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第三章 魔獣狩り、のちダンジョン、ときどきドキドキ!?
第5話 ワイズ・ラビット
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「そうそう、下腹部からナイフを入れて…… そのまま喉元まで切り上げて。内臓を傷つけちゃダメだよ。肉が汚れて味が落ちてしまう…… 内臓はいったん全部取り出して、食べられる腎臓と肝臓は肉と分けて冷蔵しておこう」
ボクたちは午前中の一角兎狩りを終え、今は昼休みを取っている。
ただ死んでしまったウサギの肉は早く処理をしないと味が落ちてしまうということで、まず先に内臓の処理と血抜きだけは行うことになった。
今、サルフェがテミス君の指導のもと、ウサギの処理を行っている。
ボクはというと、やっぱりちょっと生々しいのはまだ無理ということで後ろで見学している。
あっ! 今、サルフェが内臓の奥にある動脈を切って血がぴゅーっと飛び出した……!
やっぱりボクには無理だよ。
ちょっと難易度が高すぎる……
ウサギは逆さ吊りにして首の頸動脈を切って血抜きをするのかと思ったけど、お尻の方にも動脈が通っていてそっちを切って血抜きもできるみたい。
テミス君がウサギの耳を掴んで持ち上げてそのまま血抜きをしている。
内臓を取り出して血抜きをし、お腹の内部の汚れを拭ったウサギは狩人ギルドから狩りてきた保存用の袋に入れる。
この袋は保冷機能が付いた魔道具でもあって、肉と一緒に水の魔晶石と土の魔晶石を入れておくと冷蔵してくれる。
水属性と土属性は合成することで氷属性になる。
水属性の性質は「冷・湿」、土属性の性質は「冷・乾」、二つを合成すると湿と乾が打ち消しあって「冷」の性質だけになるので氷属性になる。
この保存用の袋は出力が調整されているので、肉が凍るまでは至らないようだ。
午前中に狩ったウサギが10匹なので、処理にはそれになりに時間がかかる。
テミス君がウサギの処理をしながら心臓の近くにあった緑色の魔晶石を取り出し、「ウサギでもここだけは食べられないからな?」と言って魔晶石をかじる仕草をする。
その仕草がちょっとワイルドで胸がキュンとしたが、隣のサルフェのメロメロっぷりに若干引いて冷静さを取り戻した。
一通り作業を終えた後、テミス君が「狩りを手伝ってくれたお礼だ」と言って、アウトドア料理を作ってくれる。
先ほど取り出した内臓をナイフで刻み、持ってきたドライトマトとニンニク、森にローズマリーが自生していたのでそれも取ってきて加え、オリーブオイルで炒める。
内臓にしっかり火が通り、ドライトマトのうまみとニンニクとローズマリーの香りがオリーブオイルに移ったらそこに赤ワインを加え、同じく森に自生していた月桂樹の葉を一枚加えてぐつぐつ煮込む。
赤ワインを煮詰め、量が半分くらいまで減ったら「一角兎の内臓赤ワイン煮込み」の完成だ!
パンはクルミ入りのものをスキレットで焼いて赤ワイン煮込みといっしょに出してくれた。
最初、内臓料理と聞いて少し癖が強い感じなのかなって思ったけど、ローズマリーやニンニク、月桂樹の葉が臭みを抑えてくれているのか、それほど抵抗がなかった。
あるいは元来、ウサギ肉は内臓でもそれほど癖が強くないのかもしれない。
赤ワインの深いコク、ドライトマトから引き出されたうまみや酸味、ウサギの内臓の滋味溢れるうまさが混然一体となったお料理でした!
