

その上で何度も旋回すると、中に飛び込んでいった。

「なっ、なんだこれは、おい邪魔すんじゃね~!」

中で騒ぐ男の声に、ジェイムスは剣を抜き、一気に
ドアを蹴破り入ったのだった。

そこには汚らしい性器をぶら下げた男がいた。
その足元には、咽せるように咳き込むルイスが手足
を縛られたまま転がされていた。

男に絡みつくように蝶が戯れ、男はヤケになると
ナイフで蝶を切り裂いたのだった。

まやかしでできた蝶はスッと消えると、ジェイム
スの指輪へと戻ったのだった。

「ルイスっ!」

「おいおい、また客人かぁ?」

「おい、ルイスにその汚いものを触れさせたんじ
 ゃないだろうな?」

「おいおい、汚いはね~だろ?こいつはさっきか
 らうまそうにしゃぶりついていたんだぜ?今か
 ら奥に突っ込んでやろうって話になってたんだ」

ジェイムスは男の言葉に一気に血が昇るのを感じ
たのだった。
セシリアがルイスに駆け寄ると自分の上着をかける。

「ルイスくん、怪我はない?もう、大丈夫だからね」

ジェイムスが剣を構えると、セシリアは杖を構えた
のだった。
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