【完結】幼馴染みが勇者になり何故か俺は勇者の番になりました

９話：幼馴染みと仲間達

俺が魔王討伐の旅へ参加すると決めてから驚く位スムーズに事は運んだ。

最初から俺が断るなんて考えてもなかったんだろうな…


最小限の荷物を手にし団長達に見送られテオが待機させていた馬車へと乗り込む。

１時間馬車に揺られ北の門へと到着する。

「ここで一緒に旅する仲間と合流する予定だから皆が揃ったら紹介するね。それまで馬車の中で待っていて」

「おう。分かった」


テオはそう言い馬車を出る。
それから30分程経ってからテオに呼ばれ一緒に旅する仲間達と合流した。

「僕の番になったシモンです」

「よろしくお願いします」

テオの紹介に合わせて隣でペコっと頭を下げる。
しかし『番』と紹介されるのはなんとも恥ずかしい…


一緒に旅するメンバーは３人いた。

茶髪の爽やか青年　剣士アレン
小柄な老人　賢者ガルパス
黒髪のツインテール少女　聖女ベヌエット

「シモンよろしくな」
「何か困った事があればジジイでよければ相談にのるからのぉ～」
「ふんっ！足手まといにだけはならないでよね」


どうやら1人を除いて俺の事を受け入れてくれたらしい…


ベヌエット様は俺を見るなりずっと睨みつけてくる。
隣でアレンさんが「お嬢様…睨んだりしたらダメですって」と小声で注意しているのが聞こえる。


ベヌエット様は何故あんなにも俺を睨んでくるのだろうか…
テオの時間が空いた時にでも理由を知っているか聞いてみよう。


乗ってきた馬車から遠征用の装甲の厚い馬車へと乗り換える。
馬車への荷物の乗せ替えが完了し俺達はいよいよ魔王討伐の旅へと向かう。




出発してから１時間…

非常に居心地が悪い！（泣）



俺の横に座りニコニコと目尻を下げ俺ばかりに話しかけてくるテオ。

正面からは俺を睨みつけるベヌエット様。

そのベヌエット様を隣で宥なだめるアレンさん。

そんな俺達の事は眼中になく一人スヤスヤ寝ているガルパス様。


なんだよこの状況…


特に会話らしい会話もなくガタゴトと馬車が揺れる音だけがする。

今向かっているのは北に進み最初にある小さな町だ。その町に辿り着くまで馬車で３日。途中は野宿をする事になっている。


貴族の娘であるベヌエット様が野宿なんて大丈夫なんだろうか…


ふと目線をベヌエットに向けると…やはり睨まれる。

ここまで徹底的に嫌われるには理由があるのだろうと思いテオにコソコソと小声で質問する。


「なぁベヌエット様は何故俺をあんなにも睨みつけてくるんだ？」

「んーなんでって…そういえば勇者の番は自分だとか言ってたからかなぁ？」

「えぇ！？なんだよそれ…」

「安心して！僕の番はシモンって最初から決めてたから！」

「そーゆうんじゃないよ。あんな可愛い子が番を望んでたなら俺じゃなくても…」

ベヌエット様はとても可愛らしくお姫様のような見た目だ。俺が関わると口と目つきが悪くなるが…


「シモン何言ってるの…一番可愛いのはシモンだよ…」

テオは俺の髪の毛にそっと触れ嬉しくもない言葉を囁いてくる。

昨日の夜の過ち触り合い以降テオのスキンシップと甘ったるい言葉がいつも以上に増えたのは言うまでもない。


睨まれる理由が少し分かったが、これから皆で旅を続けていく以上ベヌエット様との関係も改善していきたいが…どうしたものか…

俺はテオを適当にあしらいながらベヌエット様との関係の修復方法を一人考えていた。