クルミ入りのパンとの相性も良くてついつい食べ過ぎてしまった。
イケメンケモミミでお料理も上手とか、テミス君、控え目に言ってサイコーかよ!って思ったけど、隣のサルフェが「テミス様、サイコーです! 私はいつでもお嫁にいく準備は出来ています!」とか言い出すので一気に醒めた。
テミス君は照れ笑いを浮かべながら「サルフェは大げさだな~」と言って、今回もサラリと流した。
午前中でけっこうウサギが獲れたので、午後からは森を散策しながら様子を見ることになった。
しばらく散策しているとテミス君がまだ出来たばかりのアルカナ級のダンジョンを一つ発見した。
「この穴はアルカナ級ダンジョンの入り口だ。後ろに大きなブナの樹があるだろ? 『鑑定』してごらん」
テミス君が言うようにその穴の背後には直径3m強、高さ50mくらいのブナの樹が聳えており、『鑑定』すると「世界樹の枝」と出てきた。
「テミス君、できたばかりのアルカナ級のダンジョンでもけっこうお宝とかって眠ってるものですか?」
「そうだな、一般に迷宮遺物と呼ばれるものは、ダンジョン内に長年放置されたアイテムにダンジョンの魔素が宿ることで特別な効果が付与されたもののことを言う…… だから普通、出来たばかりのダンジョンの場合、まだ誰も足を踏み入れたことが無いからそういう物は無さそうに思うんだけど、けっこう良いアイテムがみつかることがあるようだよ」
どうやら話を聞いていると、ダンジョンが魔物だけではなく迷宮遺物をも産み出しているんじゃないか?という話もあるらしい。
またダンジョンは実は世界樹の根を通してつながっているという話もあるらしく、現にしばらく入らないと以前探索した場所にそれまでには無かった新しい迷宮遺物がみつかることもあるようだ。
「もしかしたらよそのダンジョンにあった迷宮遺物が、巡り巡って別のダンジョンに配置されることもあるのかもしれない。そう考えると手つかずの真新しいダンジョンというのは逆に言えばけっこう狙い目かもしれないな」
「じゃあ、私たちが銅等級まで上がったらいっしょにこのダンジョンに潜って見ませんか?」
「ああ、それも良いかもな。じゃあみんなが銅等級に上がったらまた三人でこのダンジョンに潜って見るか?」
テミス君の発言にサルフェが少し不満げな顔をする。
まあそうだよね、サルフェが言った「私たち」にボクは含まれていないのだ。
サルフェはきっとテミス君と二人でダンジョンに潜りたかったんだろう。
吊り橋効果とかって言うもんね?
危険なダンジョンに男女二人で潜って二人で協力してピンチを乗り切ったりしたら、恋の一つや二つも成就しそうなもんだよね……
――って、ダンジョンはお化け屋敷扱いなんかーいっ!?
またしばらく歩いていると、今度はダンジョンにほど近い場所にウサギの巣穴を発見した。
「今日はこの穴で最後にしておこう。狩人ギルドから狩りてきた保冷用の袋も後1つだし、入れられても5匹くらいが限界だろう」
ということで、ボクたちはこの穴を最後の狩場として選び、中のウサギを煙で燻りだすことにした。
今回もテミス君が木の枝を穴に詰める。
そこにサルフェが『火炎弾』を放つ。
しばらくすると煙がモクモクしてくるので、ボクは戦闘に備えて『剛力の盾』を自分用に展開する。
サルフェは自分で土属性初級防御魔術の『土精防護』を張るようなので、今回は自分用に二つ『剛力の盾』を張ることにした。
「混沌よ、力の根源よ、我が盾となりて、敵を退けよ! 剛力の盾!」
目の前に闇色をした力の塊が直径50㎝くらいの円形の盾となって二枚現れる。
そうこうしている内にウサギの巣穴から一匹、一角兎が飛び出してきた。
「我が盾よ! 弾となりて、敵を穿て! 混沌魔弾!」
目の前に展開していた『剛力の盾』の一枚が弾丸のような形に変形し、飛び出してきた一角兎目掛けて射出される。
飛んで行った魔弾は見事、一角兎の頭を撃ちぬいた。
ちなみに『剛力の盾』は展開後、術式を組み直すことで『混沌魔弾』に変更できることを最近発見した。
おそらく『剛力の盾』も『混沌魔弾』も、そこに宿る力自体は同質のものなんだと思う。
だから詠唱をちょっと工夫することで切り替えられるようだ。
『剛力の盾』は展開後の時間経過や受けたダメージ量によってその力を減衰していくので、『剛力の盾』から『混沌魔弾』に切り替える場合、純粋な『混沌魔弾』よりは威力が落ちる。
けれど先に展開してある分、早く発動させることができるのがメリットだ。
威力も一角兎くらいだったら問題無さそうだ。
ボクが手早く一角兎を一匹仕留めると、他の二人もそれぞれ一匹ずつ一角兎を仕留めた。
そろそろ打ち止めかな?
