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第三十四話
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退部届を出すと、先生にも引き留められたが断固として突っ返した。
「いいのか?花園はいつも真面目にやってただろう?それにもうすぐ
大会だろ?せっかく選ばれたってのに…」
「ごめんなさい。ちょっと腕を怪我しちゃって…竹刀握れないんです」
「そうか…それなら仕方ないな。でも、治ったらいつでも戻ってこい
よ、待ってるからな!」
「はい…」
嘘を言うと、心苦しいがこの際仕方がなかった。
部活がなくなると帰る時間が早くなって、まだ明るい。
「あれ?綾音、今日部活は?」
「あぁ、辞めちゃった。一緒に帰ろ。」
「えっ…なんで?あんなに頑張ってたのに?」
「うん、ちょっと怪我しちゃって…」
「そっかぁ~それは仕方ないな…うん。」
前田はその嘘を素直に信じてくれた。
田辺にはあらかじめ言っておいたので、話を合わせてくれる予定だ。
花園が退部してから麻生がたるんでる1年、2年を厳しく扱き上げてるとか。
そして、夏の大会が始まった。
麻生は一人で個人戦を勝ち抜いたが、賞を取る事はならず。
団体戦もボロ負けとなった。
麻生一人で勝ち抜くには、厳しい試合だった。
田辺も奮闘したが、それまでだった。
久しぶりに試合後に珍しい人に会った。
「よぉ!麻生団体戦弱すぎだろ?」
「仕方ないだろ?柿崎先輩ほど強い人は居ねーんだから!」
「あいつ、試合に出さなかったんだな?腕はよかっただろう?」
「何言ってんだよ!お前の恋人だろ?怪我で竹刀が握れないから退部したよ!」
「怪我!?何があったんだ?」
麻生に詰め寄ると苦い顔で押し返された。
「自分で聞けよ!お前が居なくなってからちょっと部活内で揉めたんだよ。それで
怪我したんだ…もう、部活もできないってくらいにな…」
間違った事は言っていない。
精神的に…だが部活にはもう、来ないだろう。
そもそも、その原因はこの先輩にもあるのだ。
少しは悩めとばかりに、言ってやったのだ。
しかし、それ以上は聞いてこなかった。
悩んだ顔をしながら帰って行く姿を見送りながら、帰りのバスに乗った。
ー数時間前ー
柿崎は、夏の大会が行われる試合会場に来ていた。
後輩の勇姿を見に来たというより、綾音の姿を見に来ていた。
来るもの拒まず、去るモノ追わず。
それが柿崎であったはずだった。
だけど、あの日屋上で別れて以来、心がそわそわして落ち着かなかった。
電話でもとかけたが、かからなかったし、メールもLINEも届かなかった。
「全部消す事ないだろう?そんなに嫌だったのかよ…」
誰かから拒まれたのは初めてだった。
「いいのか?花園はいつも真面目にやってただろう?それにもうすぐ
大会だろ?せっかく選ばれたってのに…」
「ごめんなさい。ちょっと腕を怪我しちゃって…竹刀握れないんです」
「そうか…それなら仕方ないな。でも、治ったらいつでも戻ってこい
よ、待ってるからな!」
「はい…」
嘘を言うと、心苦しいがこの際仕方がなかった。
部活がなくなると帰る時間が早くなって、まだ明るい。
「あれ?綾音、今日部活は?」
「あぁ、辞めちゃった。一緒に帰ろ。」
「えっ…なんで?あんなに頑張ってたのに?」
「うん、ちょっと怪我しちゃって…」
「そっかぁ~それは仕方ないな…うん。」
前田はその嘘を素直に信じてくれた。
田辺にはあらかじめ言っておいたので、話を合わせてくれる予定だ。
花園が退部してから麻生がたるんでる1年、2年を厳しく扱き上げてるとか。
そして、夏の大会が始まった。
麻生は一人で個人戦を勝ち抜いたが、賞を取る事はならず。
団体戦もボロ負けとなった。
麻生一人で勝ち抜くには、厳しい試合だった。
田辺も奮闘したが、それまでだった。
久しぶりに試合後に珍しい人に会った。
「よぉ!麻生団体戦弱すぎだろ?」
「仕方ないだろ?柿崎先輩ほど強い人は居ねーんだから!」
「あいつ、試合に出さなかったんだな?腕はよかっただろう?」
「何言ってんだよ!お前の恋人だろ?怪我で竹刀が握れないから退部したよ!」
「怪我!?何があったんだ?」
麻生に詰め寄ると苦い顔で押し返された。
「自分で聞けよ!お前が居なくなってからちょっと部活内で揉めたんだよ。それで
怪我したんだ…もう、部活もできないってくらいにな…」
間違った事は言っていない。
精神的に…だが部活にはもう、来ないだろう。
そもそも、その原因はこの先輩にもあるのだ。
少しは悩めとばかりに、言ってやったのだ。
しかし、それ以上は聞いてこなかった。
悩んだ顔をしながら帰って行く姿を見送りながら、帰りのバスに乗った。
ー数時間前ー
柿崎は、夏の大会が行われる試合会場に来ていた。
後輩の勇姿を見に来たというより、綾音の姿を見に来ていた。
来るもの拒まず、去るモノ追わず。
それが柿崎であったはずだった。
だけど、あの日屋上で別れて以来、心がそわそわして落ち着かなかった。
電話でもとかけたが、かからなかったし、メールもLINEも届かなかった。
「全部消す事ないだろう?そんなに嫌だったのかよ…」
誰かから拒まれたのは初めてだった。
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