彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

組と会社そして家 6

「クミが姐さんってのは絶対に違うから、姫か…」
「そうだよね。50になっても60になっても姐さんはないかな」

津川さんと右京が言うが…私はチラッとお父さんを見る。

「熱いうちにいただく。玖未、今日のメニューは？」

え…熱いうちにいただく、まではいいよね。そこで‘いただきます’でしょ？メニューなんて見たまんまなんですけど…お父さん。

「…焼き魚定食…もしくは野菜炒め定食、って感じ…」
「ん、うまそうだ。いただきます」
「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」

きれいに8人のいただきますが揃い

「…ん…いただきます…」

私は一拍遅れで手を合わせた。8人掛けのダイニングテーブルに丸椅子を足して皆で座っている。

「ご飯、おかわりある？」

すぐに由佐って人が聞くけど誰かが答えるだろうと野菜炒めを口に入れる。

「うまいな、玖未」
「ん」
「ちょいちょい、そこの夫婦。オレを無視しないで」
「…唾…飛ぶ…」
「由佐、お前だけリビングのテーブル使えよ」
「わ…ますますひどい夫婦」
「…おかわりはある…大きな声はいらない…」
「姫ちゃん…悠仁と似てんのな…このそうめんうまい。これ、おかわりある？」
「ない…デザートはオレンジ」
「オッケー。で、オレの名は？」
「…由佐って人…」
「って人は名前じゃねぇっ」

彼は何を当たり前のことを言いながら大きな口でご飯を頬張っているのだろう。

面倒だなぁと思ったけど、あからさまにこちらをチラチラ見る由佐って人と私を見比べて皆が食事している。

「…天野玖未…です。由佐…なんて言うの？」
「「「「「「「「…」」」」」」」」
「玖未、俺おかわりしてくる」
「やろうか？」
「食っとけ。自分でする」
「ん。ついでに冷蔵庫のオレンジ出して欲しい」
「ん」

悠仁以外が固まったので、私と二人だけが動いている…っと、ガタガタと一人が立ち上がり

「神尾由佐と申します。どうぞよろしくお願いいたします」

彼がガバッと頭を下げた。