貧乏神に愛された男

0話_不運を招く男

 村の成人を集めて作ったパーティー『ベルセルク』。
 それはどこにでもあるパッとしないパーティーだった。

 しかし3年間の努力が認められ、ようやくランクCへと上がった。
 そんな彼らはソロでランクCにまで至った冒険者のカイルと出会い、そしてカイルの腕を見込んでパーティーに参加することを頼み込んだ。

「別にいいけど後悔しても知らないぞ?」

 最初こそその意味はわからなかった。
 腕は同じランクにしておくのも勿体無いくらいに強いし、指示も的確だ。
 だが、パーティーを組んで以来、小さな不運に見舞われ続けた。

 討伐依頼は物凄い速さで終わるのだが、査定品が買取拒否されたり、訳のわからない不運がパーティーを襲いはじめる。

「今までこんな事なかった。なのにカイルと組んでから俺たちは運に見放されたみたいだ」
「やっぱりそうよね。ここ最近肌のノリが悪くて、どんなに化粧品にお金を注ぎ込んでも改善されないのよ」
「俺も武器の破損が目に見えて多くなった」

 口々に出始める不満。
 しかしカイルの力でランクAに上がったベルセルクに、追放を言い渡す者は居なかった。
 なのでカイルから話を切り出すことにする。

「やはりこうなったか。俺はさ、好きでソロをやってるわけじゃないんだ。全ては成人した時に預かった恩恵『貧乏神からの寵愛』によるものだ。強さを得る代わりに周囲に不幸が訪れる。これ以上は良くしてくれたみんなに悪いから、俺、このパーティー抜けるよ」
「カイル……ごめん、お前が悪いわけじゃないのに」
「その恩恵って、パーティーを組まなきゃ全部自分で背負うのか?」
「ああ。だがその分強さが俺を守ってくれる。本当はもっとこのパーティーに居たかったんだが、嫌われてまで居座る勇気はないよ。だから、俺は抜ける。今まで迷惑かけた。失ったお金の足しになるかわからないけど、買い足した装備品やアイテムは置いてくよ。旅の無事を祈るぜ」
「待てよ! 俺たちはお前を追放しねぇ! だから戻ってきてくれ!」
「自分でも分かってるだろう? それは理想論だ。ゼノはそう思ってくれててもミーシャやクランツはそうじゃない」

「……ぐっ、そんなことはない。なぁ、そうだよな?」

 ゼノの言葉に沈黙で返す幼馴染たち。
 ランクが上がったことで貧乏時代の暮らしから一転した今の生活を捨てきれない二人は正直者だった。
 縋り付くゼノに、カイルはその腕を払った。

「生きてたらまた会おう」
「カイル、待ってくれ!」

 ゼノはその場にうずくまり、仲間に引き止められて泣き出してしまった。カイルはそれを背中で受け止めながら、どこともしれず歩みを早めた。
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