生まれることも飛ぶこともできない殻の中の僕たち

はるかず

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第一章 誕生日おめでとう

第18話 常緑樹の下を歩く

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「ルーヴナン! ピーヨ!」
 レアールが一番後ろの列から、からかうように呼ぶ。
「さっきから、二人とも黙っちゃってさぁ」
 深刻そうに転がって前へ進むピヨとルヴナンに耐えかねたのだ。
 さっきフクロウが白鳥の泉がある場所を教えてから、ルヴナンとピヨは一言も会話をしていない。ピヨは待ち受ける試練を感じていたし、ルヴナンはついに目的地を前にして恐れと昂ぶりを感じているようだった。
 一人だけ、関係ない素振りで一緒にいるレアールだけが、軽口を永遠と叩き続ける。
 そして、次第にレアールは軽口にも飽きてしまった。黙った3個のたまごが、しなびた常緑樹の下を転がる。

「あった! 白鳥の泉だ……!」
 ルヴナンが大きな木が中央から生えている泉を発見した。すぐに転がりだした。
「あれが……!」
 ピヨもコロコロとルヴナンの後ろを転がりだし、レアールを置いて先を急ぐ。
 置いていかれたレアールは、すっかりすねた様子で側にある岩にもたれかかった。
「なんだって言うんだ。美しくなることがそんなに重要なのかな」
 ぷんぷんと怒って唸るレアール。
 しかし、突如に岩だと思っていたものが話しだしたので、仰天する。
 岩だと思っていたのはモグラだと紹介して、こういった。
「止めようと思ったが、あの卵たちは行ってしまった。そこの彼らの友達よ、彼らを呼び戻してくれんか」
「友達だって? まさか? でも、なんで呼び戻す必要性があるのかな?」
 挑戦的にレアールはモグラに聞く。
「あそこは木の中に動けなくなったヘビが住んでいるのだ。泉の近くによってくる生き物は、彼女の食べられる範囲に入ってしまう」
 その言葉に、疑い深いレアールはハッとした。
 あのフクロウは、ルヴナンのような餌を呼び寄せるために、ワザと嘘の情報を与えたのだと。
 レアールは急遽、転がり出した。
「いわんこっちゃない。最初から嘘だったんだーー!」
 2人がいる白鳥の泉……いや、蛇の巣の近くへと、危険を知らせるべく。
 転がるレアールの頭にふとルヴナンの悲しい歌声が蘇る。
「彼がこの嘘を知ったらーーどうなるだろう」
 しかし、選んでる猶予はなかったのである。
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