【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

ルスデン王国２

「どうして、ルエルフ王国までも…」
「第二王子の婚約者は、ルエルフ王国の第一王女だ！」
「そんなはず、公爵令嬢だって…」

　ピエラは王太子殿下の婚約者が辺境伯令嬢、第二王子の婚約者が公爵令嬢だということはきちんと確認した。

　男爵令嬢には荷が重いだろうが、能力が高いというのならば、身の保身のために王子たちを落とせという意味で使っていた。

　だが、アリナはルスデン王国に居場所はない、もう決まっていることなのだろうと思って、言い寄るような真似はしなかった。

「そんなことも知らないのか…情けない」

　ピエラは賢いとは思ってはいなかったが、そんなことも理解していなかったのかと思った。王家は価値を高めたいだけで、コーランド王国に入り込もうなどと、本当に考えてもいなかった。

「公爵令嬢でもあるが、彼女の母親は女王陛下だ」
「そんな！」
「既に抗議文が来ている。覚悟して置きなさい」

　ルアサーラから、既に王女の婚約に横槍を入れるとはどういうことだ？人間が理解できる説明を求めると、世にも恐ろしい抗議文が直筆で届いている。

「でも、あの子はたかが男爵令嬢でしょう」
「ルアサーラ女王陛下にしたら、お前もたかが王太子妃、王子妃だ」
「…あ」

　アリナにしたらピエナが雲の上の存在でも、ルアサーラ女王陛下から見たら、小国であるルスデン王国の王太子妃など、取るに足らない存在である。

　勘違いしたアリナも責任があるが、周りにも責任があり、そんな物騒な気はなかったが、ダズベルト国王陛下にアリナが急に消えたりしないようにとも言われた。

「私たちはコーランド王国に、入り込もうなどと考えてもいない。お前たちが言い出したのだから、女王陛下にきちんとご理解いただける説明をするように考えなさい」
「私が？」
「お前たちが言ったんだろうが！」

　ルエルフ王国にイスク国王、ラリオ王太子、そして当事者であるアリナ、ピエラ、オリーナを連れて説明という名の謝罪に行くことになっている。

「でも」
「それによって、お前たちの進退が決まる」
「そんな！」
「それはこちらの台詞だ、いい加減にしてくれ」

　オリーナはさめざめと涙を流しており、しかもアリナが解読は出来ないこともようやく聞き、だからと言って自分たちの言ったことはなかったことにはならず、ピエラは途方に暮れることになった。

　ピエラは侯爵家の令嬢で、実家にどうしたらいいのかと泣きついた。

「もうどうにもならない！何て馬鹿なことを言ったんだ」
「あの子を消せばいいんじゃない？解読も嘘だったんでしょう？騙していたから恨まれたと、そうすれば、死人に口なしになって」
「ハッソ嬢も、五体満足で連れてくるように言われているそうだ」
「っな」
「男爵令嬢の命など軽いと、あちらも分かっている。もし、死にでもしたら、殺したのだと国外に言われることになる」

　勘違いをしていただけだが、ルスデン王国は利用しようとして、殺したと判断されるだろう。そんな物騒な国にされたら、ますます価値を失う。

「でも！私は、捨てられると思って」

　ピエラは勉強が出来る方ではなかったが、実家の力も使って、王太子妃を勝ち取った。息子と娘も産んで、安泰だと思っていたのに、ラリオは合理的であるために、捨てられると焦ったのである。

　そして、オリーナも唆して、アリナを焚き付けた。

「そんなことは誰も言っていなかっただろう？」
「でも」
「私たちもお前を庇ったりすれば、一緒に処分される」
「処分って…」
「女王陛下はご自身にも、周りにも大変厳しい方だ。王太子妃に残りたかったのなら、きちんと説明をしなさい。私たちは関与しない」

　ピエナはオリーナに、どうやって説明するの考えなさいと言ったが、オリーナは夫であるミソオはアリナのことでショックを受けて、私には分からないと言われて、泣いてばかりである。

　だが、女王陛下の謁見の日は待ってくれない。