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聖女の絶望1
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アリナはファミラや、他の人にも一生懸命、誤解なのだと話をしようと思ったが、もういいと言われてしまい、事情を深く知っている者には相手にもされなかった。
アリナは期待されなくなったことで、学ぼうとすることもなく、居心地の悪い学園生活を送っていた。邸に帰りたくても、男爵領までの旅費がなく、学園の費用だけは支払われているという状況であった。
手紙に帰りたいからお金を送って欲しいと書いても、返事もなかった。
半年後、ハッソ男爵家に火が放たれ、使用人はどうにか逃げ出させたが、夫妻とミーナはそのまま邸に残って、亡くなった―――。
その知らせを聞いたイスク国王陛下は、逃げなかったのだろうと思った。
「警護を付けるべきだったか…」
「いえ、いずれ起きたことでしょう」
王妃であるメリーが、答えた。
「親の責任だと思ったのだろうな」
「ええ、我々も馬鹿な真似をしたのです」
「ああ…」
犯人は失業のせいで、病気の妻の薬が買えなくなり、妻を亡くした平民の男であった。男は企業に勤めていた自国の役員を殺そうとしたが、事情を知っていた役員は殺されたくないために、全てを話した。
王太子妃や王子妃は幽閉されており、入り込むのは難しいために、アリナ・ハッソもいると思い、ハッソ男爵家に火を放った。
男はすぐに捕まったが、動機が失業のせいで、薬が買えず妻が亡くなり、婚約に横やりを入れたアリナ・ハッソ、王太子妃、王子妃を狙ったことを自供した。
アリナにも騎士団から両親の妹の死、そして動機が伝えられることになった。
「どうして…私のせいなの…でも、私は求められてしたことで」
「そうではありません。あなたが他国の王族の婚約に横やりを入れたからです」
「…え」
「婚約というのは貴族でも契約です、王族となればもっと重いものになります」
「申し込んだだけでも?」
「はい、本当に分かっていなかったのですね?」
「だって、婚約を申し込むのは自由ではありませんか…」
アリナはそう思っていた。だが、相手が王家だと父は怯んで、申し込まないのではないかと考えていた。
「格というものがあります。王家ですから、知識や教養、マナー、言語、そしてお金も必要でしょう。そして、上に立つ責任もあります。それをあなたは反故にしろと言ったのです」
「私は役に立ちたくて…」
凄い凄いと、才の聖女、聖女と呼ばれることが本当に嬉しかった。もっと役に立ちたいと思った。
「ならば、この国で王宮に勤めるなどすれば良かったではありませんか」
「それは…」
両親にも教師にも勧められたが、あまり魅力的には思えず、もっと相応しい場所があるのではないかと思った。それで王太子妃様と王子妃様に言われて、これだと思ったのだ。
「王家に嫁いで、ちやほやして貰いたかったのですか?能力もなかったのに?」
「能力はあります」
「なかったと証明されているではありませんか」
「あの時は、出来なかっただけで」
「王家の方が見ている前で、あの時はなんて通用しませんよ。マナーだってそうでしょう?今日は出来なくて、なんて通用しないのと同じです。あなたはコーランド王国、ルエルフ王国を馬鹿にしたんですよ」
「そんなことはしていません」
たまたま披露は出来なかっただけで、どうして受け入れてくれないのだろうかとは思ったが、馬鹿になんてしていない。
「何を言っても否定されるのでしょう。殺したのは犯人ですが、ご両親と妹君は使用人を逃がして、自分たちは邸に留まって、亡くなったそうです」
「………えっ」
「死を受け入れたのでしょう。犯人はアリナ・ハッソのせいで、妻は死んだと怒鳴っていたそうです」
逃がされた使用人が、そう証言していた。
「そ、んな…」
「あなたのせいで、親戚や領民からも中傷も酷かったそうです。心労もおありになったでしょう」
「う、そ…」
「嘘ではありません。貴方もきちんと向き合ってください」
アリナは期待されなくなったことで、学ぼうとすることもなく、居心地の悪い学園生活を送っていた。邸に帰りたくても、男爵領までの旅費がなく、学園の費用だけは支払われているという状況であった。
手紙に帰りたいからお金を送って欲しいと書いても、返事もなかった。
半年後、ハッソ男爵家に火が放たれ、使用人はどうにか逃げ出させたが、夫妻とミーナはそのまま邸に残って、亡くなった―――。
その知らせを聞いたイスク国王陛下は、逃げなかったのだろうと思った。
「警護を付けるべきだったか…」
「いえ、いずれ起きたことでしょう」
王妃であるメリーが、答えた。
「親の責任だと思ったのだろうな」
「ええ、我々も馬鹿な真似をしたのです」
「ああ…」
犯人は失業のせいで、病気の妻の薬が買えなくなり、妻を亡くした平民の男であった。男は企業に勤めていた自国の役員を殺そうとしたが、事情を知っていた役員は殺されたくないために、全てを話した。
王太子妃や王子妃は幽閉されており、入り込むのは難しいために、アリナ・ハッソもいると思い、ハッソ男爵家に火を放った。
男はすぐに捕まったが、動機が失業のせいで、薬が買えず妻が亡くなり、婚約に横やりを入れたアリナ・ハッソ、王太子妃、王子妃を狙ったことを自供した。
アリナにも騎士団から両親の妹の死、そして動機が伝えられることになった。
「どうして…私のせいなの…でも、私は求められてしたことで」
「そうではありません。あなたが他国の王族の婚約に横やりを入れたからです」
「…え」
「婚約というのは貴族でも契約です、王族となればもっと重いものになります」
「申し込んだだけでも?」
「はい、本当に分かっていなかったのですね?」
「だって、婚約を申し込むのは自由ではありませんか…」
アリナはそう思っていた。だが、相手が王家だと父は怯んで、申し込まないのではないかと考えていた。
「格というものがあります。王家ですから、知識や教養、マナー、言語、そしてお金も必要でしょう。そして、上に立つ責任もあります。それをあなたは反故にしろと言ったのです」
「私は役に立ちたくて…」
凄い凄いと、才の聖女、聖女と呼ばれることが本当に嬉しかった。もっと役に立ちたいと思った。
「ならば、この国で王宮に勤めるなどすれば良かったではありませんか」
「それは…」
両親にも教師にも勧められたが、あまり魅力的には思えず、もっと相応しい場所があるのではないかと思った。それで王太子妃様と王子妃様に言われて、これだと思ったのだ。
「王家に嫁いで、ちやほやして貰いたかったのですか?能力もなかったのに?」
「能力はあります」
「なかったと証明されているではありませんか」
「あの時は、出来なかっただけで」
「王家の方が見ている前で、あの時はなんて通用しませんよ。マナーだってそうでしょう?今日は出来なくて、なんて通用しないのと同じです。あなたはコーランド王国、ルエルフ王国を馬鹿にしたんですよ」
「そんなことはしていません」
たまたま披露は出来なかっただけで、どうして受け入れてくれないのだろうかとは思ったが、馬鹿になんてしていない。
「何を言っても否定されるのでしょう。殺したのは犯人ですが、ご両親と妹君は使用人を逃がして、自分たちは邸に留まって、亡くなったそうです」
「………えっ」
「死を受け入れたのでしょう。犯人はアリナ・ハッソのせいで、妻は死んだと怒鳴っていたそうです」
逃がされた使用人が、そう証言していた。
「そ、んな…」
「あなたのせいで、親戚や領民からも中傷も酷かったそうです。心労もおありになったでしょう」
「う、そ…」
「嘘ではありません。貴方もきちんと向き合ってください」
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