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番外編:片想い勇者の恋の行方
勇者と魔王のお留守番 ⑨
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魔王の怪しく光る瞳を見つめ僕は何をされるのかと今まで感じた事のない恐怖に襲われる。
今までヘタレ魔王に恐怖など感じた事などなかったのに……。
そんな僕とは対照的に魔王は嬉々とした表情を見せながら僕のシャツのボタンを外していく。胸が魔王の前に曝け出されると……僕は思わず目をギュッと瞑ってしまう……。
……しかし、次に触れられたのは開かれた胸ではなく頬を撫でられる。その指先はさっきまでの乱暴なものとは違い……やけに優しい。
そっと目を開け魔王の方を見れば……なんだか反省した顔の魔王が見える。
目が合えばさらに申し訳なさそうに眉を下げる。
「………どうしたんだよ」
ただ僕の頬を撫でるだけで黙ったままの魔王の代わりに、何故か襲われている側の僕が気を利かせ声をかけると魔王はモジモジしながら答える。
「勢いでやったものの……ヨルダが私の事を本当に恐れていたようだから……」
「……僕はお前の事なんて怖がってない」
「だってさっき目をギュッと閉じてたじゃないか……」
「ち、違う! あれは……その……反射的に目を瞑っただけで……」
「私が触れても怖くてないのか?」
「怖くないと言ってるだろ!」
「じゃあ……私が触れてもいいのだな?」
「あぁ……好きにしろ」
投げやりにそんな事を言ってしまうと魔王はパァァッと顔を明るくして僕の首筋にチュッチュッとキスをしてくる。こそばゆい行為に動かない体を必死に動かそうとしてみるが……やはり体は動かずなんだかムズムズしてくる。
「おい……。体を拘束してる魔法を解けよ……」
「……解いても逃げないか?」
「……逃げないよ」
僕の返事に「約束だからな!」と、魔王は念押ししてからかけられていた拘束の魔法が解かれる。やっと自由になったとホッと一息ついたのも束の間……魔王は引き続き僕の体に唇や舌を這わせてくる……。
その感覚がなんとも言えず……舐められる度に体がピクピクと反応してしまう……。
「んっ……なぁ、やっぱり全身舐めるのか?」
「そうだな。予定では足先まで舐めるつもりだが」
足まで……。
その言葉に引いていると、魔王が僕に提案してくる。
「体中舐められるのが嫌ならば……精液をくれるだけでもいいぞ?」
「せ、精液……」
魔王の言葉にミシェルさんが以前、教えてくれた魔王の食事について思い出す。魔王は勇者の魔力を蓄えた勇者の番の体液を主な食糧にしている。血液が一番魔力が濃いらしいが、血液ばかりを摂取すれば番がすぐに死んでしまうから体液を摂取していたと聞く……。
だからミシェルさんは魔王に夜な夜な体を差し出して……。
もしここで勇者である僕が魔王に精液を与えれば魔王の腹を満たす事ができ、ミシェルさんの負担を減らすことができるかもしれない……。
というかコイツはミシェルさんに容易に触りすぎなんだ。僕だって……もっとミシェルさんに触れたいのに……。
色々と考えた結果……僕は魔王に精液を与える事を決意し小さく立てに頷く。
「ん? ヨルダ……精液をくれるのか?」
「あぁ……その方がお前の腹も満たされるんだろ」
「ふふ。そうかそうか。勇者様から直接精液をいただけるなんて光栄な事だなぁ~」
魔王はそう言うと満面の笑顔で僕の下半身を脱がし始め……僕は慌てて魔王を止める。
「なっ!? なんで今脱がせてるんだよ!」
「なんでって……精液くれるって言ったじゃないか!」
「……別の部屋で出してくるから少し待っていろ」
「えぇーー! ………そうだ!」
僕の言葉に不服そうに頬を膨らませた魔王は少し考え……何か思いついたのかニタっとした表情を浮かべる。
「精液や体液はな、直接飲まないと魔力量が落ちるんだ。時間が経つと酸化して魔力が空気中に飛んでいってしまってな! だから別室で抜いて持ってくるなんて事をしたら10回分くらいの精液が必要だぞ? ヨルダはそんなに出せるのか? 直接ならば一回で済むぞ」
「はぁぁぁ!?」
魔王の訳の分からない説明に納得いかずに今度は僕が不服な表情を見せるが、魔王の言っている事を嘘だと決めつけるにも証拠もなく……ジトっと睨みつけながらブツブツと文句を言う僕を見て魔王はえらくご機嫌な表情を見せる。
「ヨルダどうする? 今から10回出すか騙されたと諦めて直接精液を与えてくれるのか……。ヨルダが決めていいぞ?」
鋭い八重歯を見せるようにニヤリと意地悪そうな笑顔を浮かべながら下半身を撫でられ……僕はミシェルさんがいつもしてくれる行為を魔王に置き換え想像してしまい顔がカッと熱くなる。
10回分出すなんて無理だし……
でも魔王に直接なんて……
「ヨルダ~~。早く決めてくれないともう食べてしまうぞ~」
「あっ! ちょ、ちょっと待てって!」
僕に決めさせてやるなんて言いながら魔王は急かすように僕のズボンへと手をかけ下へずらしはじめる。
「分かった! 分かったから! ちょ……直接でいいから……少し待て……」
「そうかそうか! じゃあどうする? 自分で出すか……私が出してやってもいいぞ?」
