渉くんの育性日記

秋元智也

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最終話 渉との時間

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あれから、何針か縫ってもらって今は普通に過ごしている。
大我はもう、来なくなった。

その日以来外へ出なくなった渉を俺は毎日のように犯し続けた。

反抗もしない、俺が言うままに足を開いて黙って身体を預けてくれる。
目も虚で、俺の事を見なくなっていた。

身体の相性はいいらしくやめられない。
性器を取ったせいか感じ方が少し変わった。
前みたいに何度でも快楽を味わい続ける事がないのか。
それとも感じなくなったのか?俺が何度イっても渉は苦痛に呻くように
耐えている様子でしかなかった。

「おい、気持ちよくないのか?渉!」
「享さんが気持ちいいなら…それで…」
「そうじゃないだろ?」
「乳首もちぎってもいいよ…痛がるのがいいんだっけ?好きにしてよ…」

俺は気に入らなくて、気づいたら渉の右の乳首を噛み切っていた。
血が溢れ出して悲鳴が上がる。
あの日のように赤く染まるベッドに狂ったように泣き叫ぶ渉の姿。

それから半年が過ぎて俺は学校を辞めると渉を連れて実家に帰った。
実家の屋敷は昔、渉を監禁した場所だった。
そこで渉と余生を過ごす事にしたのだ。
その頃には食事すら食べてくれないようになって、痩せ細っていく渉
の姿があった。
水分は口移しで無理矢理飲ませたが、それ以外は食べても吐いてだす
始末。

「渉…お前はどうしたいんだ?」

何を聞いてもだんまりで動こうともしない。

「…俺に何して欲しいんだよ…切り取った事恨んでるのか?」

今は両手両足をベッドに拘束し部屋からすら出さないつもりでいる。
渉を誘惑する者はもういない。
スマホには友人からのラインのメッセージが来ていたが誰にも返して
いない。

月日があっという間に経っていき、渉も今年で31になる。
点滴で命を繋いでいるが、自分では動く事もできなくなっていた。
もういっそ、この手で…。
俺はやっと決心をつけると渉の点滴を乱暴に外すと渉の首に手を
かけた。
いや、最後にシながらイカせてあげよう。

俺は渉を裸にさせると股を開かせ指で慣らすとすぐに挿入した。
微かにうめき声を上げるが、乱暴に犯すと最後に首に手をかけ、
力を込めた。

中が一気に締め付けられ、あっという間に搾り取られてしまった。
キリキリと締め付ける手に力をいれると、抵抗もする事なく目を
閉じた。

ちょうど玄関のチャイムがくどいくらいに鳴っていた。
出る気はない。しかし、こんな田舎でしつこい奴もいるもんだと
考えながら締め続ける。
動かなくなったのを確かめて、やって手を離した。
玄関でガラスが割れる音が聞こえてきて、ズカズカと足音が聞こ
えて来る。

「誰だ!勝手に入って来るとはどんな神経をしているんだ!」

俺は怒鳴りながら入ってきた人物に言うと見覚えのある面影が
あった。
あの日来なくなった大我だったのだ。
俺の後ろで横たわる渉を見て俺を通り過ぎて側に駆け寄って
いった。

後からきたもう一人の警官は俺を交互に見ると手錠をかけた。

「先生、何でこんな事を…」
「首締めながらのセックスは気持ちいいんだよ?渉に何をしよう
 が俺の勝手だろ?」
「渉兄ちゃんを誘拐したのは先生なんですね?長瀬享さん。」

俺はから笑いをすると、警官を突き倒しキッチンに向かった。
包丁を握ると頸動脈に当てると思いっきり引いた。

血飛沫が上がって、あの日を思い出す。
渉のを切り落としたあの時も同じように血がいっぱい出たっけ…。

「渉は俺のだ。誰にも渡さない…俺があの世まで連れてくんだ…」

事切れる最後まで先生は渉を手放さないつもりだったようだ。
犯人死亡で事件は解決を迎えた。
その後、渉は大我によって息を吹き返し病院に搬送されていた。
気がついた時には誰かもわからなくなっていて大我の事も覚えてはい
なかった。

「大丈夫か?」
「えぇ、なんとか…」
「知り合いだったんだろ?可哀想にな~、小学校の時に拐われて今ま
 でずっとだもんな~、しかも性的暴行を受けてたって事だろ?男と
 して生きていけねーよな?アソコも切り取られてさ。」

同期の警察官は同情の眼差しを向けて来る。
それでも大我はずっと好きだった。
渉兄ちゃんの事を…もし忘れられたままでもいい。
それでも一緒にまた暮らしたいと願っていたのだ。

やっとの思いで探し当てた時には別人のように痩せていて、自分の事
さえ覚えてはいなかった。
鎖の跡は消えない。繋がれたまま何年過ごしたのか?
何度も擦れた傷は治る事なくあたらに刻まれたせいか古傷として残っ
ていく。

大我は毎日のように病院へと通った。
目を覚ました渉兄ちゃんに何度も話しかけた。

「今日ね花見にはもってこいなくらい満開なんだよ。そうだ!そこの公園
 すっごく見頃だから行こうか?許可取って来るよ!」

病室で窓の外を眺める渉に話しかけると許可を取りにナースステーション
へと向かった。

なんの反応もなかった渉の目に生気が宿っていた。

「ごめんね…もう、いいから…」

窓を開けると動かない手足を必死に使って身を乗り出す。
病室は5階…窓は完全には開かないようになっているのだが、なぜかその時
開いていた。
そして渉は空に踊り出た。
下の駐車場が騒がしくなり悲鳴が上がっていた。

大我は許可証を持って病室へと帰ってきた。
ベッドにいるはずの渉はおらず、窓は開け放たれたままだった。
強い風が吹き付けカーテンを揺らす。

そこにいるはずのない渉が微笑みかけていた。

『さよなら。大我…ありがとう…』

「渉兄ちゃん!」

手を伸ばしたが、空を掴むだけだった。
下が騒がしく、覗き込むとそこにはさっきまでいた渉の姿がった。
早く見にいかなきゃ!
まだ助かるかも…。
淡い期待を仕掛けたが、身体が全く動かなかった。
最後に見た渉は幻だったのか?
久しぶりに見た笑顔はお別れの挨拶だったのか?

全ては僕の誤った行いのせいで平穏だった生活はいっぺんしてしまった。

もっと早く連れ出していればよかったのか?
いや、そうじゃない!過ちを犯したせいだ!僕は何もしなければこんな結末
にはならなかったのではないか?

先生が狂うくらい渉兄ちゃんに執着していたのは知っていたのに…。
僕の嫉妬のせいでどっちも失ってしまったのだ。
そして大我の家の冷蔵庫にはいつまでも例の瓶が入ったままになっている。

それは渉を思い出す唯一の思い出となってしまったのだった。
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