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覚醒編
10話 ハイドのキメラ
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ハイドの実験室は薄暗い地下にあった。
誰も来なさそうなそんな場所にある。
変わり者で知られているハイド先生だったが、
授業では頼りになる先生だと描かれていた。
コンコンッ。
「なんだね、空いている」
「すいません、ちょっといいですか?」
「私は忙しい、後にしてくれ…ん?セシリアく
んと…チィッ、王族の人間か」
「あの、話を聞いて欲しくて…」
「今は忙しい、出ていきなさい」
手に持った試験管を眺めながらそれを移し替え
ていく。
中に小さな核があって、それの周りを魔力が循
環している。
「キメラですか?人工生命体、そして別の種族
の特徴をかけ合わせた新たな生命……」
いきなり言い当てられ、不機嫌な顔を覗かせて
きた。
「なんの用事だ?」
「いえ、ちょっと会ってもらいたい人がいるん
です」
ルイスの言葉に嫌そうな顔を向けてきた。
それもそうだろう。
人嫌いと噂されるほど、誰にも心を許さないの
が、このハイド・ケミカルなのだ。
だが。唯一弟だけは気掛かりだったはずだ。
仲が良く、一緒に遊んでいた。
人間達が村に来るまでは……。
「会うとは誰にだ?」
「ここでは言えません。本人には後日でいいので
会って欲しいのです。きっと後悔はさせません」
「ふんっ……分かった。会ってやる、だが…噂の
聖女を連れてきたらな……」
「は?………なぜそうなるんです?」
「王族なら、金があるだろ?教会に頼み込んで会
わせてくれるのなら、そいつに会ってやる。そ
れが条件だ」
いきなりの展開に驚きを隠せなかった。
セシリアは勿論知っている。
それ以外だと城の関係者一部と王族しか知ら無い
事だった。
「それで聖女に何を頼みたいのです?」
「それは……この生成体の回復を頼みたいのだ。
これはこのままでは数日と生きられない。だが、
ここに別の遺伝子を組み込む事でだな……強化
され、新たな生命に変化するんだ…だが、その
過程で力の制御ができず肉体がバラバラになっ
てしまう。それを防いで欲しいのだ」
「要は常に回復をかけ続けて、それも自己治癒で
はなく奇跡のような、浄化と併用でき、身体の
崩壊を食い止める方法を試したいと?」
「あぁ、そう言う事だ。お前は理解が早くていい
な。私の講義に出てみないか?」
「結構です。僕は魔力が少ないので…」
「それなら増やせばいい。これなんかどうだ?」
取り出された指輪は石がついたシンプルなものだ
った。
魔石なのだろうか?
中からはとてつもないくらいの魔力が溢れていた。
「これは?」
「魔力を補助する指輪だ。貸してやろう。私の
実験の良き理解者に」
そういうと、ルイスの左手を取ると薬指にはめた。
「はぁ~、いいですよ。わかりました。やりま
しょう。それでいつその実験をやるんですか?」
「いつっていつでも出来るぞ?素材はここにある
し、分裂前の個体も今さっきできたばかりだ」
「ならとっととやりますよ?これでいいんです
ね?」
「ルイスくん、大丈夫なの?この前魔力使い過
ぎて倒れたばかりでしょ?」
「平気、そう長く使わなければ大丈夫だよ」
そう言うと、対象物へと聖女の祈りを使う。
ハイドはすぐに薬品を入れて、分裂と再構築を
見つめたのだった。
一つの個体に。もう一つの生命。
宿っては分裂を繰り返す。
この過程で身体が崩壊するのだが、今はそんな
事はなかった。
ゆっくり試験管の中で成長していく。
小さいながらに形が出来ると、試験管を破って
机の上に生まれ落ちた。
「まだですか?」
「あぁ、もうちょっとだ……」
ハイドはいつか絶命したと言う竜を再現したと
あった。
