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必死な聖女
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「はい…だって、そう言われたから…王太子妃様と王子妃様が嘘なんてつくはずないではありませんか」
「申し訳ございません!与り知らぬことですが、代わりに謝罪いたします」
ラリオは立ち上がって、深く頭を下げた。大臣も後ろで頭を下げている。
グルダイヤ侯爵は、解読など出来なかったことにショックを受け、その後のアリナの言葉に、まるで舞台を見ているかのように、茫然としていた。
「知らぬと申すのか?」
「知りません!私はそんなことは考えてもおりません!」
王家としてはアリナは役に立つならばと思ってはいたが、まさか妻と弟の妻がそんなことを言っていたとは思いもしなかった。
解読も出来るということであったが、まさか意味も分からず、記憶して答えていただけなどと、考えてもいなかった。
どうして誰も気付かなかったのか、ルスデン王国には古代語の学者などいないからであった。だが、茫然としているグルダイヤ侯爵も、分からなかったのだろう。
「そんな!でも、そう言われたのです!じゃあ、国王陛下、お願いです!私、役に立ちます!」
「やめなさい!アリナ嬢っ!」
ダズベルトに向かって、必死に訴え掛けるアリナにラリオが怒鳴り付けた。
「王子たちと結婚したいということか?」
「はい、そうです!」
「他国の婚約に立ち入るとは何がしたいんだ?君はコーランド王国と、ルエルフ王国を戦うとでも言うのか?」
「え…ルエルフ王国は」
「第二王子の婚約者は、そこにいるヨルレアンだ。オズラール公爵令嬢でもあるが、ルエルフ王国の第一王女でもある」
「…え」
目の前に立つヨルレアンに視線を移したが、無表情である。
「でも、第二王子の婚約者は病弱だと聞きました」
クリスティーナが、言っていたことである。
「忙しいので、学園を通っていないだけですわ」
「でも…私は役に立てます!解読だって、これからもっと学べば、出来るようになるはずです」
「それはどうでしょうか」
答えたのは、デュランズであった。
「確かに君は覚えることは、得意だと言っていいのかもしれない」
「そうです!」
「だが、外国語ですら正確ではない。話すことは出来ない。翻訳を仕事にするにしても、私は君に任せたくはない」
「…え」
「そして、古代語の解読というのは、先ほども言ったように答えがない。ゆえに書いた者の人となりを考えたり、時代背景を考えたり、裏付けを取らなくてはならない。上辺だけの知識では出来ないのだよ」
意味も理解せず、大雑把に記憶して、出来ると言っていたような者には出来ないと言っているのである。
「でも、学んでいけば」
「そうだね、だが君は筆記体ですら読めなかった。古代語は人が書いた者、しかも色んな者が書き、癖だってある。型にはめられた文字だけではないのだよ?だから、今の君の力では絶対に出来ないことは断言出来る」
筆記体すら読めないのは、論外である。
「そんな…でも、これから頑張りますから」
余りの必死な様子に、ダズベルトはある疑問が浮かんだ。
「王太子妃と王子妃に脅されでもしたのか?」
「あなたの居場所はここにはないと言われて、だから、だから…」
ルスデン王国は一夫一妻制であることから、王太子妃も王子妃も自分が離縁されるのではないかと、吹き込んだのかもしれないが、完全に裏目に出ている。
「事実がどうなのか分かりませんけど、もし彼女の言うことが事実でも、王太子妃も王子妃も言っていないというのではないかしら?」
皆はアリナのただならぬ様子に気に留めていたが、ヨルレアンは危険性を考えていた。ここで男爵令嬢がそんなことを言う危うさを、アリナは分かっていないと感じた。
「その通りだな」
「きちんと調べます!」
「そうした方がいい。もう解読はいいな?」
「はい!」
ラリオは出来なかった時点で終わって欲しかったと、心から思っていた。
「申し訳ございません!与り知らぬことですが、代わりに謝罪いたします」
ラリオは立ち上がって、深く頭を下げた。大臣も後ろで頭を下げている。
グルダイヤ侯爵は、解読など出来なかったことにショックを受け、その後のアリナの言葉に、まるで舞台を見ているかのように、茫然としていた。
「知らぬと申すのか?」
「知りません!私はそんなことは考えてもおりません!」
王家としてはアリナは役に立つならばと思ってはいたが、まさか妻と弟の妻がそんなことを言っていたとは思いもしなかった。
解読も出来るということであったが、まさか意味も分からず、記憶して答えていただけなどと、考えてもいなかった。
どうして誰も気付かなかったのか、ルスデン王国には古代語の学者などいないからであった。だが、茫然としているグルダイヤ侯爵も、分からなかったのだろう。
「そんな!でも、そう言われたのです!じゃあ、国王陛下、お願いです!私、役に立ちます!」
「やめなさい!アリナ嬢っ!」
ダズベルトに向かって、必死に訴え掛けるアリナにラリオが怒鳴り付けた。
「王子たちと結婚したいということか?」
「はい、そうです!」
「他国の婚約に立ち入るとは何がしたいんだ?君はコーランド王国と、ルエルフ王国を戦うとでも言うのか?」
「え…ルエルフ王国は」
「第二王子の婚約者は、そこにいるヨルレアンだ。オズラール公爵令嬢でもあるが、ルエルフ王国の第一王女でもある」
「…え」
目の前に立つヨルレアンに視線を移したが、無表情である。
「でも、第二王子の婚約者は病弱だと聞きました」
クリスティーナが、言っていたことである。
「忙しいので、学園を通っていないだけですわ」
「でも…私は役に立てます!解読だって、これからもっと学べば、出来るようになるはずです」
「それはどうでしょうか」
答えたのは、デュランズであった。
「確かに君は覚えることは、得意だと言っていいのかもしれない」
「そうです!」
「だが、外国語ですら正確ではない。話すことは出来ない。翻訳を仕事にするにしても、私は君に任せたくはない」
「…え」
「そして、古代語の解読というのは、先ほども言ったように答えがない。ゆえに書いた者の人となりを考えたり、時代背景を考えたり、裏付けを取らなくてはならない。上辺だけの知識では出来ないのだよ」
意味も理解せず、大雑把に記憶して、出来ると言っていたような者には出来ないと言っているのである。
「でも、学んでいけば」
「そうだね、だが君は筆記体ですら読めなかった。古代語は人が書いた者、しかも色んな者が書き、癖だってある。型にはめられた文字だけではないのだよ?だから、今の君の力では絶対に出来ないことは断言出来る」
筆記体すら読めないのは、論外である。
「そんな…でも、これから頑張りますから」
余りの必死な様子に、ダズベルトはある疑問が浮かんだ。
「王太子妃と王子妃に脅されでもしたのか?」
「あなたの居場所はここにはないと言われて、だから、だから…」
ルスデン王国は一夫一妻制であることから、王太子妃も王子妃も自分が離縁されるのではないかと、吹き込んだのかもしれないが、完全に裏目に出ている。
「事実がどうなのか分かりませんけど、もし彼女の言うことが事実でも、王太子妃も王子妃も言っていないというのではないかしら?」
皆はアリナのただならぬ様子に気に留めていたが、ヨルレアンは危険性を考えていた。ここで男爵令嬢がそんなことを言う危うさを、アリナは分かっていないと感じた。
「その通りだな」
「きちんと調べます!」
「そうした方がいい。もう解読はいいな?」
「はい!」
ラリオは出来なかった時点で終わって欲しかったと、心から思っていた。
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