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59 オロチマル□

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 ツルク村をスルーして先に進む。
 昼御飯くらいはいいかな、とも思ったけどやっぱりやめた。
 ツルク村を少し過ぎたあたりで右手は山になった。まあミスルの東の山脈に比べれば高くない。ベルーガの神の山が標高5000メートルくらいで上3分の1ほどは万年雪だった。ミスルの東はミリスール山脈という名でそこからミスルの名前が取れれたとか。あそこの山脈の高いところで標高3000メートルほど。
 で、目の前の名前があるのか知らないが、標高600メートルで高尾山くらい。越えられない山じゃない。

 そんなことはどうでもいいんだが。
 街道脇で休憩のできそうな、それでいて目立たない場所というのはあまりなく、仕方なしにまた森に踏み入ることになった。

 結界を張って竈と薪を出して昼食準備にかかる。

 昼飯のメニューはロックリザードステーキと白パン、ジライヤはロックリザードの肉、ツナデには丸芋とムークだ。俺とルーナにもデザートにムークを用意した。
 ロックリザードは鶏肉と豚肉の中間のような食感で脂は少ないが旨味が濃い。単純に塩胡椒だけでソースとかなしでうまい。とかげ侮りがたし。

 オロチマルは何を食べるのだろう、鶏なら麦や雑穀か、あれ?尻尾の蛇も食べるんだろうか?

『マスター、コッコトリスは雑食です。なんでも食べますが雛の間は固形物は消化できません』

 ということで懐かしのミンチ肉作成だ。野菜も刻んで入れてやろう、あと丸芋を潰してつなぎにすると、これ団子にして汁物に入れたらうまそうだな。半分取り分けて塩胡椒酒醤油を垂らして練っておく。アイテムボックスにしまって今度スープ作った時に入れよう。

 オロチマルは雛だけあって自分でついばめ無かった。
 コンビニの袋をコピーして味付けしてないつくねを入れ、小さな穴を開けて絞り出す。ああ、注射器みたいなのが欲しいな。

『まま、まま、モット』

 オロチマルの顎(嘴の下部分)を左手で上むきに抑え、右手で口めがけて絞り出す。

『まま、まま、オイシ』

 ミミズ、じゃなかった蛇がゆらゆら揺れて何やら嬉しそうだ。蛇の方にも指先につくねを乗せて差し出してみたがふいっと横を向いた。蛇は食べないようだ。

『まま、まま』

「オロチマル、俺は【まま】じゃなくて【フブキ】だ」

『ふぶき?まま、ふぶき、まま、ふぶきまま!』

 おうふ、フブキママになってしまった。

 満腹になった途端「ぴー、ぴー」と俺の膝で眠りだした。

 食休みにオロチマルのステータス確認するか。
 幼体の間はMRが下がるんだよな。ということはコッコトリスはリトルマンキーとハイブラックウルフと同じMR・Dのモンスターだ。



名前   オロチマル
年齢   0歳
種族   コッコトリス
レベル   1
職業   フブキの従魔

HP:660/660(600+60)
MP:660/660(600+60)

STR(筋力)    550(500+50)
DEF(防御力) 550(500+50)
VIT(生命力)   550(500+50)
DEX(器用さ)   330(300+30)
AGI(敏捷性)   440(400+40)
MND(精神力)   550(500+50)
INT(知力)      330(300+30)
LUK(幸運)      220(200+20)

 こんな小さいなりで基礎ステータスがリトルマンキーより上なのか、ハイブラックウルフよりは下だが。
 MNDが高い割にINTが低いな。


【称号スキル】
《言語理解LV1》《意思疎通LV1》《パラメーター加算LV1》《取得経験値補正LV1》《取得経験値シェアLVMAX》

【補助スキル】
《叫声LV0》《跳躍LV1》《強襲LV0》

【戦闘スキル】
《石化ブレスLV0》《毒ブレスLV0》《睡眠ブレスLV0》《毒の牙LV1》

【魔法スキル】
《風魔法LV1》《火魔法LV1》《治療魔法LV0》

【耐性スキル】
《石化耐性LV3》《毒耐性LV3》《麻痺耐性LV1》《混乱耐性LV1》《病気耐性LV1》

【称号】
異世界より召喚されし者フブキの従魔


 なんだか初お目見えなスキルがある。

『《叫声》は相手を混乱状態にするものです』

 《強襲》は文字どおり突っ込んでいくんだろうな。小学校で飼っていた雄鶏に追いかけられていたクラスメイトのことを思い出した。あれは怖かった。
 《治療魔法》まであるのか、今はレベル0だけど。

『状態異常を相手に与えて、それを治療することもできるようです』

 耐性も持ってて治療もできるのか。俺も《麻痺耐性》は持ってるけど他の耐性も欲しいな。

『《スキル習得難易度低下》の効果により、新たなスキル《石化耐性》《毒耐性》《睡眠耐性》《混乱耐性》《病気耐性》を習得、条件が満たされた事によりスキル《麻痺耐性》《石化耐性》《毒耐性》《睡眠耐性》《混乱耐性》《病気耐性》が統合されスキル《状態異常耐性》になりました』

   ……うん、ありがたいので素直にもらっておく。
   オロチマルには《睡眠ブレス》があるのに《睡眠耐性》が無いぞ、もしかして自分の吐いたブレスで寝てしまうことがあるのか?今もよく寝てるが。