魔王の言葉にフルフルと顔を横に振り「……自分でやる」と、小さく答えれば魔王は僕の体の上から退き『さぁどうぞ』と笑顔を向ける。
まさかこんな展開になるなんて思ってもみなかった僕は重々しく体を起こし……魔王の目の前で自慰をする羽目になった。
今までヘタレ魔王に恐怖など感じた事などなかったのに……。
そんな僕とは対照的に魔王は嬉々とした表情を見せながら僕のシャツのボタンを外していく。胸が魔王の前に曝け出されると……僕は思わず目をギュッと瞑ってしまう……。
……しかし、次に触れられたのは開かれた胸ではなく頬を撫でられる。その指先はさっきまでの乱暴なものとは違い……やけに優しい。
そっと目を開け魔王の方を見れば……なんだか反省した顔の魔王が見える。
目が合えばさらに申し訳なさそうに眉を下げる。
「………どうしたんだよ」
ただ僕の頬を撫でるだけで黙ったままの魔王の代わりに、何故か襲われている側の僕が気を利かせ声をかけると魔王はモジモジしながら答える。
「勢いでやったものの……ヨルダが私の事を本当に恐れていたようだから……」
「……僕はお前の事なんて怖がってない」
「だってさっき目をギュッと閉じてたじゃないか……」
「ち、違う! あれは……その……反射的に目を瞑っただけで……」
「私が触れても怖くてないのか?」
「怖くないと言ってるだろ!」
「じゃあ……私が触れてもいいのだな?」
「あぁ……好きにしろ」
投げやりにそんな事を言ってしまうと魔王はパァァッと顔を明るくして僕の首筋にチュッチュッとキスをしてくる。こそばゆい行為に動かない体を必死に動かそうとしてみるが……やはり体は動かずなんだかムズムズしてくる。
「おい……。体を拘束してる魔法を解けよ……」
「……解いても逃げないか?」
「……逃げないよ」
僕の返事に「約束だからな!」と、魔王は念押ししてからかけられていた拘束の魔法が解かれる。やっと自由になったとホッと一息ついたのも束の間……魔王は引き続き僕の体に唇や舌を這わせてくる……。
その感覚がなんとも言えず……舐められる度に体がピクピクと反応してしまう……。
「んっ……なぁ、やっぱり全身舐めるのか?」
「そうだな。予定では足先まで舐めるつもりだが」
足まで……。
その言葉に引いていると、魔王が僕に提案してくる。
「体中舐められるのが嫌ならば……精液をくれるだけでもいいぞ?」
「せ、精液……」
魔王の言葉にミシェルさんが以前、教えてくれた魔王の食事について思い出す。魔王は勇者の魔力を蓄えた勇者の番の体液を主な食糧にしている。血液が一番魔力が濃いらしいが、血液ばかりを摂取すれば番がすぐに死んでしまうから体液を摂取していたと聞く……。
だからミシェルさんは魔王に夜な夜な体を差し出して……。
もしここで勇者である僕が魔王に精液を与えれば魔王の腹を満たす事ができ、ミシェルさんの負担を減らすことができるかもしれない……。
というかコイツはミシェルさんに容易に触りすぎなんだ。僕だって……もっとミシェルさんに触れたいのに……。
色々と考えた結果……僕は魔王に精液を与える事を決意し小さく立てに頷く。
「ん? ヨルダ……精液をくれるのか?」
「あぁ……その方がお前の腹も満たされるんだろ」
「ふふ。そうかそうか。勇者様から直接精液をいただけるなんて光栄な事だなぁ~」
魔王はそう言うと満面の笑顔で僕の下半身を脱がし始め……僕は慌てて魔王を止める。
「なっ!? なんで今脱がせてるんだよ!」
「なんでって……精液くれるって言ったじゃないか!」
「……別の部屋で出してくるから少し待っていろ」
「えぇーー! ………そうだ!」
僕の言葉に不服そうに頬を膨らませた魔王は少し考え……何か思いついたのかニタっとした表情を浮かべる。
「精液や体液はな、直接飲まないと魔力量が落ちるんだ。時間が経つと酸化して魔力が空気中に飛んでいってしまってな! だから別室で抜いて持ってくるなんて事をしたら10回分くらいの精液が必要だぞ? ヨルダはそんなに出せるのか? 直接ならば一回で済むぞ」
「はぁぁぁ!?」
魔王の訳の分からない説明に納得いかずに今度は僕が不服な表情を見せるが、魔王の言っている事を嘘だと決めつけるにも証拠もなく……ジトっと睨みつけながらブツブツと文句を言う僕を見て魔王はえらくご機嫌な表情を見せる。
「ヨルダどうする? 今から10回出すか騙されたと諦めて直接精液を与えてくれるのか……。ヨルダが決めていいぞ?」
鋭い八重歯を見せるようにニヤリと意地悪そうな笑顔を浮かべながら下半身を撫でられ……僕はミシェルさんがいつもしてくれる行為を魔王に置き換え想像してしまい顔がカッと熱くなる。
10回分出すなんて無理だし……
でも魔王に直接なんて……
「ヨルダ~~。早く決めてくれないともう食べてしまうぞ~」
「あっ! ちょ、ちょっと待てって!」
僕に決めさせてやるなんて言いながら魔王は急かすように僕のズボンへと手をかけ下へずらしはじめる。
「分かった! 分かったから! ちょ……直接でいいから……少し待て……」
「そうかそうか! じゃあどうする? 自分で出すか……私が出してやってもいいぞ?」
魔王の言葉にフルフルと顔を横に振り「……自分でやる」と、小さく答えれば魔王は僕の体の上から退き『さぁどうぞ』と笑顔を向ける。
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