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ルスデン王国1
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ダズベルトとオーバンは、ルアサーラがわざわざ来るということは、一体何のことだろうとは思いながらも、色んな考えが頭を巡った。
「今回の件は関係ありません。悪い話ではないと思うわ、とのことです」
「そうか、承知した」
「承知しましたわ」
ダズベルトとオーバンは、生唾をのみ込みはしたが、何があっても受け止めようと、強く覚悟を決めた。
そして、ルスデン王国に戻ることになったアリナとファミラ。伯爵家と男爵家ということで、馬車も別々となり、話をすることもなく二人は戻った。
アリナはコーランド王国でのことを知りえる者は聖女とは、一切呼ばなくなった。
自身も理解していなかったことから、罰するまではいかないにしても、ヨルレアンの言っていたことが、納得が出来るもので、これから伸びる可能性はあるが、現状として期待し過ぎたことは明らかであった。
アリナに教えていた教師たちですら、そんなとショックを受けていた。
アリナよりも問題があるのは、ピエラ王太子妃、オリーナ王子妃である。ラリオはアリナのことで、ピエラから何度か、いくら頭が良くたって男爵令嬢なんて、地味な令嬢などという言葉を聞いていた。
ゆえに、下手に隠すよりも正直にダズベルト国王陛下に、アリナを庇うわけではなく、言っていると思うと話した。
ミソオはいても、混乱を極めるだけなので、ピエラ王太子妃、オリーナ王子妃にはラリオ王太子が話をすることにした。
「アリナ・ハッソ男爵令嬢に、コーランド王国の王子のどちらかと結婚すると言ったそうだな」
ラリオの表情に、二人は顔を強張らせ、不味いことになっていると判断した。二人にはアリナについては、敢えて告げてはいなかった。
「そんなこと、言っておりませんわ」
「そうですわ」
「本当か?」
「そんなこと言うはずないではありませんか」
「聞いていた者がいる。何度も何度も言っていたそうじゃないか」
既に周りに聞き取りをして、二人がアリナを呼び出しては、何度も言っていたことを証言していた。
アリナが王子たちに近付くことがなかったこともあるが、擦り寄るような真似はしていなかったことが救いである。
その代わりに勘違いしたクリスティーナが、擦り寄るような真似をしていたのだが、ペーラー侯爵は追い返されたクリスティーナを留学したのではないのか?一人だけ戻って来たのか?という状態で、元の学園に通わせることにした。
兄は既に学園を卒業しているので、何か言われることはない。
ペーラー侯爵はクリスティーナに反省と、3ヶ月の奉仕活動、また問題を起こするようなら、規律の厳しい修道院に入れると告げた。
修道院と言っても一生を過ごすわけではないが、家族の許可がないと出られない。
クリスティーナは聞かれてもいないのに、合わなかったから帰って来ただけだと言っていたが、そうなのねと言いながら、誰も信じていなかった。しかも、奉仕活動をしていることから、問題を起こしたことは明らかであった。
短期留学前は周りに僅かに令嬢がいたが、その令嬢たちも離れて行き、留学前よりも悲惨な状況になっている。何なのよと嘆いているが、勿論、婚約者など出来ることもなく、改心しないと修道院行き待ったなしという状況である。
「デタラメですわ」
「そうです」
「それが答えなのだな…残念だ」
「…え」
ピエラはラリオの様子に不安になったが、オリーナの不安はそれ以上であった。
「私は、離縁されるのではないかと…怖くなって」
「オリーナッ!」
認めなければいいと思っていたピエラは、オリーナを怒鳴り付けた。
「お前たちはコーランド王国、ルエルフ王国を敵に回したんだぞ」
アリナが言わなければ、ラリオも知らないことではあったが、男爵令嬢であるアリナがこの二人の言うことを素直に信じたのも仕方ないことでもある。
「今回の件は関係ありません。悪い話ではないと思うわ、とのことです」
「そうか、承知した」
「承知しましたわ」
ダズベルトとオーバンは、生唾をのみ込みはしたが、何があっても受け止めようと、強く覚悟を決めた。
そして、ルスデン王国に戻ることになったアリナとファミラ。伯爵家と男爵家ということで、馬車も別々となり、話をすることもなく二人は戻った。
アリナはコーランド王国でのことを知りえる者は聖女とは、一切呼ばなくなった。
自身も理解していなかったことから、罰するまではいかないにしても、ヨルレアンの言っていたことが、納得が出来るもので、これから伸びる可能性はあるが、現状として期待し過ぎたことは明らかであった。
アリナに教えていた教師たちですら、そんなとショックを受けていた。
アリナよりも問題があるのは、ピエラ王太子妃、オリーナ王子妃である。ラリオはアリナのことで、ピエラから何度か、いくら頭が良くたって男爵令嬢なんて、地味な令嬢などという言葉を聞いていた。
ゆえに、下手に隠すよりも正直にダズベルト国王陛下に、アリナを庇うわけではなく、言っていると思うと話した。
ミソオはいても、混乱を極めるだけなので、ピエラ王太子妃、オリーナ王子妃にはラリオ王太子が話をすることにした。
「アリナ・ハッソ男爵令嬢に、コーランド王国の王子のどちらかと結婚すると言ったそうだな」
ラリオの表情に、二人は顔を強張らせ、不味いことになっていると判断した。二人にはアリナについては、敢えて告げてはいなかった。
「そんなこと、言っておりませんわ」
「そうですわ」
「本当か?」
「そんなこと言うはずないではありませんか」
「聞いていた者がいる。何度も何度も言っていたそうじゃないか」
既に周りに聞き取りをして、二人がアリナを呼び出しては、何度も言っていたことを証言していた。
アリナが王子たちに近付くことがなかったこともあるが、擦り寄るような真似はしていなかったことが救いである。
その代わりに勘違いしたクリスティーナが、擦り寄るような真似をしていたのだが、ペーラー侯爵は追い返されたクリスティーナを留学したのではないのか?一人だけ戻って来たのか?という状態で、元の学園に通わせることにした。
兄は既に学園を卒業しているので、何か言われることはない。
ペーラー侯爵はクリスティーナに反省と、3ヶ月の奉仕活動、また問題を起こするようなら、規律の厳しい修道院に入れると告げた。
修道院と言っても一生を過ごすわけではないが、家族の許可がないと出られない。
クリスティーナは聞かれてもいないのに、合わなかったから帰って来ただけだと言っていたが、そうなのねと言いながら、誰も信じていなかった。しかも、奉仕活動をしていることから、問題を起こしたことは明らかであった。
短期留学前は周りに僅かに令嬢がいたが、その令嬢たちも離れて行き、留学前よりも悲惨な状況になっている。何なのよと嘆いているが、勿論、婚約者など出来ることもなく、改心しないと修道院行き待ったなしという状況である。
「デタラメですわ」
「そうです」
「それが答えなのだな…残念だ」
「…え」
ピエラはラリオの様子に不安になったが、オリーナの不安はそれ以上であった。
「私は、離縁されるのではないかと…怖くなって」
「オリーナッ!」
認めなければいいと思っていたピエラは、オリーナを怒鳴り付けた。
「お前たちはコーランド王国、ルエルフ王国を敵に回したんだぞ」
アリナが言わなければ、ラリオも知らないことではあったが、男爵令嬢であるアリナがこの二人の言うことを素直に信じたのも仕方ないことでもある。
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