彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

まぁ

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荒獅子と黒椿 10

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「ははっ、これだけ組員がいるのに刑事を指名するのか?」
「…出来るなら…守られるだけでなく…私も家族を守りたいと思うか…」
「バッカじゃないのぉ?」

パーン…玖未の言葉尻に声を被せた女の頭を津川が自分のつっかけサンダルで叩いた。

「クミの言葉に被せんじゃねぇよ。クミ、悪いな…手は痛まないようにやったから許せ」
「…ん……ん?そういうことでいいのかな?…まあいいか…」
「玖未には家族なんていないでしょ?ずーっと、ずーっと、一人で、寝るところにも困って…」
「アンタ…死にたいのか?せっかく玖未ちゃんが情けを掛けてくれてるってのに…俺たちは玖未ちゃんの‘家族’だと疑いなく、迷いなく言いきれる」

フラッと右京が女に近づいた…まずいな…

「クミ、俺も飯。もうコイツの取り押さえで腹が鳴って我慢出来ねぇ。言いたいことだけ言って上がるぞ。若、それでいいですね?」
「ここは外気も入って暑いですからね」

津川と大西がさりげなく右京に張り付き間を取る。

「ん、玖未」
「…何もないよ。家族だって私たちが分かっていればいいこと…帰る」
「よーし、私たちは撤収」
「奈保先生もうちに上がってもらっていい?」
「かまわない」

津川のおかげで玖未が部屋に戻る。何も隠すつもりはなかったが…女が玖未に暴言を吐いたことで俺たちもこのままでは引き下がれなくなった。玖未には見せられない。
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