僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也

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46話 人それぞれ

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歩夢「はぁ ~、どうして私はいつもこうなんだ
   ろう」

そこにナレーションが言葉を紡ぎ出す。
一人の少女は呟いた…これはそんな少女のお話

姉1「ちょっと!シンデレラ台所のそ~じ終わっ
   たの?」

意地悪そうな姉が言います。

歩夢「はっはい!」

姉2「何よコレ!汚いわねぇあとから裏の汚い水
   で洗ってくればぁ~?クスクス」

継母「シンデレラ!台所のお掃除が終わったら次
   は馬小屋の掃除!まだやる事はたくさんあ
   るんだから早くしてちょうだい」

姉1.2「おっお母様っ」

二人の姉がハモるように言葉を重ねる。

継母「あなた達は綺麗なドレスに着替えなくちゃ
   ダメじゃな~い」

姉1「はい!お母様今日は舞踏会ですものね」

姉2「何を着ていこうかしら」

歩夢「お母様っ!私も……私も一緒に行ってはダメ
   ですか?」

少し控えめにシンデレラが母親に聞く。

継母「誰がそんなことを……みすぼらしいあなた
   に与えるドレスなんてないよっ」

伯爵「お~いお前達!馬車の用意ができたぞ~
   早くしろ」

継母「はーい今行くわぁ~あなた~」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

登場人物は意外と少ない。

シンデレラと王子、あとは意地悪な継母と姉二人。
父親の伯爵が一言あるだけだった。

あとは、モブ達がダンスシーンでバックをにぎや
かにするくらいだ。

「うんうん、いい感じだわ」

女子は演じてて楽しそうだった。
それに引き換え歩夢はうんざりしている。

当日はドレスを着るのだ。

人生初めてのスカート…ドレスでのダンスシーン。
こんな事、人生に何度もあってたまるか!

隣でくすくすと笑いが聞こえる。
継母の役をやるのは綾野だった。

意外とノリノリでセリフを言うので、びっくりし
たくらいだった。

「楽しんでるよな?」

「そりゃ~楽しまなきゃ損だろ?水城も楽しんじ
 ゃえって!」

継母の前では無理にでも笑う彼女は一体、どんな
心境なのだろう。

姉は綺麗なドレスを着て、舞踏会は煌びやかな場
所なのだろう。
シンデレラには想像もつかなかった。

なぜなら、家から出た事がないのだから。

彼女は常に家の家事から何から何までを担ってい
た。
どこかへ遊びに行く時間や、勉強の時間もなかっ
た事だろう。

「この物語ってさ~ハッピーエンドだったっけ?」

ボソッと呟いた歩夢の言葉に、綾野は当たり前
だろ!と、返したのだった。

灰被り姫。
それは掃除で煤まみれ、埃まみれで家事をする少
女が老婆の魔法でどこかの令嬢のように綺麗にな
って王子様の前に現れる。

そして夜中0時の鐘で魔法が解けるからと言われ
て、ギリギリで会場を抜け出し帰ってくるのだ。

王子様は彼女が忘れられず、慌てた際に落として
いったガラスの靴を手がかりに彼女を探すにも子
供サイズの靴に合う女性は早々見つからなかった。

そして、やっと見つけた彼女は、あの時の夜とは
似ても似つかない姿だった………。

「それでも、王子様が見つけて結婚してめでたし
 めでたしだろ?」

「そもそも、足が小さいままってところで虐待さ
 れてたって事だよな?新しい靴が一人だけ買っ
 て貰えず、古いままの敗れた靴を履いているん
 だから…」

「まぁまぁ、フィクションだからさ」

それでも考えてしまう。
彼女は見たこともないような豪華な料理に舌鼓を
打っていたのではないか?

誘われて断るのは身分の高い女性のみ、平民は上
の人に誘われれば、断る選択肢はなかっただろう。

「なんか不便だよな?」

「えっ!水城……どこを見て不便になるんだよ?
 王子様と一緒に城で暮らせれれば、贅沢三昧
 だろ?」

人の捉え方は、人の数だけあると言うが、やっぱ
り違って同然なのだった。
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