もう十分獲ったしね?
そう思ってボクが自分の仕留めた一角兎を拾おうとしたその時、巣穴から黄色い塊が急に飛び出してきた!
――ガーンっ!!!
とっさに『剛力の盾』が自動防御をしてくれたから良かったけど、直撃してたらけっこうダメージをもらっていたかもしれない。
『剛力の盾』から伝わる衝撃が、その攻撃の威力を物語っていた。
黄色い一角兎??
いや、あのウサギには角が生えていない……
「テミス君、あれってもしかして……」
「ああ、やばいな…… あいつは上位種の賢魔兎だ。普通、こんな街の近くで上位種まで進化する魔獣はいないはずなんだが……」
テミス君の表情に焦りが見える。
一角兎の脅威度が木等級相当のF rankだから、一角兎の上位種も魔野菜の邪悪種と同じE rank程度のものなんじゃないの?
ボクは念のため、黄色い賢魔兎を『鑑定』してみた。
――――――――――――――――――――――――――
名前:賢魔兎
種族:ウサギ科・アナウサギ族・ワイズ種
Lv16
◆HP:240/245
◆MP:150/150
◆STR:閲覧不可
◆DEX:閲覧不可
◆VIT:閲覧不可
◆AGI:閲覧不可
◆INT:閲覧不可
◆MND:閲覧不可
◆LUK:閲覧不可
◆CHA:閲覧不可
<スキル>
閲覧不可
<魔法適性>
閲覧不可
<称号>
閲覧不可
――――――――――――――――――――――――――
あれ?
『鑑定』でステータスが全然見れない?
それにレベルだけで判断する限りでもD rankくらい無いか……?
ボクたちは午前中の一角兎狩りを終え、今は昼休みを取っている。
ただ死んでしまったウサギの肉は早く処理をしないと味が落ちてしまうということで、まず先に内臓の処理と血抜きだけは行うことになった。
今、サルフェがテミス君の指導のもと、ウサギの処理を行っている。
ボクはというと、やっぱりちょっと生々しいのはまだ無理ということで後ろで見学している。
あっ! 今、サルフェが内臓の奥にある動脈を切って血がぴゅーっと飛び出した……!
やっぱりボクには無理だよ。
ちょっと難易度が高すぎる……
ウサギは逆さ吊りにして首の頸動脈を切って血抜きをするのかと思ったけど、お尻の方にも動脈が通っていてそっちを切って血抜きもできるみたい。
テミス君がウサギの耳を掴んで持ち上げてそのまま血抜きをしている。
内臓を取り出して血抜きをし、お腹の内部の汚れを拭ったウサギは狩人ギルドから狩りてきた保存用の袋に入れる。
この袋は保冷機能が付いた魔道具でもあって、肉と一緒に水の魔晶石と土の魔晶石を入れておくと冷蔵してくれる。
水属性と土属性は合成することで氷属性になる。
水属性の性質は「冷・湿」、土属性の性質は「冷・乾」、二つを合成すると湿と乾が打ち消しあって「冷」の性質だけになるので氷属性になる。
この保存用の袋は出力が調整されているので、肉が凍るまでは至らないようだ。
午前中に狩ったウサギが10匹なので、処理にはそれになりに時間がかかる。
テミス君がウサギの処理をしながら心臓の近くにあった緑色の魔晶石を取り出し、「ウサギでもここだけは食べられないからな?」と言って魔晶石をかじる仕草をする。
その仕草がちょっとワイルドで胸がキュンとしたが、隣のサルフェのメロメロっぷりに若干引いて冷静さを取り戻した。
一通り作業を終えた後、テミス君が「狩りを手伝ってくれたお礼だ」と言って、アウトドア料理を作ってくれる。
先ほど取り出した内臓をナイフで刻み、持ってきたドライトマトとニンニク、森にローズマリーが自生していたのでそれも取ってきて加え、オリーブオイルで炒める。
内臓にしっかり火が通り、ドライトマトのうまみとニンニクとローズマリーの香りがオリーブオイルに移ったらそこに赤ワインを加え、同じく森に自生していた月桂樹の葉を一枚加えてぐつぐつ煮込む。
赤ワインを煮詰め、量が半分くらいまで減ったら「一角兎の内臓赤ワイン煮込み」の完成だ!