「すぴっ?」

 ん、目が覚めたのか。
 あ、ツナデとルーナがオロチマルを両サイドからツンツンしてた。

「二人ともいじめるなよ」

「いじめてないもん、ふかふかだから触ってみたかったの」

『生まれたてやさかい、フブキから離れへんなあ、オロチマルは』

「レベルが上がれば大きくなるだろうからそうすれば少しは離れる……かな?」

 眠っているオロチマルをジライヤに預けるとジライヤは丸くなってオロチマルを囲い込んだ。
 気持ちいいのかオロチマルはすぴすぴ寝息を立てながらもジライヤの毛並みにスリスリしている。
 ジライヤの毛並み気持ちいいんだよ、俺もスリスリしたい。

 ジライヤを枕に昼寝することを諦めてグレーファングとフォレストアナコンダの解体だ。

 フォレストアナコンダの腹を裂くと丸呑みのグレーファングが2匹出てきた。圧殺されているので骨はボキボキだが皮は損傷がなかったのでこいつらも解体しておくことにする。

 グレーファングの毛皮5枚ゲットだぜ。肉は臭くて食えないので穴に捨てる。牙も素材で売れるのでとっておく。
 フォレストアナコンダは肉は食べれるのだが、こいつ10メートルもあるんだよ。どんだけ肉とれるんだか。
 皮を剥いで肉を骨ごとブロックに分けて麻袋にほりこんでいく。結構な量だよ、これブルスで売るか。

 ルーナとツナデと3人で解体するとなかなか早く終わった。俺達だんだん解体の腕上がってるよな。腕というかスキルか。

『スキル《解体》のレベルが上がりました』

 ほらな。



 解体が終わってもオロチマルはまだ寝たままだがそろそろ出発しよう。
 オロチマルをカバンに入れ顔だけ外に出るようにする。
 ちょっとゆっくりしすぎたので午後はペースを上げて今晩はどこかの宿に泊まろうか。







 日が暮れる前にブルスには届かなかった。途中小さな村があったんだが本当に小さくて家の数も少なかったのでここで泊まるのはやめた。
 オロチマルは目をさますとまた俺の頭に乗ってきた。
 結構なスピードで走っても落ちないんだな、これが。それどころかジライヤが『風を感じて気持ち良さげにしている』と教えてくれた。俺からは見えないが目を細めて本当に気持ちよさそうだと、ルーナもツナデも同意した。
 オロチマル君、君は俺の頭を乗り物扱いかい。

 そしてまたも少し森に入って野営をすることになった。
   テントと結界石を設置して竈もコピーでだしてスープを作る。というか中身はコピーだが。
   ミスルで食べたポトフに似た野菜と何かの肉のスープだ。これに昼に作ったツミレを入れようと思う。

「お手伝い、ルーナがする」

   というからツミレをスプーンですくって鍋に入れるようにいう。俺はそれを見守りつつ、寝そべるジライヤにもたれオロチマルにご飯を与えるのだった。
   ツミレ入りポトフはいい味だった。

   食後、久々に魔法の訓練をすることにした。
   隣でルーナも訓練をする。
   オロチマルの《治療魔法》はレベル0で使用不能な事で思い立った。
   俺の《回復魔法》はLV3、《治療魔法》はLV1《蘇生魔法》は取得したがLV0でつかえない。使う機会がなかったからどれもレベルが上がっていない。
   もう、はしたくない、だから《回復魔法》《治療魔法》をまずあげようと思う。《蘇生魔法》は多分死体が、それも死にたてのものが必要な気がするので今度魚とか何かで試してみようと思う。

   ルーナが木に《サンダーボール》を放つ。木の表面が煙をあげ焼け焦げる。そこに俺が《エクストラヒール》を木にかけてみる。

   ルーナと《サンダーボール》と《エクストラヒール》を交互に使う事しばし、萎れて枯れた葉も青々と元気になった。

   ルーナの《雷魔法》のレベルも上がったようで《サンダーアロー》を放つ。ブリットやアローは一度に数個出せるのでルーナが3本の木にそれぞれ命中させる。
   レベル4になって《エリアヒール》が使えるようになったのでまとめて回復。足元の草もなんだか元気になった。あと《タイアードリカバリー疲労回復》も使えるようになった。
   ブラック企業もどんとこいだ、いや俺高校生だけど。

   俺の方はレベル5で《エリアハイヒール》《#リジェネレーション》が、レベル6で《マキシマムヒール》《エリアエクストラヒール》《#マジックリジェネレーション》が使えるようになった。
  リジェネレーション系は自然回復の速度を上げるものだが、今の俺にはあんまり必要なさそうな気もする。あ、でもちょうどルーナが魔法連発してたので《マジックリジェネレーション》をかけてやろう。

   次は《治療魔法》のレベルを上げる為《キュア》を使ってみたが、さらに草が元気にみえる。
   レベル2で《ハイキュア》《キュアポイズン》
   レベル3で《エクストラキュア》《キュアパラライズ》《エリアキュア》
   レベル4で《キュアペトリファイ》《キュアスリープ》《エリアハイキュア》
   レベル5で《キュアディシーズ》《キュアコンフュージョン》だった。なかなか《マキシマムキュア》にたどり着かないな。


   《治療魔法》がレベル5になったところで今日は終わりにした。

「ルーナは今度他の魔法も使おうな」

   なぜか《雷魔法》一択なのだ。



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