『いつか君をこの竜の背に乗せて世界に飛び立
ちたいものだな』
とセシリアに語るのだ。
誰も来なさそうなそんな場所にある。
変わり者で知られているハイド先生だったが、
授業では頼りになる先生だと描かれていた。
コンコンッ。
「なんだね、空いている」
「すいません、ちょっといいですか?」
「私は忙しい、後にしてくれ…ん?セシリアく
んと…チィッ、王族の人間か」
「あの、話を聞いて欲しくて…」
「今は忙しい、出ていきなさい」
手に持った試験管を眺めながらそれを移し替え
ていく。
中に小さな核があって、それの周りを魔力が循
環している。
「キメラですか?人工生命体、そして別の種族
の特徴をかけ合わせた新たな生命……」
いきなり言い当てられ、不機嫌な顔を覗かせて
きた。
「なんの用事だ?」
「いえ、ちょっと会ってもらいたい人がいるん
です」
ルイスの言葉に嫌そうな顔を向けてきた。
それもそうだろう。
人嫌いと噂されるほど、誰にも心を許さないの
が、このハイド・ケミカルなのだ。
だが。唯一弟だけは気掛かりだったはずだ。
仲が良く、一緒に遊んでいた。
人間達が村に来るまでは……。
「会うとは誰にだ?」
「ここでは言えません。本人には後日でいいので
会って欲しいのです。きっと後悔はさせません」
「ふんっ……分かった。会ってやる、だが…噂の
聖女を連れてきたらな……」
「は?………なぜそうなるんです?」
「王族なら、金があるだろ?教会に頼み込んで会
わせてくれるのなら、そいつに会ってやる。そ
れが条件だ」
いきなりの展開に驚きを隠せなかった。
セシリアは勿論知っている。
それ以外だと城の関係者一部と王族しか知ら無い
事だった。
「それで聖女に何を頼みたいのです?」
「それは……この生成体の回復を頼みたいのだ。
これはこのままでは数日と生きられない。だが、
ここに別の遺伝子を組み込む事でだな……強化
され、新たな生命に変化するんだ…だが、その
過程で力の制御ができず肉体がバラバラになっ
てしまう。それを防いで欲しいのだ」
「要は常に回復をかけ続けて、それも自己治癒で
はなく奇跡のような、浄化と併用でき、身体の
崩壊を食い止める方法を試したいと?」
「あぁ、そう言う事だ。お前は理解が早くていい
な。私の講義に出てみないか?」
「結構です。僕は魔力が少ないので…」
「それなら増やせばいい。これなんかどうだ?」
取り出された指輪は石がついたシンプルなものだ
った。
魔石なのだろうか?
中からはとてつもないくらいの魔力が溢れていた。
「これは?」
「魔力を補助する指輪だ。貸してやろう。私の
実験の良き理解者に」
そういうと、ルイスの左手を取ると薬指にはめた。
「はぁ~、いいですよ。わかりました。やりま
しょう。それでいつその実験をやるんですか?」
「いつっていつでも出来るぞ?素材はここにある
し、分裂前の個体も今さっきできたばかりだ」
「ならとっととやりますよ?これでいいんです
ね?」
「ルイスくん、大丈夫なの?この前魔力使い過
ぎて倒れたばかりでしょ?」
「平気、そう長く使わなければ大丈夫だよ」
そう言うと、対象物へと聖女の祈りを使う。
ハイドはすぐに薬品を入れて、分裂と再構築を
見つめたのだった。
一つの個体に。もう一つの生命。
宿っては分裂を繰り返す。
この過程で身体が崩壊するのだが、今はそんな
事はなかった。
ゆっくり試験管の中で成長していく。
小さいながらに形が出来ると、試験管を破って
机の上に生まれ落ちた。
「まだですか?」
「あぁ、もうちょっとだ……」
ハイドはいつか絶命したと言う竜を再現したと
あった。
『いつか君をこの竜の背に乗せて世界に飛び立
ちたいものだな』
とセシリアに語るのだ。
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