【完結】昔セフレ扱いして捨てた元恋人がドン底だったから拾ってやりました、けど……??

バナナ男さん

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33 なんだろうね?これ

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( 冬司 )

◇◇◇◇

「 ご……ごめんなさい……。 」

「 ハハッ、別に謝んなくていいよぉ~。

だって晴矢は頭悪い子だもんね~。

よくこんなバカでグズで何にもできないのに、生き延びてこれたよねぇ? 」


冷たい床で好き放題突っ込んで楽しみながらそう言ってやれば、晴矢は一瞬辛そうに眉を下げる。

それを見ると、少しだけ胸の中のイライラがス~……と晴れていく様な気がした。


仕事から帰った後。

俺は、小さめのバッグに荷物をまとめていた晴矢にブチ切れて、直ぐに裸になって土下座をしろと命令した。


「 ……え?……は、はい……。 」


すると晴矢は戸惑いながらも、たどたどしく服を脱いで土下座をする。

その姿はクルものがあったが、とにかくここをアッサリ出ていこうとした事が許せなくて許せなくて、わざと嫌がる触り方や言葉を選んでぶつけてやった。

だって、こんなにもこの俺が気にかけてやっているというのに、なんでこんなにアッサリ出ていこうとするの??

何でも買ってあげてるし、子ども共々最高の環境を整えてやってる。

好きな時に寝て、好きな時に出かけられて、ただセックスに付き合うだけで後は自由。

それって、まさに誰もが欲しがる夢の生活ってヤツじゃん?


なのに────晴矢の意識は俺に向かない。



「 …………っ。 」


ズキッ!と心が痛み、眉を一瞬潜めた。

そんな動揺を振り払う様に、晴矢に暴言をぶつけてしまう。


「 本当に良いご身分だよね~。

給料に換算したら、一ヶ月いくらくらい貰ってる換算なんだろう?

高級娼婦もビックリな値段だ、晴矢の体の値段。 」

「 ……っ……ご……ごめんな……さ……。 」


激しい動きに翻弄されて、晴矢の意識はボンヤリとし始めた。

そうやって意識朦朧としている時が、最近の一番のお気に入り。


多分、この瞬間はいっぱいいっぱいで────……あの女の事は頭にないだろうから。


「 …………。 」


晴矢に再会してから、何だか不思議な感覚ばかりに襲われる。

いや、もしかして昔付き合っていた時からだったかもしれない。

ボケッ~としたまま、俺の体に縋り付く晴矢に、その感覚は大きくなって大きくなって────体が感じている快感と交じると、あっという間に限界を迎えてしまう。


「 ………………ハッ…………ハァ……ハァ……。 」

「 ……う……うぅ~……。 」


荒い呼吸を整えながら晴矢の胸に顔をつけると、ドキドキと心臓の音が聞こえて……何だか少しだけ優しい、喜びに似た気持ちが湧き上がる。

   
本当に、なんだろうね?

ねぇ……ねぇ……。


無意識に晴矢に縋り付いて、心の中で尋ねたが……勿論晴矢は答えをくれない。


晴矢の中には、ずっとあの女がいて、俺の事など見てなくて……それにイライラして、怒って当たり散らして────でもなんでそれがムカつくのか分からなかった。

寧ろ、ジロジロ見られて期待される方が面倒なはずなのにね?


「 ……晴矢。晴矢。ねぇ、ねぇ、晴矢……晴矢、晴矢───。 」


何度も名前を呼ぶと、晴矢は不思議そうな顔をしながら俺の頭を優しく撫でる。

そしてボンヤリしながらフニャ……と笑った。


「 嫌な夢でも見たのか?

────大丈夫大丈夫……。

ここにちゃんといるから。 」


それは昔、俺が夢に魘されていた時に、晴矢が俺を子供扱いして言ってきたセリフだ。

多分半分夢の中だからか、あの頃の晴矢に戻ったのかもしれない。

優しく撫でてくる手に、何だか突然鼻の奥がツン……として、本当になんとなく軽く触れるだけのキスをした。

すると、晴矢は穏やかに微笑んだまま、俺の両頬を掴んで、やはり触れるだけのキスをしてくる。

たったそれだけの事なのに……俺の下半身は一気に回復してしまった。


ゾクゾクする体とむず痒い心……。

また不思議な感覚に支配されて、俺はその原因である晴矢の体を、強く抱きしめる。


「 もう一回したいな……。

……だめ? 」


別に晴矢はただのセフレ以下の玩具なんだから好きにすればいい。

そう冷静な自分が指摘してきたが、気がつけばお願いを口にしていた。


すると、晴矢は俺の背中に手を回し「 うん……いいよ。 」と言ってくれたので────……それからはもう、何をしたのか意識がない。


ただ何度も晴矢の名前を呼んでたし、何度も何度もキスしてたと思う。


セックスの中で一番嫌いなはずだったのにね、キス。


ただ、この時はキスをすればするほど興奮して心が震えて……?

それが本当に気持ちよくて、すごく満たされた気がした。


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