パンはクルミ入りのものをスキレットで焼いて赤ワイン煮込みといっしょに出してくれた。
最初、内臓料理と聞いて少し癖が強い感じなのかなって思ったけど、ローズマリーやニンニク、月桂樹の葉が臭みを抑えてくれているのか、それほど抵抗がなかった。
あるいは元来、ウサギ肉は内臓でもそれほど癖が強くないのかもしれない。
赤ワインの深いコク、ドライトマトから引き出されたうまみや酸味、ウサギの内臓の滋味溢れるうまさが混然一体となったお料理でした!
クルミ入りのパンとの相性も良くてついつい食べ過ぎてしまった。
イケメンケモミミでお料理も上手とか、テミス君、控え目に言ってサイコーかよ!って思ったけど、隣のサルフェが「テミス様、サイコーです! 私はいつでもお嫁にいく準備は出来ています!」とか言い出すので一気に醒めた。
テミス君は照れ笑いを浮かべながら「サルフェは大げさだな~」と言って、今回もサラリと流した。
午前中でけっこうウサギが獲れたので、午後からは森を散策しながら様子を見ることになった。
しばらく散策しているとテミス君がまだ出来たばかりのアルカナ級のダンジョンを一つ発見した。
「この穴はアルカナ級ダンジョンの入り口だ。後ろに大きなブナの樹があるだろ? 『鑑定』してごらん」
テミス君が言うようにその穴の背後には直径3m強、高さ50mくらいのブナの樹が聳えており、『鑑定』すると「世界樹の枝」と出てきた。
「テミス君、できたばかりのアルカナ級のダンジョンでもけっこうお宝とかって眠ってるものですか?」
「そうだな、一般に迷宮遺物と呼ばれるものは、ダンジョン内に長年放置されたアイテムにダンジョンの魔素が宿ることで特別な効果が付与されたもののことを言う…… だから普通、出来たばかりのダンジョンの場合、まだ誰も足を踏み入れたことが無いからそういう物は無さそうに思うんだけど、けっこう良いアイテムがみつかることがあるようだよ」
どうやら話を聞いていると、ダンジョンが魔物だけではなく迷宮遺物をも産み出しているんじゃないか?という話もあるらしい。
またダンジョンは実は世界樹の根を通してつながっているという話もあるらしく、現にしばらく入らないと以前探索した場所にそれまでには無かった新しい迷宮遺物がみつかることもあるようだ。
「もしかしたらよそのダンジョンにあった迷宮遺物が、巡り巡って別のダンジョンに配置されることもあるのかもしれない。そう考えると手つかずの真新しいダンジョンというのは逆に言えばけっこう狙い目かもしれないな」
「じゃあ、私たちが銅等級まで上がったらいっしょにこのダンジョンに潜って見ませんか?」
「ああ、それも良いかもな。じゃあみんなが銅等級に上がったらまた三人でこのダンジョンに潜って見るか?」
テミス君の発言にサルフェが少し不満げな顔をする。
まあそうだよね、サルフェが言った「私たち」にボクは含まれていないのだ。
サルフェはきっとテミス君と二人でダンジョンに潜りたかったんだろう。
吊り橋効果とかって言うもんね?
