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54 鎗術は覗き見で

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   昨日のこともあるので今日は採取系の依頼でも受けるか。
   人の少なそうな場所でスキルの練習もしたいしな。

   朝のこの時間は依頼探しで人が多い。

「先に訓練場覗いていいか」

   槍術の講義はキャンセルさせられたけどちょっと見学するくらいならいいだろう。
   俺達は職員に断り中に入る。見学と言わずとも、訓練場を使う冒険者はいるようだ。新調した武器の試しとかパーティーで鍛錬とか。

「今日は《槍術講習》が有るので邪魔にならないようお願いします」

   と言われた。ハイ、邪魔などしません。

   昨日ルーナ達のいた場所で足をとめる。
   奥を見れば講習が今から始るようだ。講師はトールトンではなく別の職員か?

「何言ってるのか聴きとれないな」

『そんなん、風魔法で声運んだらいいやん』

   ツナデさん、ナイス!
   音は空気の振動、その振動をそのままこちらまで伝えればいい。《音伝達・一方方向》って感じで。

「……だ。順にギルドカードを提示してくれ」

   よし、聞こえたぞ。ただこっちが何もしていないのもアレなんで、ちょうどいいのでツナデとルーナに昨日やっていたのと同じ練習をしてもらいそれを見ている風を装った。

   ふむ、槍の構えの基本は半身か。剣のように正面ではなく身体を斜めに。持った槍は上段、中段構えと、ふむふむ。

   今日の講習は15歳くらいの少女と12~3歳の少年2人、最後の1人はさらに小さいがウサ耳少女?少年?こここからじゃ性別はわからないな。


=種   族・半兎獣族
   固有名・ミギナ
   年   齢・10歳
   レベル・9
   状   態・普通
   テルテナ王国、カレル村の狩人の3男。兄が冒険者になったことで冒険者に憧れを持っていた。同郷の娘が冒険者になると聞き一緒に、ここミスルにやって来た=

   あ、男の子だ、しかもハーフ。同郷の少女ってあの娘か。
   いや、そんなこと詮索してる場合じゃない。

   えっと突きは捻りを加えることで威力が上がると、ちょっとやってみるか。
   アイテムボックスから昨日買った槍を取り出し素振りをしてみる。

   シュッ、シュッ、シュッ

   突きの練習に素振りって言い方変か?
  連続 突き、槍を水平に振るって払い、相手の武器に絡めて巻き落とし、ふむふむ、こんな感じかな。

『フブキ、行くでー』

「うおっ」

   カンカンカン

   ツナデが拾った石を投げてきた。しかも3発。右手左手尻尾の3発だ。尻尾で器用に石を投げる、これも《投擲》スキルの効果か。いきなり飛んできた石を槍で払い落とすことができた。

