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49 昼食を済ませて

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【修正】41話のグレーハウンドをグレーファングに変更しました。
作品中は〈ファング〉は狼系〈ハウンド〉は犬系という設定でいきます。
グレイハウンドって犬種実在しますし。ここに出てくるのはそれとは関係ありません。Σ(゚д゚lll)
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   昼ご飯の前に、午後から受ける依頼を先に探すことにした。
   昼前というのもあり依頼の数は多くない。残っているのは常時依頼が多い。

   6級に『ロックリザードの皮の納品』というのが残っていた。これ昨日バランさんが言ってた皮の硬いモンスターだよな。
   俺たちが通って来た山岳地帯に生息してたらしい。道中遭遇しなかったな。
   ククリに魔力を通して切れ味をあげる練習にちょうどいいかも。

   あとは…常時依頼の薬草採取に魔石の納品。
『魔石』か。そういえば魔石全然売ってなかったな。これコピーして売れば結構金になるかも。級は関係なしか。魔石の質で金額が変わるからMRが低かろうが高かろうが買い取ってくれるんだ。ん、なになに?ただし達成数としてのカウントはありません、っと。討伐や素材納品の為にモンスター倒したらかならず獲れるもんな。当然だ。

   無理せずこれだけでいいか。俺はロックリザードの依頼の受注手続きを済ませた。

「お待たせ、じゃあギルドの食堂でお昼ご飯にしようか」

   入り口横で待っていたルーナ達に声をかけ、隣接の食堂兼酒場で昼食をとることにする。
   ギルドの建物がムル村のそれよりも規模が大きく、食堂兼酒場も広く席数もある。昼間っから酒飲んでる冒険者もいるが、朝から夕方までの仕事じゃないし、数日かかる事もある仕事だ。依頼が終わった時点が打ち上げ時間なんだろう。

   端の方の4人席に座る。足元にジライヤがいても他の人の邪魔にならない場所だ。対面にルーナとツナデが座る。ツナデにはちょっと椅子が低いな。するとシュルシュルと蔦がツナデの下で蠢き、ツナデを持ち上げる。
   見ればちょうど椅子の上に乗せる子供椅子のような感じで底上げをしていた。ツナデの木魔法ほんと器用だな。
   背負いかごとかも作ったし。

「注文は?」

   恰幅のいいおばさんが注文をとりにきた。

「何かオススメはあるかな」

「そうだね、今日はホーンラビットの白シチューとホーンブルの串焼き。白パンがまだ残ってるよ」

「じゃあそれを2人前づつと白パン4つ、果実水があれば2つ。あと蒸した芋みたいなのあるかな」

「丸芋蒸しがあるよ」

「じゃあそれを一つ、すまないがここで従魔にも食べさせていいかな」

「兄さんブリーダーかい?でっかい狼だこと。そっちのお猿も珍しい毛色だね」

   おばさんがルーナの横に座るツナデに手を伸ばし指で顎の下をくすぐると、ツナデはこそばゆそうに眼を細めたが嫌がりはしなかった。

「よく人馴れした子だ。いいよ、ただしあんまり汚さないどくれ」

   こっちに来て『ブリーダー』と言う言葉を初めて聞いた。そういえばこの街に入ってからちらほら従魔連れを見かけるが、今朝の少年達は『テイマー初めて』とか言ってたな。従魔を連れている冒険者の職業はテイマーとは違うのか?

『イエス、マスター。魔育士ブリーダーはモンスターの繁殖などをして卵、もしくは生まれたばかりの幼体から育てることで従魔とする職業です。テイマーは幼体に限らず、モンスターを力で捻じ伏せ従属契約を交わし従えます』

   目の前のツナデを見て足元のジライヤを見る。力で捻じ伏せた覚えはないんだが。

「どしたの?フブキ」

   頭をひねる俺にルーナが尋ねる。

『イエス、マスター。どちらもすでに瀕死であったこと、マスターにより命を救われたことがその条件を満たしたと想定されます。また、ブリーダーは群れをなすモンスター、犬系や狼系、猿系などや、家族の絆の強い獅子系や熊系など、刷り込みが可能な鳥系、蜥蜴系など、種族条件がありますがテイマーにはありません』

   そんな違いがあるのか。お、ちょうど従魔を連れた冒険者が入って来た。


=種   族・シルバーハウンド
   M   R・E
   固有名・ジルク
   年   齢・3歳
   レベル・13
   状   態・疲労(中)
   犬系モンスター。群れを作り狩を行う習性がある。ブリーダーにより育成された血統で野生種より素早さに特化した個体=

