千年後の未来に転生したら、記憶のない前世の宿敵に拾われました

 かつて【創国の英雄】と呼ばれた12人の男女がいた。古代の宝石の名を冠する彼らは、まだ国というものがなかった時代に、混沌を彷徨う人々を纏め、時には血を流して戦い、時には涙を流して語らい、【グランディナ王国】を創り上げた。
 彼らは自分たちにずっとついてきてくれた一人の男を王として、その家族を王族として奉り、自分たちを彼らを導く【司祭】と名乗った。彼らはみな司祭の名に相応しい魔力と知識、強さを持っていたので民衆も彼らを当然のように受け入れ、崇めた。

 しかし、人間というものは欲深い生き物である。

 王となった男は、自らではなく12人の【司祭】ばかりが民衆の支持を得ることを不満に思うようになったのだ。しかし民衆の心までは王にだってどうしようもない。お飾りの王よりも【創国の英雄】である【司祭】に支持が集まるのは至極当然のことだった。
 問題だったのは、司祭たちも王の心の変化を敏感に感じ取っていたおり、彼らの間で意見が二手に分かれてしまったことだった。

「王に忠誠が集まるよう、我々は王に助言をするだけにしよう」
「お飾りの王の癖に生意気な。誰のおかげで王になれたのか」

 意見が対立した【司祭】たちの間に亀裂が走るのにそう時間はかからなかった。民衆をはるかに超えた魔力や知識、強さを持つ彼らの間で始まった争いは、次第に王侯貴族の中にも派閥を作り、民衆にさえ広がっていった。


 俺は、後者の意見だった。王の男は自分に与えられた身分で満足しておくべきだったのだ。しかし欲をかいた王は前者の派閥に味方し、俺たちを虐げた。俺たちを追い回し、追い詰め、捕らえ、拷問にかけ、一人ずつ殺された――――――――はずだった。




 しかし、目が覚めた俺が見たのは、見るからにぼろい藁葺きの天井と、世にも憎い女の顔だった。


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