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聖女の絶望3
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「あなたが安易になれると考えていた王太子妃や王子妃は、本来は簡単になりますなんて言える存在ではないわ」
ファミラはピエラ王太子妃と、オリーナ王子妃は論外であるがと、心の中では思っていたが、幽閉されても口にすることはさすがに控えた。
「で、でも…」
「あなたもルエルフ王国の第一王女を見たでしょう?あのお年で、古代語学者なんて異例よ?」
詳しくは分からないが、特別だということは分かる。観覧席でも、学者と思わしき方たちが、口々に素晴らしいと褒め称えていた。
「所作も美しかったでしょう?あの方のような方が、王女や王子妃になるような方なの。力になれるなんてことだけではなれないの」
「そんなの知らないわ…」
「知らないということも、貴族では罪になるのよ」
「じゃあ、教えてくれれば」
「そうね、でもあなたも覚えようとすれば良かったじゃない」
ファミラは親身になるつもりはなかったが、目に余る場合はクリスティーナのことも、アリナのことも咎めようと思っていた。
ただ、コーランド王国の方は興味を示したのは最初だけで、クリスティーナは嫌われて、アリナにも関わろうとしなかった。
ご家族のことを考えれば、親身になって教えるべきだったかとも反省していた。
だが、今ですらいくら説明をしても、アリナに響いているという手応えがなかった。一体、誰が言えば、いや、自分で気付くまで、認めないのかもしれない。
それならば、そろそろ伝えるべきことは、ほぼ伝えたと思うことにした。
「最後に一つだけ。今更言っても仕方のないことだけど、披露の場で、結婚のことなど言わなければ一番良かったわ」
「でも」
「そんなことなかったことにした方が、あなたには良かったのよ」
「なかったことになんて出来ないわ」
アリナには言わないこと、留めるようなことは、絶対に出来なかった。
あの時は、王子たちとの結婚が掛かっていると思っていたから、必死だった。言いたいことは言わないといけないと、今でも後悔などしていない。
「でも、言わなければ、あなたは勘違いしただけだと、恥を晒しただけで済んだかもしれない。ご家族だって苦しまなくて良かったのよ?」
さすがに殺されることもなかったとは、口にはしなかった。
「それは…」
「認めることも大事なことだと、私は思うわ」
ファミラはそう言って、アリナの元を去った。
そして、アリナは認めたくないと頑なになっており、だが認めた時には精神面が心配だと、頼んで来た教師に伝えた。
アリナは今回の件で、両親と妹が亡くなったこともあり、ルスデン王国から裁かれるようなことにはならなかった。
だが、一人でポツンとしているのが耐えられなくなったのか、学園にも来なくなり、寮からも姿を消した。捜索は行われたが、途中までは足取りが掴めたものの、発見までには至らなかった。
放火の動機は伏せられ、アリナが襲われたり、殺されたということではなかったために、その後の捜索は行われなかった。
ファミラはここまでは想像していなかったが、王家は見捨て、居場所はないだろうと思っており、言わなければ良かったのにと再度、思った。
アリナが絶望したのは、寮に溜まったままで、読んでいなかった今はもういない妹・ミーナからの手紙であった。
そこには両親が責められている、お父さんはずっと謝っている、お母さんはずっと泣きながら謝っている。お姉ちゃんのせいだ、どうしてお父さんとお母さんが責められなければいけないのか、お父さんとお母さんを苦しめるお姉ちゃんなんて大嫌いだと、悲しい訴えが書かれていた―――。
それを読んでようやく、アリナは自分のしたことで、両親や妹を苦しめ、殺されたのだと実感した。
本当の意味で、後悔の涙を流したアリナは、両親と妹に謝ろうと墓に向かい、その後の足取りは分からなくなった。
ファミラはピエラ王太子妃と、オリーナ王子妃は論外であるがと、心の中では思っていたが、幽閉されても口にすることはさすがに控えた。
「で、でも…」
「あなたもルエルフ王国の第一王女を見たでしょう?あのお年で、古代語学者なんて異例よ?」
詳しくは分からないが、特別だということは分かる。観覧席でも、学者と思わしき方たちが、口々に素晴らしいと褒め称えていた。
「所作も美しかったでしょう?あの方のような方が、王女や王子妃になるような方なの。力になれるなんてことだけではなれないの」
「そんなの知らないわ…」
「知らないということも、貴族では罪になるのよ」
「じゃあ、教えてくれれば」
「そうね、でもあなたも覚えようとすれば良かったじゃない」
ファミラは親身になるつもりはなかったが、目に余る場合はクリスティーナのことも、アリナのことも咎めようと思っていた。
ただ、コーランド王国の方は興味を示したのは最初だけで、クリスティーナは嫌われて、アリナにも関わろうとしなかった。
ご家族のことを考えれば、親身になって教えるべきだったかとも反省していた。
だが、今ですらいくら説明をしても、アリナに響いているという手応えがなかった。一体、誰が言えば、いや、自分で気付くまで、認めないのかもしれない。
それならば、そろそろ伝えるべきことは、ほぼ伝えたと思うことにした。
「最後に一つだけ。今更言っても仕方のないことだけど、披露の場で、結婚のことなど言わなければ一番良かったわ」
「でも」
「そんなことなかったことにした方が、あなたには良かったのよ」
「なかったことになんて出来ないわ」
アリナには言わないこと、留めるようなことは、絶対に出来なかった。
あの時は、王子たちとの結婚が掛かっていると思っていたから、必死だった。言いたいことは言わないといけないと、今でも後悔などしていない。
「でも、言わなければ、あなたは勘違いしただけだと、恥を晒しただけで済んだかもしれない。ご家族だって苦しまなくて良かったのよ?」
さすがに殺されることもなかったとは、口にはしなかった。
「それは…」
「認めることも大事なことだと、私は思うわ」
ファミラはそう言って、アリナの元を去った。
そして、アリナは認めたくないと頑なになっており、だが認めた時には精神面が心配だと、頼んで来た教師に伝えた。
アリナは今回の件で、両親と妹が亡くなったこともあり、ルスデン王国から裁かれるようなことにはならなかった。
だが、一人でポツンとしているのが耐えられなくなったのか、学園にも来なくなり、寮からも姿を消した。捜索は行われたが、途中までは足取りが掴めたものの、発見までには至らなかった。
放火の動機は伏せられ、アリナが襲われたり、殺されたということではなかったために、その後の捜索は行われなかった。
ファミラはここまでは想像していなかったが、王家は見捨て、居場所はないだろうと思っており、言わなければ良かったのにと再度、思った。
アリナが絶望したのは、寮に溜まったままで、読んでいなかった今はもういない妹・ミーナからの手紙であった。
そこには両親が責められている、お父さんはずっと謝っている、お母さんはずっと泣きながら謝っている。お姉ちゃんのせいだ、どうしてお父さんとお母さんが責められなければいけないのか、お父さんとお母さんを苦しめるお姉ちゃんなんて大嫌いだと、悲しい訴えが書かれていた―――。
それを読んでようやく、アリナは自分のしたことで、両親や妹を苦しめ、殺されたのだと実感した。
本当の意味で、後悔の涙を流したアリナは、両親と妹に謝ろうと墓に向かい、その後の足取りは分からなくなった。
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