 鑑定レベルが上がったおかげで色々見えた。固有名が付いているところが野生種との違いかな。依頼帰りのせいか疲労(中)が付いている。
 あの冒険者がブリーダーなのかな。

=種   族・人族
   固有名・ーーーーー
   年   齢・ーーー
   レベル・ーー
   状   態・疲労(中)
   人族の男=

 あ、弾かれたかな。何にも見えないわ。まあいいか。


「はい、お待たせ。白シチューとと白パンと果実水。串焼きと丸芋は直ぐ持ってくるよ。
 白シチュー2皿で80、串肉2人前100、白パン4個で20、丸芋一つ10、果実水2杯で10、合計220テナだよ」

 むぅ、しまった。量を確認しなかった俺のミスだ。白パンはロールパンサイズと勝手に思い込んでしまったのだが、一つがコッペパンよりでかい。ハーフバケットサイズというのだろうか。シチューもカレー皿かどんぶりかってくらいあってこれとパン1個で十分だった。後からきた串肉は二人前で1キロくらいありそうだ。
 何気に4人前以上注文してしまった気がする。丸芋はソフトボールほどあり見た目はジャガイモだが中は里芋みたいにねっとりしている。

「ツナデは丸芋たべれそうか?」

 丸芋を《記憶》しつつ手で半分に割ってツナデの前に置く。ツナデは端っこをちょっとつまんで口に運びもぐもぐ。

『うん。うちこれたべれそうや』

 言いながら割った半分をおもむろに掴んでパクついた。結構気に入ったみたいだな。
 ルーナはすでに白パンを片手にシチューを食べている。

「足らなかったら言えよ。ジライヤはビッグベアの肉でいいか?」

 カバンから出すふりをしつつアイテムボックスから皿と1キロほどのビッグベアの肉の塊置いてやる。ついでに串肉も少し分けた。
 果実水は《クーリング》で冷やしツナデのお猪口に分けてやる。さあ俺も食べるか。

「いただきます」

 手を合わせて串肉をパクリ。塩で軽く味をつけただけだが脂の甘みとあってうまい。ホーンブルというからには牛系なんだろう。シチューはクリームシチューな感じだな。ごろっとした肉とこれは丸芋だろうか?他にも何種類かの野菜が入っていて食べ応えがあった。

 結局、白パン2個と串肉半分以上をアイテムボックスにしまうことになった。
 ルーナはパンをちぎってツナデに渡していたしな。ツナデも芋一つじゃ少なかったようでルーナからもらったパンを食べていた。

 パンは思っていたほど柔らかくなく、昔雪音に食べさされた発酵の足らない「手作りパン」を思い出した。

「ふ~、お腹いっぱい」

   果実水を飲みきってルーナがにっこり笑う。ジライヤの皿に入れた水もすっかり無くなったのでツナデはコップを自分のリュックにしまい込む。
   ルーナもツナデもリュックを背負い準備万端、と言いたげに俺を見る。
   もう少しゆっくりしたい気もするが2人は椅子から降りてしまった。ツナデの蔓椅子もいつの間にか枯れて小さくなっている。このままにする訳にもいかないので小袋に詰めて後で捨てよう。
   ジライヤの皿をアイテムボックスに入れて食堂を出る。

「ロックリザード捕まえに行く?」

   俺の横をトコトコ歩きながらルーナが見上げる。

「いや、靴とベストを注文した革職人の店に行って、その後ダヤンさんの店に行くよ。依頼に行くのはその後だな」

「ふ~ん、なぁんだ」

   ちょっと残念そうにするルーナ。やっぱり仕草が子供っぽくて見た目通りの感じだ。
   ルーナとは数日しか一緒にいなかったから、本当は猫かぶってて中身はこんな性格だったとか?ないな、うん、ないだろう。

「今履いてるサンダルじゃあ山岳地帯は歩けないだろ。ちゃんとした靴を履かないと怪我するぞ」

「ん、わかった。早く行こう」

   ルーナが俺の手をグイグイ引っ張っていく。その横をジライヤと背中に乗ったツナデがついてくる。







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ごめんなさい、話の進みが遅いです。
フブキ達はいつになったら依頼に行くんでしょうね。
あと、蜥蜴がインプリンティング可能かどうかわかりませんがこの世界の蜥蜴系はインプリンティング可能という設定です。
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