「次私~」

   ルーナの声がしたと思ったらまた飛んできた。

   キンキンキン

   スローイングナイフが3本、さらに3本取り出している。

「待った、ルーナ、それは当たったらヤバイから」

「ん~、フブキちゃんと弾いてるしぃ」

   どうも3本で一旦止まったのは4本目の取り出しにちょっと手間取ったからのようだ。

「私も練習~」

『ウチも~』

   いつの間にかツナデが俺の弾いたスローイングナイフを拾って投げる姿勢だ。

   キキキキキン

   一本弾けず交わすことでしのいだ。

「お~ま~え~ら~」

『これも練習やでフブキ、怒ったらあかん』
「怒ったらあかん」

   ルーナがツナデの真似をする。はあ、2人して笑って楽しそうだな。いつの間にかジライヤがスローイングナイフを拾い集めてくれて、咥えて俺のところに持ってきた。

   まあとりあえずこんなもんか。俺はスローイングナイフをルーナに返し、槍を収納してギルドに戻ることにした。

   ギルドの中は随分人が減っていた。ゆっくり残っている依頼表を見て行く。薬草採取。ホーンラビットなどの肉の納品か。

 いくつかの薬草採取とホーンラビットの依頼表を持っていく、どっちも9級の依頼だが別に構わない。

「ルーナ達は外で待っててくれ、あとは手続きするだけだから」

『『「わかった」』』



 受付の職員に依頼書、ギルドカード、昨日の魔石の預かり証明の木札を渡す。

「こちらは依頼受注ですね」

「ああ、この辺りでジオウ草やヤクシャクの生えてるところってどのあたりかな」

「そうですね、西門を出るとすぐ南側はブルスの街まで続く森です。奥にいくほど魔素が濃くなりますがジオウやヤクシャクは森周囲でもそこそこ生えているようですよ」

 そういえばまだ街の西側に出てないな。ブルスっていう街は古着屋の女将が言ってた街か。

 手続きが終わり依頼書とギルドカードを返してもらう。

「えっと、こちらの魔石の査定は完了してますねちょっとお待ちを」

 職員が何処かへ行くと手に用紙を持って戻ってきた。

「随分とたくさんですね。下から行きますね。
 1個10テナの20級魔石がホーンラビット3個とゴブリンが16個。
 1個30テナの19級魔石がゴブリンが19個、グリーンヴァイパー2個。
 1個50テナの18級魔石がグリーンヴァイパー2個とグレーウルフ4個。
 1個100テナの17級魔石がグレーウルフ1個、キラーアントが4個。
 1個150テナの16級魔石がオーク8個にフォレストスパイダーが1個。
 1個200テナの15級魔石がオーク3個
 1個300テナの14級魔石がホブゴブリン3個
 1個400テナの13級魔石がブレードディア1個にグレーファング1個、ワイルドボア1個。
 1個500テナの12級魔石がワイルドボア2個。
 1個600テナの11級魔石がロックリザード4個。
 1個700テナの10級魔石がロックリザード1個。
 1個1000テナの8級魔石がダークラフレシア1個、ビッグベア1個
 1個2000テナの6級魔石がキラーグリズリー1個となりますね。これでお売りになられますか?」

「えっと、どれがなんの魔石とかわかるんですか?」
 
 級?魔石に級があるのか。えらく細かく分けられた。
 俺もぱっと見じゃあ見分けられないが鑑定して初めて『〇〇の魔石』って判るんだよ。

「ええ、じゃないと正しく査定できませんよ。うちは《鑑定士》が何人かいますから」

 え、《鑑定士》?それってまずいんじゃ。

「へ、へえさすが大きな街のギルドだな。じゃあ冒険者の鑑定なんかもやってるのか」

「何をおっしゃってるんですか。生物の鑑定、まして人の鑑定なんて神の魔道具でもないと見れるわけないですよ。《鑑定士》が鑑定できるのは『物』か『生命活動停』した、いわゆる死体だけですよ」

 は、はは。なんだ見れないのか。よかった。覗かれたら俺のステータス絶対おかしいからな。特にHPとMPが。

『イエス、マスター・《鑑定》スキル自体は珍しくありませんがレベルアップの為には膨大な経験が必要です。職業が《鑑定士》であれば多少の補正はありますがせいぜいレベル3、高位の者でもレベル5止まりでしょう。以前が言っていた《看破》は伝説に近く、《ユニークスキル》として持つ歴史上の人物がいたと話に残るレベルです』

 俺の《鑑定》今レベル8だったな。これも神様チートか。

『イエス、マスター。マスターだからそのレベルに達したのです」

「…さん、フブキさん。どうされます?売られますか」

「ああ。その値段で売ります」

 いかん、職員さんに随分と呼ばれてたみたいだ。

「ではこちらが代金1万3千500テナになります」

 俺は袋を受け取ると中も確認せずさっさとギルドを後にする。
 待ちくたびれたルーナが入り口横でしゃがんでいた。

「おっそ~い」

 立ち上がってポカスカグーぱんがとんできた。グーぱん避けとご機嫌とりに抱き上げてみる。

「むぅ~」

「ごめん、お待たせ。今日は西門から外に行こう」

 ツナデはジライヤに乗っているがルーナは歩くようだ。足をジタバタさせるので下ろしてやると今日もスキップで飛び跳ねている。

 街の西側の様子見がてらゆっくりと依頼をこなすかな。





 

 《鑑定士》と聞いて思わずビビってしまったフブキだが、現在のフブキのMNDとINTを上回る人物は、伝説に語られる『大魔導士』やら『賢者』などと呼ばれた者ぐらいなのだ。
 しかしそんなことは知らないフブキは勘違いからビビってしまった。ナビゲーターはMNDとINTと《鑑定》の関係についてはすでに知らせてあるのでフブキがそのことを失念していることに気づいていないのだった。
 そしてHPとMPはすでに人類最高と言って過言ではない域に達しているが、フブキはやはり他を知らないので多いとは思っているがそこまでとは知らない。ナビゲーターにとっては多ければ多いほど生存率が上がるので気にしていない。よってこの件についてもアドバイスはない。







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魔石の分類は基本20級ですがそれより上が(災害級モンスターとか)出たりすると特級とかになります。
そんなの軍単位出ないと倒せないやつですけどね。



鑑定スキルで見れるのは

LV1:種族名
LV2:種族名、説明(短)
LV3:種族名、説明(中)
LV4:種族名、MR、説明(中)
LV5:種族名、MR、状態、説明
LV6:種族名、MR、状態、説明に種族特性スキル(フブキだけマップ上で鑑定可能)
LV7:種族名、固有名、状態、説明に種族特性スキル
LV8:種族名、固有名、年齢、MR、レベル、状態、説明説明に種族特性スキル
LV9:種族名、固有名、年齢、MR、レベル、状態、スキル、説明
LVMAX:ステータス全て

となっております。ただしMND、INTで弾かれることあり。

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