危険なダンジョンに男女二人で潜って二人で協力してピンチを乗り切ったりしたら、恋の一つや二つも成就しそうなもんだよね……
――って、ダンジョンはお化け屋敷扱いなんかーいっ!?
またしばらく歩いていると、今度はダンジョンにほど近い場所にウサギの巣穴を発見した。
「今日はこの穴で最後にしておこう。狩人ギルドから狩りてきた保冷用の袋も後1つだし、入れられても5匹くらいが限界だろう」
ということで、ボクたちはこの穴を最後の狩場として選び、中のウサギを煙で燻りだすことにした。
今回もテミス君が木の枝を穴に詰める。
そこにサルフェが『火炎弾』を放つ。
しばらくすると煙がモクモクしてくるので、ボクは戦闘に備えて『剛力の盾』を自分用に展開する。
サルフェは自分で土属性初級防御魔術の『土精防護』を張るようなので、今回は自分用に二つ『剛力の盾』を張ることにした。
「混沌よ、力の根源よ、我が盾となりて、敵を退けよ! 剛力の盾!」
目の前に闇色をした力の塊が直径50㎝くらいの円形の盾となって二枚現れる。
そうこうしている内にウサギの巣穴から一匹、一角兎が飛び出してきた。
「我が盾よ! 弾となりて、敵を穿て! 混沌魔弾!」
目の前に展開していた『剛力の盾』の一枚が弾丸のような形に変形し、飛び出してきた一角兎目掛けて射出される。
飛んで行った魔弾は見事、一角兎の頭を撃ちぬいた。
ちなみに『剛力の盾』は展開後、術式を組み直すことで『混沌魔弾』に変更できることを最近発見した。
おそらく『剛力の盾』も『混沌魔弾』も、そこに宿る力自体は同質のものなんだと思う。
だから詠唱をちょっと工夫することで切り替えられるようだ。
『剛力の盾』は展開後の時間経過や受けたダメージ量によってその力を減衰していくので、『剛力の盾』から『混沌魔弾』に切り替える場合、純粋な『混沌魔弾』よりは威力が落ちる。
けれど先に展開してある分、早く発動させることができるのがメリットだ。
威力も一角兎くらいだったら問題無さそうだ。
ボクが手早く一角兎を一匹仕留めると、他の二人もそれぞれ一匹ずつ一角兎を仕留めた。
そろそろ打ち止めかな?
もう十分獲ったしね?
そう思ってボクが自分の仕留めた一角兎を拾おうとしたその時、巣穴から黄色い塊が急に飛び出してきた!
――ガーンっ!!!
とっさに『剛力の盾』が自動防御をしてくれたから良かったけど、直撃してたらけっこうダメージをもらっていたかもしれない。
『剛力の盾』から伝わる衝撃が、その攻撃の威力を物語っていた。
黄色い一角兎??
いや、あのウサギには角が生えていない……
「テミス君、あれってもしかして……」
「ああ、やばいな…… あいつは上位種の賢魔兎だ。普通、こんな街の近くで上位種まで進化する魔獣はいないはずなんだが……」
テミス君の表情に焦りが見える。
一角兎の脅威度が木等級相当のF rankだから、一角兎の上位種も魔野菜の邪悪種と同じE rank程度のものなんじゃないの?
ボクは念のため、黄色い賢魔兎を『鑑定』してみた。
――――――――――――――――――――――――――
名前:賢魔兎
種族:ウサギ科・アナウサギ族・ワイズ種
Lv16
◆HP:240/245
◆MP:150/150
◆STR:閲覧不可
◆DEX:閲覧不可
◆VIT:閲覧不可
◆AGI:閲覧不可
◆INT:閲覧不可
◆MND:閲覧不可
◆LUK:閲覧不可
◆CHA:閲覧不可
<スキル>
閲覧不可
<魔法適性>
閲覧不可
<称号>
閲覧不可
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あれ?
『鑑定』でステータスが全然見れない?
それにレベルだけで判断する限りでもD rankくらい無いか……?
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