病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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お茶会1

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 エリーはクッキーを紹介し、モリーはじっと見られて、気にはなったが、ジャムのクッキーを口に入れると、とても美味しかった。

 思わず微笑むと、エリーはますます目を輝かせて、何だろうかと思ったが、再びいつものように微笑むしかなかった。

 エリーは、ブルーのドレスはとても似合っていたが、華美な服装はしていないのに、持ち前のシルバーの髪色に、ヴァイオレットの瞳、女神とか天使ってこんな姿なのではないかと思うほど、その姿に感動していた。

 モリーは知らないが、どこか浮世離れした神秘的な存在であった。

「エリー、そんなに見つめたらモリー嬢が困ってしまうわ」
「ああ!ごめんなさい」
「いえ、謝られるようなことではございません。このような顔でよろしければどうぞ、お好きに見てください」
「ふふっ」

 さすが、女神は余裕が違うと感じて笑った。

 ケリーはドレスが美しかったこともあるが、最近、令嬢への目が厳しくなっていたエリーが、短期間でモリーを気に入ったようで、驚いていた。

「モリーとエリーって似てますわよね!」
「はい、そうでございますね」
「エリー!そう言ったら、私も似ているわ」
「あ!そうでしたわ、ケリーにエリーに、モリー何だが家族みたい」
「恐れ多いことでございます。私の侍女も、ペイリーと言うのです、少し似ておりますでしょう?」

 モリーはさりげなく、ペイリーの紹介を行った。

「本当ね!」
「フシュナ伯爵家でしたね」

 当然だが、ケリーはモリーの侍女が誰であるかは確認している。

「はい、四女ででございます」

 ペイリーはそっと控えているだけと、緊張を和ませようとしていたが、自分の名前が出て、さらにケリーに話し掛けられて、驚きはしたが、丁寧に答えた。

「そうでしたわね。それでエリー、ドレスのお話を聞きたいのでしょう?」
「はい!ドレスを見せていただいて、とても素敵だと思ったのです」
「ありがとうございます」

 話を聞きたいと言ったのは、エリーだったのかと、モリーは少し気が楽になった。

「私はいつもデザインをして貰って、ここはこうして欲しいとか、色とか言うくらいなのですけど、どうやって作るのですか?」
「はい、説明をさせていただきます。まず私は、着る方に似合う生地を見付けてから、頭でデザインを考えます」
「まあ、生地を」
「はい、生地から作るというのは出来ませんので」
「そうよね!」

 エリーは嬉しそうに、相槌を打った。

 モリーも王女なのだからデザイナーに聞けば、簡単に聞けることだろうが、自分からちゃんと聞いてくれることに真摯に話した。

「はい、そして必要な物も購入してから、デザイン画を描きます。デザインを着る方に確認を取って、型紙を作って」
「型紙?」
「はい、ドレスの設計図のようなものです」
「そうなのね!」
「はい、そして、仮縫いをして着る方に合わせます。それで良ければ、本縫いをしていきます」

 モリーはドレスのことを、自分で作っていないのではないかと、疑われている可能性も考えて、きちんと伝えておこうとは考えていた。

「あの刺繍とかは?」
「刺繍は着る方に合わせて行いました」
「まあ!お花や葉を?」
「はい」

 ドレスには20代になったペイリーに、相応しい上品な花や葉を刺繍していた。

「チュールなどは購入したものを合わせておりますが、レースだとどうしても大人の令嬢には合わなくなりますので、刺繍にしました」
「そうね、年齢によってドレスは変わりますものね」
「はい、その通りでございます」

 モリーはエリーのここまでの様子で、まさか女神か天使かと思われているとは気付きはしないが、リークレアの我儘というのは、とりあえず今は当てはまらないと感じていた。

「実は、私の侍女のために作った物なのです」
「まあ!あなたのためだったのね」

 エリーはペイリーに視線を移し、ペイリーは背筋をさらに伸ばした。
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