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願ってもない申し出
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「いや、良くない。王子の婚約者ともあろう者が、その程度の配慮が出来ないなどあってはならない」
ヨルレアンは目の前のエルドールの横に座る、大きな瞳を持ち、幼女のような顔をした女性が、オマリー嬢なのだとようやく理解した。
「あなたがオマリー嬢だったのですね」
ヨルレアンは薄目で、怒鳴った中に確かにこんな顔の人がいたような気がするなと思いながら、オマリー嬢をじっと見据えた。
オマリーは肩をビクッとさせ、怯えた表情をした。
「それすら、分かっていなかったのか?」
「はい、そうですね」
「彼女は大変優秀な令嬢で、生徒会の人間だ!君と同じクラスだろう!」
ようやくトドック男爵家の令嬢かと、ヨルレアンは一致した。確かに成績優秀者だと言われていることは、知っている。
「Sクラスなのですから、優秀でしょう」
何を当然のことを言っているのかと、ヨルレアンは思った。
「そうだ、彼女は成績も優秀で、生徒会の一員としても、とても活躍してくれている。それに引き換え、君は周りが全く見えていない。そのような者が婚約者でいいと思っているのか!」
ヨルレアンはエルドールが生徒会長だとは知っていたが、生徒会の人間まで把握していなかった。
エルドールとヨルレアンは最近、いや、当分前からエルドールが生徒会長となってから忙しいという理由で、婚約者の交流は行っていなかった。
それまでもどこかやる気のないヨルレアンを、エルドールは不満に思っていた。
「婚約を解消するということですか?」
エルドールの言葉に希望を見付けた、ヨルレアンは急速に頭が冴えて来た。
「ああ、そのように考えなくてはならないかもしれない」
「ええ、しましょう。書類を用意してください」
この婚約は王家とオズラール公爵家が決めたもので、二人が望んだものではなかったが、それでもエルドールは王子として、ヨルレアンは公爵令嬢として受け入れた。
「勝手に出来るわけがないだろう!」
「では、私が父に願い出ます。信じて貰えないかもしれませんので、一筆書いてください」
「っな」
「私は婚約者に相応しくないのでしょう?誇り高き王子殿下がおっしゃるのですから、間違いないでしょう?それとも、王子殿下が嘘をおっしゃるのですか?」
「わ、分かった、書いてやろう」
叱って、これからは気を付ける様に、オマリー嬢のことも気に掛ける様に言うつもりだったが、後に引けなくなったエルドールは、婚約の解消を希望すると書き、名前をサインした。
「私もして置きますね、殿下はもう一枚同じ物を書いてください」
ヨルレアンは迷いなく、さらさらとサインをして、エルドールが渋々同じようにもう一枚書くと、ヨルレアンもサインし、一枚はエルドールへ、もう一枚はヨルレアンがギュッと大事そうに抱えた。
「では早急に父に話をしますので、帰ってもよろしいですか?」
「っな!オマリー嬢に謝罪しろ」
「なぜですか?何を話していたかは知りませんが、私は理不尽だったかもしれませんが、うるさいと怒鳴っただけです。それで泣いたのですか?」
たかが、あの程度でとは言わなかったが、ヨルレアンはそう思っていた。
「オマリー嬢は生徒会の人間だ、君が庇うべきだろうと言っているのだ」
「なぜですか?」
「殿下、もういいのです」
オマリーは大きな瞳を潤ませて、殿下の腕を持って、首を振っている。
「だが」
「なぜ、私が彼女を庇わなくてはいけないのか分かりません」
「っな!もういい!帰れ」
「では、御前失礼いたします」
向かう時とは違って、スタスタと歩いて生徒会室を出ると、ヨルレアンは叫んだ。
「よっしゃあ!これで寝れるわ!最高!フッフー!!」
軽やかな足取りで、帰って行ったヨルレアンのことで、国としても大問題になるとはエルドールも、勿論オマリーも思っていなかった。
ヨルレアンは目の前のエルドールの横に座る、大きな瞳を持ち、幼女のような顔をした女性が、オマリー嬢なのだとようやく理解した。
「あなたがオマリー嬢だったのですね」
ヨルレアンは薄目で、怒鳴った中に確かにこんな顔の人がいたような気がするなと思いながら、オマリー嬢をじっと見据えた。
オマリーは肩をビクッとさせ、怯えた表情をした。
「それすら、分かっていなかったのか?」
「はい、そうですね」
「彼女は大変優秀な令嬢で、生徒会の人間だ!君と同じクラスだろう!」
ようやくトドック男爵家の令嬢かと、ヨルレアンは一致した。確かに成績優秀者だと言われていることは、知っている。
「Sクラスなのですから、優秀でしょう」
何を当然のことを言っているのかと、ヨルレアンは思った。
「そうだ、彼女は成績も優秀で、生徒会の一員としても、とても活躍してくれている。それに引き換え、君は周りが全く見えていない。そのような者が婚約者でいいと思っているのか!」
ヨルレアンはエルドールが生徒会長だとは知っていたが、生徒会の人間まで把握していなかった。
エルドールとヨルレアンは最近、いや、当分前からエルドールが生徒会長となってから忙しいという理由で、婚約者の交流は行っていなかった。
それまでもどこかやる気のないヨルレアンを、エルドールは不満に思っていた。
「婚約を解消するということですか?」
エルドールの言葉に希望を見付けた、ヨルレアンは急速に頭が冴えて来た。
「ああ、そのように考えなくてはならないかもしれない」
「ええ、しましょう。書類を用意してください」
この婚約は王家とオズラール公爵家が決めたもので、二人が望んだものではなかったが、それでもエルドールは王子として、ヨルレアンは公爵令嬢として受け入れた。
「勝手に出来るわけがないだろう!」
「では、私が父に願い出ます。信じて貰えないかもしれませんので、一筆書いてください」
「っな」
「私は婚約者に相応しくないのでしょう?誇り高き王子殿下がおっしゃるのですから、間違いないでしょう?それとも、王子殿下が嘘をおっしゃるのですか?」
「わ、分かった、書いてやろう」
叱って、これからは気を付ける様に、オマリー嬢のことも気に掛ける様に言うつもりだったが、後に引けなくなったエルドールは、婚約の解消を希望すると書き、名前をサインした。
「私もして置きますね、殿下はもう一枚同じ物を書いてください」
ヨルレアンは迷いなく、さらさらとサインをして、エルドールが渋々同じようにもう一枚書くと、ヨルレアンもサインし、一枚はエルドールへ、もう一枚はヨルレアンがギュッと大事そうに抱えた。
「では早急に父に話をしますので、帰ってもよろしいですか?」
「っな!オマリー嬢に謝罪しろ」
「なぜですか?何を話していたかは知りませんが、私は理不尽だったかもしれませんが、うるさいと怒鳴っただけです。それで泣いたのですか?」
たかが、あの程度でとは言わなかったが、ヨルレアンはそう思っていた。
「オマリー嬢は生徒会の人間だ、君が庇うべきだろうと言っているのだ」
「なぜですか?」
「殿下、もういいのです」
オマリーは大きな瞳を潤ませて、殿下の腕を持って、首を振っている。
「だが」
「なぜ、私が彼女を庇わなくてはいけないのか分かりません」
「っな!もういい!帰れ」
「では、御前失礼いたします」
向かう時とは違って、スタスタと歩いて生徒会室を出ると、ヨルレアンは叫んだ。
「よっしゃあ!これで寝れるわ!最高!フッフー!!」
軽やかな足取りで、帰って行ったヨルレアンのことで、国としても大問題になるとはエルドールも、勿論オマリーも思っていなかった。
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