彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

諭し説き口説く 7

あっつぃ…自然に動くはずの体に不自由を感じて動きを止め、ああ…ケガしたんだった…ベッド？…誰？

密着はしていないが体が触れる位置から軽く私の腰に腕を回しているのは若さんか。

彼のタンクトップから、そっと自分に視線を下げると昨日借りたワンピースのままだ…そりゃ、暑いよね…って、若さんは私に手を出さずに寝てるの？男の人ってそんなこと出来るの？私があまりにも子どもっぽい？

子どもが趣味の人もいるけれど…それとも、襲われた直後だから許してくれた？このあと…最終的にはただでは終わらないよね…

「…ん…玖未」

手探りで私の腕を撫でた彼は

「今の…思ったこと…ゆっくりでいいから全部言ってみろ」

と目を閉じたまま言う。

「言葉が少ないことは悪いことじゃない。だが、自分の思いを出せないのは問題がある」
「…あつ……い」
「ん」

彼は目を閉じたまま胸の辺りまで布団をずらしてくれた。

「…と？あとは？」
「………」
「玖未、知っているか？言葉には4つの大きな働きがあるって。 伝える機能、自分の行動を調整する機能、人との関係を保つ機能、鑑賞する機能…伝えるだけじゃなく、言葉にすると自分の行動も変わるってことだ。極端な例では…そうだな…引きこもりなんかはそれらがうまく機能していないだろ？玖未はこうして話せる相手がいるんだから、言葉にしてみろ。カッコつけなくてもいい。頭で整理しなくてもいい。話することに慣れたら整理しながら話せるようになる」
「…ちょっとだけ…わかる」
「ん」
「子どものおしゃべり…みたい…」
「それでいい」

私は時折、彼の短い相づちに合うような、合わないようなおかしな間合いになりながらもさっき考えていたことを口にした。